2-4 バイオウェポン
試射場
ビックに案内されて地下の試射場へと来た。
この店の地下にある試射場のレンジは、最大約164フィート、つまり50mだ。
ビックの話では壁や床、天井に戦艦の装甲材を埋め込んで複合材として使ってるらしく、それこそMA用火器や戦艦の主砲でなければ貫けないだろう。
「取り敢えず平均的な反動の武器を集めたがよ………コイツ等で良いのか?」
「おうよ」
目の前に置かれたのは四角い赤色の板。
なんでもスイッチを押すと展開されるそうで携行性はかなり高い。
あたいはビックに頼んでコンテナを積み上げてもらい(目の前の台にどう足掻いても背が足りない)、台に置かれたいくつかある中の1つを取りスイッチを押すと、あたいの身長より少し大きいデカイ銃身、いや、砲身が現れた。
ほとんど旅行鞄か抱き枕だな。
だけど、見た目は紅く燃える毛玉の化け物みたいな見た目だな。
「いいか?弾自体はエネルギー弾だから反動は少ないが無ぇ訳じゃねぇ」
「わーってるよ!」
さてさて?一体どんな感じなのかなっと。
「どわっ!」
スイッチ式のトリガーを押すと凄い衝撃で砲身が跳ね上がり、後ろに弾き飛ばされそうになる。
コンテナ足場も崩れず良く保ったな。
「とっととっ、とっ、と」
「大丈夫か?」
「ちょいと驚いただけだ」
大きなエネルギーの塊が真っ直ぐ飛んでいき壁に当たると爆発が起こる。
エネルギー弾は実弾と違い、放物線を描く事は無い。
これが純粋なレーザーだった場合、黙視出来ず光ると同時に着弾してるのだが、制限なのかなんなのか目で追えたりする。
とは言え、歩いて避けれるもんでも無いが。
「……いいね」
「バズーカやグレネード系はガタイの良いヤツが好むんだが………てか相性は悪くねぇみたいだな」
あたいが選んだのはバズーカのバイオウェポン。
昔、「閃光のスターダスト」を遊んだ時に使ってたのがコレだった。
だから使い方は分かってんだよ。
グリップから手を離すと元の板に戻り、あたいは別の板を手に取りスイッチを押す。
「今度はアサルトライフルか」
細長い槍、中世のランスみたいな細長い銃身が現れるとすかさずトリガーを引く。
小さなチョークみたいなエネルギー弾が次々と飛んでいく。
さっきよりも弾速が速いな。
「グレネード!」
あたいが叫ぶと銃身の下部が開く。
その姿は竜がブレスを吐くかの如し。
そこからエネルギー弾のグレネードが射出され着弾、爆発が起きる。
「おいおい……グレネードの説明はしてなかったんだが?」
これもゲームで以下略。
「良いね」
「また両極端なチョイスだな」
「まぁな?しかもこれ、他にモード有るだろう?」
「よく分かったな。どっちもエネルギー系だからな。集束砲が撃てるぞ」
やっぱりな。
まぁ、それ以外の使い方も有るんだが、流石に目立つし危ないからやらないでおく。
ゲームだけで、現実出来るか分からんし。
「この2つが良いな。だが……工房とかあるか?」
「有るにはあるが……何する気だ?」
「ちょいと手間を省こうかと」
だがその前に、こんな場所が大好きな奴を連れてこなきゃな。
「えっと、じゃあこのモデルのヤツを1つずつ買わせ……お?」
「あん?どした?」
「いや………そうかそうか。ビック、この2つを売ってくれ」
「それらは試射用のサンプルなんだが……」
「なんてーの?気に入られたみたいで収納してるのに手から離れん」
あたいはビックに両手を見せると、手を開いているにも関わらず、2つのバイオウェポン
が手のひらから全く離れない。
「こいつぁ珍しい。話には聞いてたが初めて見る。バイオウェポンが自ら持ち主を決める事があるって言われてたが………」
「私も初めて………」
あたいが選らぶまでずっと黙ってたエリーゼも初めてみたいだな。
使い出も良かったし銃自身が気に入ってくれたのなら、何の問題も無いな。
て、事で改めて2つを購入(払いはエリーゼが会社名義で買って後で給料から天引き)し話し合いが終わったサユリと合流した。
「話は終わったか?」
「まぁね」
「ほい。サユリにお土産だ」
「こ、これは!!デッカードブラスターじゃないですか!」
「どうも武器メーカーに映画好きがいるみたいでな?カタログ見てたら売ってた」
「マジっすか!?」
「えーと……サユリさんって……」
エリーゼさんが若干引き気味なのは置いとくとして。
テンションが上がりきったサユリをあたいのお願いと言う名の無茶振りをエリーゼさんにしつつ、もう一度ビックさんのお店へと引き返した。
到着するなりサユリの暴走が止まらず、流石のビックさんもたじたじだ。
