3-4 ケイト姉さんの宇宙講座(宇宙軍編)
「終わったんなら座れー」
振り替えるとエリーゼさんが長机にお茶を出してくれ、みんなが会議室よろしく席に着いている。
「くつろいでんな~」
「ったく………んで?あんたがケイトか。俺はケイト・アーカイブ。カリンの姐御から話は聞いてる」
「おう。こっちもカリンさんから聞いてる。あたいもケイト・アーカイブ。よろしく」
軽く挨拶をするとあたい達は席につく。
しっかし、こうしてみると完全に双子だ。
「ん。改めて自己紹介」
「はいな……元統合銀河混成宇宙軍第426独立遊撃部隊所属ケイト・アーカイブ中尉だ!お久し振りです!グレッグ大尉!エリーゼ特務曹長!」
ケイトが元いた所属を名乗る。
ここら辺はあたいみたいなgeek(ギーク。活動的なオタク)が真似するのと違ってマジの軍人がやるから、様になってるなー。
「今はエンハンブレの艦長だから中佐だ。エリーゼも特務少尉になっている」
「失礼しました!」
なんか軍の正式名初めて聞いたな。
何気に長ぇな。
そう言やあたい等ってどういう扱いなんだろうか?
「なぁ、艦長。あたいとサユリはどういう扱いなん?」
「ん?ウチでの扱いか?お前とサユリ、後、ピフピヘットの3人は士官学校も出てないからな。ケイトとサユリは特務曹長、ピフピヘットは特務伍長。お前等の2つ下だな」
と、言われましても。
「よく分かってないな?」
「日本もアメリカも兵役義務がねーし………それに、国や時代、所属する場所によって細かく別れますしおすし」
じゃあと、紙とペンをケイト(あたいじゃないよ)が取り出し書きながら説明しだす。
「正確な事は軍人じゃなきゃ分からんよな。中佐、今のエンハンブレでの階級制度は?」
「軍の時のままだ」
「了解。俺等と地球の軍の階級制度の違いは細かさにある。姐御から聞いて俺が調べた地球の日本では三等陸佐、三等海佐、三等空佐って感じで陸自、海自、空自で少しだけ変わる。アメリカ合衆国もそうだな。後は技術士官や特技兵……特殊技能兵なんかは別枠だ。対して俺等の軍は宇宙軍しかないってえのと、人数が多すぎるってのもあってかなりシンプルだ。そうだなぁ………地球のアニメで出てくる階級ぐらいは簡素だな。表にするとこうだな」
――――――――――――――――――――
元帥←ぐんのとっぷ
――――――――――――――――――――
大将
将官 中将
少将
准将
――――――――――――――――――――
大佐←かりんのあねご
佐官 中佐←ぐれっぐあねごのおとうと
少佐
――――――――――――――――――――
大尉
尉官 中尉←おれ
少尉←えりーぜ
――――――――――――――――――――
曹長←けいととさゆり
士官候補生特に幹部候補生
下士官 はこっから始まる
軍曹
伍長←ぴふぴへっとってやつ?
――――――――――――――――――――
上等兵
兵 1等兵
2等兵←一般公募はここ
――――――――――――――――――――
「こんなとこか?めっちゃ簡素なんだよ」
日本語じゃねぇか!
わざわざ覚えたのか?にしては階級とかは漢字なのに他は平仮名って……ま、いっか。
しかし、こりゃ分かりやすいな。
当然、2等兵が入隊したばかりの階級だから………あたいとサユリ、割りと高い?
