4-8 ケイトの一番の理解者リック

ボーナスでもらった新デバイスの設定を皆であーでもないこーでもないと弄っていると、あたい等のいる応接室の扉が開かれた。


「すまない、今戻った」


そこにはガタイの良い50代のスーツ姿の男性と、髪の長い40代の女性、それと同じぐらいの女性と16歳ぐらいの女性が入ってきた。


「父さん、おかえりなさい」


「リックもな。そちらの…双子さん達は?」


姉貴が立ち上がり敬礼をしたのであたいも同じく。


「お初に御目にかかります!元統合銀河混成宇宙軍フェニックス隊所属、現輸送艦エンハンブレ所属「なんでも屋」ケイト・アーカイブ中尉であります!こちらは同じくエンハンブレ所属ののケイト・アーカイブ曹長です!本日は…」


「あぁ、それぐらいで。私も既に軍を辞めた身だ。楽にしてくれ。こちらこそ息子が世話になっている」


ん?リックの親父さんって元軍人?

てか、家の規模とか見るに元々凄い人?


「そちらのケイトさんも初めましてだな?私はリックの父のレオン・Zゼファークリプトンだ。御二人にはどうか寛いでもらいたい。リック、久しいな。約束の日にはまだ早いが?」


「はい。状況が変わったのと、エンハンブレがギルドに暫く留まるので友人を招待したいと思いまして」


「おう!そうだぜ親父!リックの奴がついにやりやがったんだ!」


ガンマさんが凄く嬉しそうに叫ぶと、弟のディアス君も続く。


「そうです!リック兄さんが凄いんです!」


「こらこら、2人ともはしゃぐんじゃない。御客人の前だぞ。だが、その様子だと吉報のようだな?聞かせてはくれんか?妻だけでなく彼女達にもな?」


「はい。ですがその前に……中尉、ケイト、あちらが母の…」


「イオタ・クリプトンです」


リックによく似た面立ちと髪色の40代の女性があたい達に会釈する。

リックって母親似なんだなー。ガンマさんが父親似でディアス君も母親似か。

んん?ちょいと待てよ?レオン、イオタ、ガンマにリックとディアス……




ガン◯ム一家じゃねーか。

いや、偶然なんだろうけどさ。

なんかその内クシィーとかデルタとか出てきそう……


「そしてこちらは……」


「愚息が御二人に御迷惑をお掛けしました。話は聞いております、アトランの母のシータ・テンダースです」


「最後に彼女が僕の元許嫁の」


「エータです。よろしくね?」


いかん、吹きそう。

出てきそうとは思ったがそっち側からか。


「どした?面白い顔になってっぞ?」


姉貴が不思議な顔であたいを見る。

なんとか誤魔化さにゃ……


「……ちょっと舌を噛んだだけ」


「ケイトは正確には軍人じゃないからね。仕方ないよ。それに、畏まった場よりも好きなロボットアニメの機体開発コードを思い浮かべている方が性にあってるみたいだしね?」


おいリック!何でわかったんだ!?

姉貴は「何考えてんだ?」みたいな顔してるんだが……あっれー?前から思ってたけど、あたいの事を一番に理解してんのって、もしかしてリック?


「それより父さん、シータおばさんとエータが此処に?」


「ふむ……それなんだが、先方から抗議が来てな」


「アトランの件ですね?先方はなんと?」


「身体的、精神的苦痛を受けた。よってMAによる一対一の決闘。勝利条件は機体の行動不能または降参。テンダース側が勝利した場合はリックとエータ君の婚姻の復活」


「こちらが勝った場合は?」


「知らん。勝つ事しか考えておらんのだろうな」


あー……調子こいてる奴に良くあるな。

勝った場合の事だけを夢想して負けた時の事を全く考えてないっての。

昔住んでた孤児院があったスラムやダウンタウンにゃアホほどいるタイプだな。

あたいはちょーっとコネがあって、あたいの顔を知らねぇ奴はモグリって事で、フツーに過ごしてたが、旅行者は間違っても裏路地や横道にそれたりすんなよ!

声かけられても振り向くな!

顔見られたと思って撃たれるぜ?



そんな事より、コイツぁ……


「……不味いな、僕はパイロットじゃない」


「それは向こうも同じだろう?」


いや、この場合はちょいと不味い。

リックはMAの操縦は出来ねぇ。

正確には違うんだが、前に観たシュミレーションの結果は新兵レベル。

軍に入って直ぐではなく、ずっと訓練してきてそれなんだ。

本人も言っていたが、細かい操縦が出来ずに上手く動かせない。

ま、そこについては考えがあるんだが。

ん?あたいかい?

一応合格点はマリアさんに貰ったよ?

確かに細かい操縦は厄介だったけど、ボタンが増えたコントローラーと思えばいけたからな。

足さえ届けばペダル操作は前進、後退、左右、ブーストぐらいだし。

なので最初こそはほとんど立って操縦したけど、空き缶挟んで上げ底でやれば新兵よりかは戦える。

それよか問題はリックだ。


「よろしいでしょうか?」


「シータ、何か?」


「あの馬鹿息子ですが、最近MAの操縦を覚えまして……適性があったのかなかなかの腕前なんです……」


うわお。

その「なかなか」があたいレベルなのかそれ以下か。

どの道、ヤバい事には変わんない。

てか……


「すまね。そのエータさん?との婚姻が何故問題なのかあたいにはわかんねーんだが。いや前に御子息から両家を1つに、とは聞いたし、リック自身がパイロットを目指してるから断ってるのは知ってるけどさ」


「あー、そこは話してなかったね。それはねケイト」


「リック兄さん、それは僕から話すよ」


と、ここでディアス君?


「彼女……エータとは僕が付き合ってるんです、ね?エータ」


「うん。それに学校を卒業したら結婚する予定なんです」





え?


――――――――――――――――――――

補足


レオン・Z・クリプトン

ギルドは軍に出される依頼以外の依頼を受け持つ組織であり、運営には多くの企業・財団が携わっており、リックの父レオン・Z・クリプトンは、クリプトン財団としてギルドの運営に携わっている者の1人である。

そんな彼は元統合銀河混成宇宙軍の准将の1人であり、彼は辞めるまでの間に数多の優秀な兵を育成した教官でもあった。

その優秀な兵の中には「グロリアス」マリアや「ヒートヘイズ」アドラメルク、フェニックス隊等(ケイト姉が入隊した時には准将になっていた為、指導はしていない)がおり、辞めた後でも彼を慕う者達は多い。



※分からない人は「ガン○ム機体開発コード」または「Ꮓ計画」で出てくるのだ!


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

4000PV突破感謝なのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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