3-3 ドッペルゲンガー?

「……そんなキラッキラした目でみるな。軍で試験運用中だから俺等一般に出回るのは遥か先だ」


ちぇっ……そんな便利な端末……欲しいじゃないか!


「あの……カリンさん?その端末って……」


「いくらで買う?」


「はあっ!?」


「あんの!欲しい!超欲しい!!」


なんでも軍を辞めた時にカリンさんは何個かの端末をパクっ……軍に使用試験データを送る代わりに拝しゃ、貰ったそうだ。


「隊長……どうなっても知りませんぜ?」


「問題ない。既にウチだけの仕様に変えてある」


問題なさそうだ。


「いや、買わねぇからな?」


ちぇっ。


「ちぇ……つまり、量子テレポートがあるのは艦隊用のでかいのか荷物運び用のちっさいヤツだけで戦艦1隻分の丁度良い量子テレポート装置は造れてないってか?」


「そうだ。何故か両極端でな?使ってるエンジン…てかエネルギーが安定してなくてな。丁度良い中間になると量子化できても再構成できねぇんだ」


不思議だねー?

そのエネルギーなら量子化出来るのに、しようとするとアホほどでかいかちっさいか。

出力の上げ方の問題なんかな?

ま、気にしてもしょうがねぇか…そういや、も一個気になる事が。


「てかさっきからカリンさんの事、隊長って言ってんのは?」


「おう。軍に居た時と隊長がカリン。副隊長はカリンの弟フィル。俺は雑用係で後、機械生命体のエクスマキナとケイト、お前と同姓同名のそっくりさん、ケイト・アーカイブってのがいる」


そっくりさん!?機械生命体!?


「あたいはどれに反応したらいいんだ?そっくりさんか?機械生命体の方か?それとも艦長が雑用係って方か?」


「ははは!マキナは今オーバホール中でギルドで合流予定だ。ケイトは……」


「今ウチでテスターやってる」


「お、じゃ直ぐに会えるな。俺が雑用係ってのはメンバー全員が個性的でな。俺とケイトが下準備やら報告やらをやってたからだ。言っとくがケイト。もう一人のケイト「も」じゃじゃ馬だぞ?」


「へえ、そいつぁ楽しみだ」


「楽しみにしてろ。とりま一度纏めるとだ。ケイトとサユリと……隊長の目的の為にも地球へ向かうのは決定事項。で、その為にもグランシードクラスの機体とパイロットが必要と。スポンサーの件は隊長に頼むとして……パイロットが問題だな……」


あー……確かに、グランシードのDMCユニットを使いこなせるのは今んとこあたいとサユリだけだしな。

せめて後4人は欲しいか?これで2小隊分になるし。

欲を言えば師団クラスの規模があればよゆーだし、艦隊でなら圧倒出来る。



軍は動かないだろーなー。



「とりま機体データ」


「エリーゼ」


「はい。グランシードとアエードーンの機体データをカリンさん宛に送ります」


エリーゼさんが端末を操作する。


「ん。受け取った……スペック見ても運用見ても頭おかしい。ケイトが喜びそう」


「だが、システムが人選びますぜ?」


「そこは慣れる」


慣れるってそんなに簡単じゃ無いと思うんだが?………ま、あたい似の元軍人だし大丈夫か。


「じゃ、行こう」


「隊長。此処に工場が?」


「設計だけ。工場は別」


そう言って店の更に奥へとカリンさんが向かい、慌ててあたい等も着いていくとエレベーターが設置してあり、それに乗って地下へ。

着いた場所は店より少し広い部屋だった。


「うだぁぁぁぁぁぁ!!コードが邪魔だあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


部屋に木霊する絶叫。

その声の方を見ると大画面のモニターの前でめっちゃ昔の(あたいにとっては一昔前)の有線式VRゴーグルを着けた金髪の少女が、これまためっちゃ昔の(あたい等地球人でも昔)のゲームをやっていた。

てか、アレはPC用ケーブルか?

無線で出来る家庭用と違ってPCゲームのはコードが必要だったりする(流石にあたいの時代では不要)から、動き回るゲームの時はめちゃくちゃ邪魔になるんだよな。


「お?あのゲームは……」


なついな、腕を動かして敵を斬っていくアクションゲームかー……ふと横に目を向けると同じゴーグルがもう一つ。


「くっそ……コードさえなけりゃ……あ?」


『HERE COMES A NEW CHALLENGER!!』


思わず辺りを見渡す少女。


「誰だてめえ……」


あたいは問いに答えずキャラ選択。


「……同キャラか?おもしれぇ!」


さて、ゲームチャンピオンとしての格の違いってのを見せますか。

対戦が始まると同時にどたばたと暴れる音が聞こえ、画面内のキャラが突っ込んでくる。

あたいは肩を軽く動かしてその突撃をさらっと回避しながら腕をちょっと回す。


「んなぁっ!?」


画面内であたいのキャラがダメージを与え、予想外だったか相手が叫ぶ。

フフフ………驚いてる驚いてる。

じゃ、次はこっちから行きますか。

少しだけ体を動かすとあたいのキャラが一気に間合いを詰め、手首の動きだけで乱れ斬っていく。

あたいの画面に『YOU WIN』と表示されたから、相手には『YOU LOSE』と表示されてるだろう、当たり前だけど。

コントローラーを手放しゴーグルを外すと、隣の少女も同じく外していた。


「…………」


あー、艦長に聞いてはいたがこりゃ凄い。

ボサボサではあるが、金髪、碧眼の超絶美少女(自画自賛)がポカンとした顔で立ち尽くしている。

てか、ほとんど鏡だなこりゃ。


「……………い」


「い?」


「いやぁぁぁあああぁぁぁああドッペルゲンガーァァァァァ!!!」


うん、ドッペルゲンガーはドイツ語由来だねー。


――――――――――――――――――――

補足


VRゴーグル

言わずと知れたヴァーチァルリアリティーを楽しめるゴーグル。

本編で使用されていたのは2020年モデルで無線でも扱えるのだが、PCで遊ぶ際にはケーブルを繋げ使用する。

しかし、地球から宇宙に流れた商品はまともに説明書がなく、使用者が手探りで起動させていた。



※ようやくもう一人の「ケイト」が登場なのだ!


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

3000PV突破感謝なのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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