てか、カリンさん大佐なのか………ロリ巨乳の魔女っ子コスプレイヤーにしか見えないのに。
「俺と姉御は軍を辞めてるから、階級を適応させるとしたら元のまま、グレッグ中佐とエリーゼさんは軍属ではないけど、そのまま使ってるし艦長と副艦だから立場上階級上がってこの位置……中佐じゃなく大佐の方が良くないですか?」
「そりゃ上げすぎだ。2階級上がってるだけでも目ぇ付けられてんのに大佐になったら身動き取りにくい」
「了解。んで、さっき言った技術士官はケイトとサユリ、ピフピヘットってヤツがこれに当たる。特技兵って扱いで雇ってるから、この階級だ。正確に言えば技術士官って訳ではないが、軍に言い訳するのに「技術あるから特務曹長として雇ってます」って言えば納得しやすいだろ?」
Oh!そう言われれば納得だ。
サユリがスッと手を挙げる。
「あの、特務って言うのはなんですか?」
「特務ってのはだな、上層部とかにその能力を認められ、一部権限が越権しても許される兵の事だな。俺等に当てはめるとしたら……そうだな、俺やグレッグ中佐や姐御は士官学校を卒業して入隊しているのに対し、エリーゼ特務少尉は軍の士官学校を出ていない、言うなら一般公募だ。そして一般公募は制度的にも役割的にも下士官までしか階級が上がらないが、特技兵として雇って、仕事内容が上に認められたから特務を付けられ、その階級と同等として認められたんだ」
「役割って?階級上がんないの?」
「士官は主に指揮だな。俺の様に士官学校を出たヤツは現場では兵を指揮するのが仕事になる。立てた作戦やらなんやらを曹長に指示し、曹長は軍曹以下の兵にそれを伝え、上等兵達が動く。これが役割」
「つまり、曹長から下は肉体労働、そっから上はデスクワークってか?」
「大体それであってる。しかしだ。曹長以下の中でもでかい手柄を立てるヤツはいるし、一般公募でも指揮能力の高いヤツもいる。そう言った奴等を士官学校出たかどうか関係無く階級を無視して権限を与えたりする時に使うのが特務ってヤツだ。だからケイトやサユリも頑張り次第で尉官や佐官も行けるぞ」
「なるほど!」
つまり、フツーの社会で言うとこの、大卒が社員から始まるのに対し、ただのバイトがバイトリーダー、店長になって、本社に認められて社員になるみたいなもんか。
てーことは、エリーゼさんは特殊技能兵として一般から雇われて、その能力の高さで指示を飛ばす側、会社で言うとこの係長とかになったって事か。
「ま、ごちゃごちゃ言ったけど、その技能・技術に関して認められた奴が大体特務ついてるって覚えておけば間違い無いな」
「相変わらずケイトは人に教えるのが上手いと言うか面倒見が良いと言うか」
「ん。そこが長所」
「グレッグ中佐はバイト感覚で教官やってたでしょうが。それに、姐御は大佐なんだからこれぐらいやってくださいよ……」
「ムリ、メンドイ」
メンドイって、よくそれでカリンさんは大佐になれたな……
ふと横を見るとサユリが「だからか」と呟いていた。
「だからって何だサユリ?」
「えっ、あ、フィルさん、カリンさんの弟さんなんだけど、かなり強かったしパーティーでの指示も的確だったから納得したなーって思って」
「さすが我が弟。サスオト」
ラノベみたいな略し方すんなし。
「軍では「破天荒3人組」だったがな」
「オボエテナイヨー」
何故か片言で否定するケイト。
そしてどや顔でデカ過ぎる胸を張るカリンさん。
「何やらかしたん?」
「大佐は軍の全部隊の進路方向を決める大事な会議にこの格好で出て「コミケやりたい」とか言い出した。弟の中佐は戦場のど真ん中で自身主宰のアイドルコンサート開いて、コイツは訓練生時代にアサルトライフルで対戦相手をぶん殴ってた」
おい、ほんとに軍人か?
「魔女っ娘コスは私の正装」
「一般的に違うからな?」
「軍の女性全員これを制服にすればいい」
「ファンタジー過ぎるわ!もう宇宙軍じゃねぇだろ!」
艦長はカリンさんのパーティーでの突っ込み役だったんだな。
「いや、いいじゃん。俺の時も訓練でルール守らず被弾しても無視する奴ばっかだったしさー」
それはどうなん?