「あー……つまりバイオウェポンってのは、ある種の生体兵器で……」
「ではではビームしか出ないと?弾薬を産み出す理論上実体弾もあるのでは?そもそもそのエネルギーは何処から供給を?武器に意識とか意思みたいなのは?意思が有るなら射手との相性とか有るの?ライフリングとかの加工方法は?トリガーのテンションとかの調整方法は?状態異常を与える事は?あ、待って、そもそも冷凍弾とか徹甲弾とかの切り替えは出来るの?」
「お、おう………」
めっちゃ困っとるがな。
身長2m超えの二足歩行のワニが女性一人に押されまくっとる。
その後、質問攻めをしまくったサユリはいくつか見繕って試射場へと向かっていった。
サユリはしばらくハンドガン(デッカードブラスター)を試射した後、バイオウェポンのハンドガンを試す。
「う~ん。悪くは無いんだけど………」
「ダメか?」
「実体弾のデカブラと違ってインパクトがねー。ま、ハンドガンだからだろうけど」
「ならライフルとかはどうだ?」
「びみょー。何と言うかこう、ガツンッ!とした感じ?そんなのが欲しいかな?」
「だったらあたいのバズーカとかグレネードとか?」
「そうね………」
サユリはカタログをパラパラ捲り、とある所でピタッと止まる。
「………盲点だったわ。カタログの最後の方に載ってたとは………」
「ん?………あぁ、そう言うのもあったな。ビック、コイツを持ってきてくれ」
ビックに新たに持ってきてもらったバイオウェポンをサユリは受けとると展開させる。
「あぁ………良いわね………」
「撃ってからにしろー」
サユリが展開したのはマクミランTac-50-A1-R2。
最長射程距離を誇る有名な狙撃用対物ライフルで、軽量かつ安定性の高いバイポット(銃身を支える二脚)に加え、油圧式反動軽減ストック「R2システム」を装着している、アメリカが誇る対物ライフルだ。
弾丸にはHEIAP弾(徹甲榴弾焼夷弾)等を使用するが、サユリが持つヤツはそのバイオウェポン版、つまりエネルギー弾だ。
「確かバイオウェポンの弾は精神力だったよね………」
地面に三脚を立て固定しトリガーに指を掛けると、先端のマズルブレーキに光の粒子みたいなのが集まってくる。
サユリがトリガーを引くと、ぶっといビームが発射され、的を飲み込んでいく。
「………すっご」
「良い……良いわね!見た目がマクミランなのも良い!」
「ふむ、バイオウェポンはな。元が元だけに見た目は生物的なんだが、憶えさせる事で見た目を自由にデザイン出来るのも売りの1つなんだ」
「じゃあ、あたいが買ったのも出来んのか?」
「出来るぞ」
そっかー出来るかー。
でも、そんなに見た目に拘って無いからな。
逆にバズーカは紅く燃える牙を剥く毛玉の化け物みたいなのが気に入ってるし、アサルトライフルは槍の様に細長い顔の竜っぽいのがクールで気に入ってるからな。
カスタムしたいとこはソコじゃないし、買って直ぐ展開してみたら、あたいの動きを妨げない形(と言ってもどっちもあたい自身が隠れるぐらいの大きさなんだが)に勝手に形を変えてくれたから、このまんまでいいわ。
――――――――――――――――――――
補足
バイオウェポン
現在、対人において最も使用される武器は、どんなに時代を経ようとも、住む世界(あくまで今の次元で)が変わろうとも、大きく変わる事は無い。
しかし、科学力が宇宙規模で進化した事でエネルギー兵器が登場、一般化した事でコストも現代よりも跳ね上がり、威力・安定性の向上を図れば図るほど開発費も青天井となった。
軍ならいざ知らず、一企業では開発をするだけで傾きかねず、早急にコストダウンを計らなければならなかった。
そんな中、とある惑星で特殊な器官を持つ生物が発見される。
そこに目をつけた開発部はその生物を捕獲。
研究の中で生物の細胞と転送技術の分解・再構築を用いる事で、携行可能な武器として開発。
わずかな細胞片から作成出来る事で、大幅なコストダウンが計れたが、高額な転送技術を更に小型化すると言う新たな開発で、そこまでのコストダウンは計れなかった。
現在では、ある程度押さえることが出来る様になったが、それでも他の武器と大して差がない。
また、元々が生物である為、持ち主との相性があり、開発当初は拒絶反応があったが、現在では威力の低下、何となく扱いづらいだけにとどまっている。
※物によっては自立稼働してるらしいのだ!
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
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