2-8 ピフピヘット4

「ケイトだ!今戻った!そのまま出るぞ!」


『了解です!進路オールグリーン!発進どうぞ!』


「ケイト・アーカイブ!出る!!」


ハッチからのっそりと出たあたいは、港の外へ飛び出し、下層へ向けて加速。


『サユリ・サトウ!アエードーン出ます!』


サユリもあたいに続く。


『待ってたよ!』


外に出ると先行していたマリアのソルジャーが待っていた。


『話は聞いたよ。こんだけいれば制圧余裕でしょ』


エンハンブレの全部隊、計十数機のファイターとマリアのソルジャー、そこにグランシードとアエードーン。



一輸送艦が保有する戦力じゃねーな。



母艦であるエンハンブレもこんだけの機体を積んでなお、ジャンク品やら何やらを積んでられるんだから、ただの輸送艦じゃねー。

ま、相手にしたら悪夢みてーなもんだ。


エリーゼの話では、通常、戦艦一隻だけを制圧するのに最低3機のMAで事足りる。

なのでこんだけの数はオーバーキルにも程がある。


『見えたぞ!』


下層に着くとドックに停泊している艦は一隻のみ。

その艦は雫型と言うか毛玉?見たいな形の艦なのだが、他の船と比べると結構小さい。



エンハンブレがでか過ぎるだけかも知れないが。


「割りと小せぇな?」


『規模的には普通の輸送艦みたいね。こんなにいらなかったかも?』


「あ、やっぱアレが普通サイズなんだ」


『まーエンハンブレは元々小規模の軍艦だしね。色々兵装オミットしてるから輸送艦で通ってるだけよ』


エンハンブレ、アレで小規模なのかよ。

オミットねぇ?本当かね?

ちなみに大規模の軍艦だと最低100機は搭載出来るんだそうだ。



宇宙パネー。



『どうやら動いて無いみたいね』


「偵察行ってこよーか?グランシードの防御力なら大抵は余裕だし」


『お願い。隊列整えたら警備隊を待つわ』


て事で港に向かって行く。

反応無し……ちょいとスキャン……火も入ってねぇって事は無人かよ!

どうやらまだ到着していないみたいで、搬入口の両脇にホーミングレーザーをロックしながら犯行グループの物と思われるその船に乗っかって待つ事に。

もうちょい後ろかな?

この無駄に流線型のお陰で搬入口からはあたいは見えないはず。


『さてさて………おマヌケさん達は何時来るのかなっと』


ジッと待つのは正直、性に合わないけどな。

それでも地球に居た時、避難先にたまたま居たお髭と胸毛が素敵なオジイサマとか元レスラーの俳優だとかに可愛がられてめっちゃ戦える様になったから、半日ぐらいならあたいでも待つ事は出来る。

サユリに至っては何人かのガタイの良いおじいちゃんに教わってたな。

お髭のオジイサマ曰く、では有名なスナイパーの方々だったらしい。

元レスラーの人も子供好きで有名で、スキンヘッドと笑顔が素敵な人だったなー。

お髭のオジイサマも良く冗談で「昔コブラに噛まれたが、数日のたうちまわって死んださ。コブラがな?」って笑かしてくれたなー。

その時周りの人達、大半は笑ってたけど何人かは怯えた様な尊敬の様な目をしてたのがよく分かんなかったが。

などと脱出直前の日常を思い出してたら、搬入口に何人かの人影が。

あたいは奴等が搬入口を出た瞬間にレーザーをぶっぱなし、搬入口を崩し退路を塞いだ。


『ヘイ!そこまでだテロリスト共!武器を捨てて投降しろ!』


「MA!?新型か?回り込まれたか!」


「どうしやすリーダー!」


おー慌てとる慌てとる。

でもなぁ、もう終わってんだよあんた等は。

暫しにらみ合いをしていると、崩れた搬入口からもう1人出てきた。

やべー!まだ人居たのか!



怪我とかしてねぇよな?



崩れた搬入口から現れた人物は……


『ん?ありゃあピフピヘット……か?』


「……お兄様。もう終わりなのです……」


「混ざり物?」


混ざり物?

それにお兄様って、手伝いしてるって言ってた奴の事か?

っと、何かエリーゼ……副艦長から連絡が。


「既に十数機のMAに包囲されてるのです。逃げ場なんて無いのです!投降するしかないのです……」


「ふざけるな!ようやく!……ようやくココまで来たのだ……!今更どうしろと!」


「無関係な人達を巻き込んだのですよ!?」


『あー……揉めてるとこわりぃけどさ。そう言うのは後でやってくれねぇかな?』


「その声………ケイトさんですか!?」


『そーだよ。ピフピヘット、事情を聴きたいからこっちに来てくれ。もうすぐ警備隊が来るから、そうなるとうちの副艦長がキレる。あんた等も武器を捨てて投降しな』


エリーゼさん、あー見えてかなり前のめりな性格だったのな。

密かに誘導ミサイルをこの搬入口にロックしてる………あたいもブッ飛びそうなんだが?


「分かり……ました」


ピフピヘットが軽く屈み、自身の触手の反動でグランシードに向かって飛んだ瞬間、そのお兄様とやらが触手を伸ばし、ピフピヘットを羽交い締め……か?巻き取った。


「動くな!」



――――――――――――――――――――

補足


ケイト専用バイオウェポン

武器販売店舗については前回説明したが、この工房が必須である理由は、あまりにも多種多様な種族数であり、全身触手のテレンテテーレ人ではトリガーガードが逆に邪魔だったり、指がでかい蹄の種族ではトリガーが引けない、武器を保持しにくい等の理由で正規品を改造しなくてはならないからである。

この改造に際して制限自体はほぼ無く、反応兵器の様な広域破壊の威力の物や、長時間に渡って周囲に影響を及ぼす細菌兵器以外、制限されていない(数分で消える短時間の細菌兵器は販売されている)

そこでケイトは自分に扱いやすい様に改造を施した。

アサルトライフルにはそこまでの改造は施していないが(精々展開の速さと速射性、集弾性能の向上程度。燃費の悪さを犠牲に威力も上がりやすくなっている)バズーカに関しては大幅な改造が施されている。

その最たるは「バイクモード」であり、バズーカ自体の大きさ(大柄の男性でも一抱えするぐらいの大きさ)を利用し、反重力での浮遊及び飛行を可能にし、時速30kmでなら1時間以上は飛び続けられる。

欠点はそれを超えるとケイト自身が倒れる事と、エネルギー弾をブースターとして使用している為、後方に有る物をビーム粒子で焼き切ってしまうので、人が密集する場所では使えない事である(戦闘機のアフターバーナーで芋を焼く奴はいないのと一緒。危なすぎる)

更に両方の武器共に強度も上げてあるので、アサルトライフルは銃口部から集束したビームを出す事でビームランスとして、バズーカは広い銃口部で殴ると同時に爆発を起こすインパクトハンマーとしても使用でき、中遠距離のみならず、近接にも対応出来るようになっている(ただし、自身も吹っ飛ぶが)

この改造が詰め込みすぎな為、ピーキー過ぎてどう足掻いても改造出来ず長時間悩み続けたが、ピフピヘットが見事に纏めた事でケイトにしか装備出来ない白兵装備として完成された。

その際、うたれた銘は

アサルトライフルは「ファフニール」

バズーカは「アジ・ダハーカ」



※テレンテテーレ人の声が宇宙空間で普通に聞こえるのは謎。


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

2000PV突破感謝なのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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