ルール守んなきゃ訓練にならないじゃん。
「だからと言ってガチで気絶させんでも良いだろうが。それにフラッグ戦でもそうだ」
フラッグ戦。
簡単に言えば旗を取った方が勝つってだけの試合形式なのだが。
「いやアレはルール上フラッグを動かしてはダメって無かったし、先に不正してきたのは相手側だしー」
「何したん?」
「家の権威を傘にふんぞり返ってるボンボンどもがいてよー。一般公募の人等脅してこっちの武器に細工してきたから頭に来てさ。情報は掴んでたから、俺のメンバー全員に囮頼んで敵を引き付けてる間に俺がフラッグ背負って裏に回ってボンボンどもをボコった。反省はしてない」
「その次もあるだろ」
「リベンジ戦の時だな。アイツ等前回を警戒して後方ばっか守ってたから、全員で隠れながら目の前まで近づいて、しびれ切らした瞬間に全員でフラッグを奪ったんだ。そん時フラッグ守ってたのがボンボンどもだけだったから、おもっきりボコった。いやー面白かったなー」
「挙げ句に奪ったフラッグでもぶん殴ってたよな?」
「ちょーど良い長さの棒があったから使っただけですヨー」
それもう訓練じゃ無いよね?
「だがよ、考えてもみなって。テロリストやら海賊どもがこっちのマニュアル通り動くもんか?こっちとの経験値の差がありまくるならセオリー通りマニュアル通りに動いても問題ないさ。けど、相手が元軍人だったら?逆に的になるだけだぞ」
「その為の軍略だろうが。ワンマンアーミーは映画の中だけでいいっての」
と、グレッグ艦長が言うがごもっともで。
………けど、地球に居た頃にそのワンマンアーミー達に手解きを受けたあたいとサユリはどうなんだ?
そう言えば、救助した人員の中におじさま達は居なかった……最後まで地球で戦ってそうだな。別の船で脱出したのを祈るしかない。
「ともかく、スポンサー契約の件は大佐に頼むとして、ケイトを紹介したって事は……」
「VRに慣れてる」
なるほど、VRに慣れているならDMCユニットも扱える。
つまり、新たなパイロット候補って事だな。
スポンサー契約をした後、あたい達は一度艦に戻った。
――――――――――――――――――――
補足
軍本部
統合銀河混成宇宙軍はカリン達が所属していた軍隊で略称はIGHSA(IntegrationGalaxyHybridSpaceArmy)隊員達からはIGA、イーガ、もしくは軍、統合軍と呼ばれている。
本来は外宇宙への進出を目的として組織された惑星航行船団が次第に大きく膨れ上がり、巨大な旗艦(地球の約半分の大きさ)を中心に数多くの艦船で活動を続けている。
旗艦内部は軍部と民間とで別れ、艦首は軍部用戦艦として分離でき、後部は民間人達(主に技術職中心の為、正確には軍属)が暮らせる居住区画となっている。
旗艦の周りの艦船の半数は戦艦であり、残りの半数は一般人が住む居住船、移民船として機能している。
兵士達は訓練生時代は旗艦で過ごし、卒業後は編成されたチーム毎に他の艦船へ派遣、もしくは旗艦内部の居住区画軍人特区のシェアハウスを割り当てられる。
この特区にはセレブ街並みの敷地や施設と艦内移動用カーゴとクエストカウンターがあり、一般人達は軍部の許可が無ければ物資配達ぐらいしか立ち入れない。
兵士達は軍部からの依頼を此処で受けて日夜
※特務を基本的に持ってるのは政治将校が多かったりするのだ!軍とは別系統の階級で、政府直轄だったりするのだ!
IGLOOのモニクさんがその例。政治将校だから持ってる権限は中佐クラスで、打ち解けるまでは毛嫌いされてたのだ!
ギ○ンの側にいる赤い軍服着てるねーちゃんもそーなのだ!
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!
3000PV突破感謝なのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
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