2-5 ピフピヘット1

サユリがごんぶとビームにうっとりしてる間に工房(と言ってもプログラム用端末機と3Dプリンターみたいな機械があるだけ)を借りてちょいと改良。

出来るかどうかは容量次第、って感じ?

まず、2つのバイオウェポンの板……ウェポンパックを並べて端末に繋げて………


「う~ん……此処をこーしてあーして、効率を合わせて………あー威力が落ちるかぁ……だったら此処に比率を逃がして………やっぱダメか?だったらウェポンパック自体に手を加えないと………」


「何をなさってるんです?」


「いや、この2つを1個にしてスイッチ1つで切り替えられる様に改良を……ってうわひょうぇ!?」


「ひゃあぁぁ!」


かけられた声にモニター見ながら返事してから振り向くとそこで目に入ってきたのは蠢く無数の触手。

あまりの衝撃であたいは飛び上がり、席から転がり落ちた。

何を見たのか脳が処理出来ず混乱し、体の奥から悪寒が沸き上がり、震えが止まらなくなり、段々視界が暗く落ち込んで……


「だ、大丈夫なのです?」


かけられた声と同時にフレグランスな良い香りが………ラベンダー?

どんどんと錯乱した意識が落ち着き、視界もはっきりしてきた。


「えっと……あんたは?」


「あ、ご、ごめんなさいなのです、急に……興味深い事をなさっていたので、つい……」


一瞬テチテットかと思ったが、触手の色が全体的に緑に光の当たり具合でうっすら青が浮かぶテチテットと違い、赤みの入った触手に少しピンクが入っていて別人だと分かる。


「ごめんなさい、テレンテテーレ人はやっぱり怖いですよね、すみません……」


自覚あんのかよ。


「いや、まぁ、そだな。いや、この場合はあたいが悪い。すまなかった」


本人自覚してんのに、こっちが差別すんのはいただけねぇよな。


「い、いえいえいえいえ……そ、それよりも此処の回路をこっちに繋げた方が良いかと」


「ん?……ほうほう」


「多分ですけど、この部分にコネクターを付けて外付けの増設パックを付けた方が……」


「いや、そうなるとデカくなり過ぎてかえって邪魔に……」


「でしたらこの側面に……」


2人であーでもないこーでもないとモニターを睨みながら組み立てながら約一時間後。


「ケイト何やってんの?」


後ろから声を掛けられたが、振り向かなくても誰か分かるな。


「お、サユリ。買いもんおわたー?」


振り向くとやはりサユリだったが、その手には紙袋2つ……いや、紙袋って。

ちょくちょく宇宙っぽく無いんだが。


「終わったも何も一時間近く経ってるよ?所で……」


サユリが隣に立つ触手の塊に目を向ける。


「あ、彼女は……彼女?で良いんだよな?えっと……」


そう言や名前聞いてなかったな。


「初めまして、ピフピヘットと申します。ご覧の通りテレンテテーレ人なのです」


「ケイトだ。遅れてすまん。で、こっちが」


「ご、御丁寧にどうも……サユリ・サトウです……そ、それよりもケイト?何やってんの?」


「あぁ、バイオウェポンを1個に纏められんかと思ってな」


「また無茶な事を。でも、気持ちは分かる」


「だろ?でもまあ、彼女のお陰で出来たぞ?」


「へぇ、それは……凄いわね」


エリーゼさんが少し驚いた顔でやって来た。


「輸送艦エンハンブレ副長のエリーゼよ。そう言う発想はケイトとサユリだけにして欲しいんだけど……」


「何時の時代もそう言う奴はいるもんだって」


「分かってるわ。それより貴女」


「ピフピヘットです……」


「何処か雇われてたりする?ウチで雇われてみない?」


「ふぇっ?い、いえ、その……あ、兄の手伝いで色々あるので……」


おっと、エリーゼさんが熱烈ラブコールたぁ流石だぜ……ピフピヘットの優秀さを見抜いて雇おうとするとは。

あたいが言うのも何だが、彼女はヤバい。

何せ、画面を見ただけであたいのやりたい事と想定してた事を言い当て、範囲内にきっちり納めてきたんだぜ?

そんな彼女が兄とやらの手伝いしかしてないとは……


「そう。でも、貴女はもうすぐ成人じゃないかしら?」


「よ、よく分かりましたね……」


「ど言う事?」


「テレンテテーレ人はね?成人するとこの触手のイボが大きくなるの。そして男性は大きく不揃いに、女性は大きくなるけど隙間なく綺麗に並ぶのよ。彼女のはまだ少し隙間があるから、成人前って事になるのよ」





ふーん。





いやわかんねーよ!



「お詳しいですね」


「知り合いにテレンテテーレ人が居るからね。でも、そうね……もし働き口を探す時はウチに来なさいな。優遇するわよ?」


「………ありがとう、ございますなのです」


用事があるのを思い出したらしく、じゃあ、とピフピヘットが去っていく。


「ふられたな?」


「残念。無理矢理でも雇いたかったわ」


その後、ピフピへットと別れあたい達は、他に必要な物を購入し、艦へと戻った。


「物資搬入、後数分で終了します」


「おう。意外と早かったな。ファクトリーに発艦許可を。本艦はこの後、当初の予定通り軍本部へと向かう」



ブリッジ


「艦長、軍へ向かった後、どうする?」


ブリッジに無遠慮に博士が入ってきた。


「爺さんか。そうだな、回収したカプセルを引き渡した後、ギルドにでも行くか。試験データの依頼自体終わってないからな」


「では暫くは小銭稼ぎかの」


「発艦許可下りました。何時でも行けます」


「良い儲け話があればな?よし、ではエンハンブレはっ」


その時、小さくズンッと衝撃が起こった。


「何だ!」


「分かりません!」


「ファクトリーに問い合わせろ!外部映像を確認しろ!」


「了解!………モニター、出ます!」


ブリッジのメインモニターに外の映像が写し出される。


「こ、これは………!」


――――――――――――――――――――

補足


テレンテテーレ人

テレンテテーレ人は第13銀河234恒星系第9惑星イダチを母星とする種族で、その中のマシレーア大陸の国家「ポーラーシ」を中心に生息する種族である。

その生態は地球の植物とほぼ変わらず、主に光合成で生活している。

しかし、通常の食事が出来ない訳では無く、人間種と変わらず摂取する事も出来る(ただし量は少ない)

また、自在に動く触手はそれ自体は植物である為痛覚は無く、切られても痛みは無い。

男女の見分け方は本編にあった通り、触手のイボの配置・配列で、それ以外の見分け方として、体色が黒に近い系統ならば男性、白ならば女性であり、どの色であっても明るいか暗いかで判別可能である。

つまり、青いテチテットは男性である。



※歩くホラー、テレンテテーレ人は慣れないと発狂しかけるのだ!


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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