1-10 1+1=化け物
『進路オールグリーン!発進どうぞ!』
「グランシード!ケイト・アーカイブ!出るぞ!」
艦の横合いに開いたハッチから外に伸びた、と言うか、外に開いたハッチがカタパルトになり、そこに乗ったグランシードが星々の大海原へと射出される。
『発進シークエンス、クリア。進路オールグリーン!続いて発進、どうぞ!』
「サユリ・サトウ、アエードーン出ます!」
同じくカタパルトからアエードーンが射出され、大海原を切り裂いていく。
『どうだ!?アエードーンの調子は!』
「想定以上に良いよー。思考制御もいー感じで働いてくれてるしね!じゃ、次行ってみよー!!バードモード!!!」
アエードーンの頭部、ゴブリンにも使用されているでっかいバイザーが上に開きファイターの顔が出て、機体がうつ伏せになると、腕部レッグパーツを折り曲げM字になり、脚部が背面側に折れ逆関節になってブースターになる。
「ブースト!」
背面、腕部レッグパーツ、レッグパーツから火を吹き加速する。
『完全変形しただと!?俺の思ってた変形と違うぞ!?』
『どーじゃ!!あの娘の案じゃぞ!!ゴブリンの無駄にでかい頭部を装甲パーツに見立てファイターの頭部装甲として外付けし、ソルジャーのレッグパーツの長さをブースターとして使う!』
『脇締めてブースト吹かすぐらいにしか考えてなかった………』
ブリッジの通信の先で博士が子供の様にはしゃいでいる。
いや、基本的にサユリだからな?
考えたの。
加速性能も悪くない。
あっという間にあたいを追い越し艦を一周してくる。
『なんて速さだ………』
『ほっほぅ!予想以上の速さじゃな!』
『続いてビークルモード!』
腕部レッグパーツが縮みながら反転し、背面の2基のブースターが左右に別れ機体の横に移動すると、背面に折り畳まれたプレートが展開される。
まるで日本の漢字ってヤツの「出」の文字みたいになったな~しかもプレートがあるから亀みたいに見える。
速度はそこまで速くないが、前方にブースターを吹けるから、高速バックもでき、更に高火力の隠し球も使える。
そのアエードーンは今度は減速しグランシードの足元へと近付いてくる。
あたいはグランシードをそのプレートに乗せる。
『輸送機になった……だと……!!』
『お客さんどちらまで~?』
「ちょっとそこのデブリまで~………っと、なかなかバランスが。グランシードだと少し狭い。ソルジャーやファイターなら余裕か?これってさ、アレだよな?」
『そだよー「
「コンセプトはゼータだよな?」
『どっちかと言うと
「じゃ、次行ってみよー」
あたいは一度離れると今度はアエードーンと軸合わせを行う。
『同調システム起動!』
「受け取った!起動!………承認!」
グランシードの背面ブースター2基が左右に別れサブアームで腕部付近まで移動。
アエードーンの背面プレートが折り畳まれ、そこにグランシードのブースターが抱き抱える様に移動しアエードーンと接続。
アエードーンの腕部レッグパーツが少しグランシード側に角度を変え、先端が開きぶっとい砲身が出てくる。
最後にアエードーンの大型バイザーに付いているサブアームが伸びて、グランシードに被さり大型バイザーがグランシードの追加胸部装甲になる。
『ブースター接続確認!レッグキャノン、リンク!システム同調開始!ユーハブコントロール!!』
「アイハブコントロール!」
『はぁ!?なんじゃそりゃ!!』
ブリッジで艦長が叫ぶ。
そりゃそうか。
この3日の間に調べたが、この時代でも……いや、艦長達の星系技術には元からドッキングなんてのはシャトルや艦がドッキングベイに停泊する時ぐらいしか無かったからな。
「合体完了っと」
『上手くいったねーこの状態の機体名なんにしよっか?』
「名前なんているのか?」
『キーワード登録してそれだけで合体出来る様にしとけば便利だよ』
ふーん、そんなもんかね?
何か無いかなー?グランシードは元々大地を表す「
アエードーンは小夜鳴鳥(ナイチンゲール)のギリシャ読みとか、その神話に出てくる姿を変えられた女性の名前とかってサユリが言ってたな。
うーん、大地と種と鳥………
「あーそーだなー……「
『確か……「普及、分散、伝播」って意味だったよね?』
「そうそう。」
『グランシード・ディスパーサル……意味は?』
「あー、日本語だと「大地種子散布」かな?グランシードは「大地」「種」を組み合わせたもんで、シードディスパーサルは「種子散布」だからな」
『だったら………』
「お、良いねー」
サユリから送られた簡易コードに満足しながら一度帰還する。
んで。
「何であたい等艦長室でジャパニーズセイザさせられてんだ?」
「さ、さあ?」
「年寄りには堪えるんじゃが……」
「テメー等が報告出来ねぇもん作るからだ!!!!」
――――――――――――――――――――
補足
某ロボットアニメに出てくる機体を乗せて飛行する航空機の総称。
なのだが、この時代でMAはあるのにそれを支援する支援機が殆んど無い事に気付いたサユリは、ジャンクパーツから使える物をかき集め、支援機を作り上げた。
この時代での支援機とは、移動用や輸送用が主流であり、重力下であろうと無かろうとMA単機で行動する事も無く、ましてや長距離移動をする事は無い(小隊単位で輸送機による輸送の方が効率的)
しかし、戦場が広大な宇宙の場合、MAを展開するにあたってSFSを使用し、前線に短時間で行けるのは強みであり、燃料効率、時間効率が良く、母艦の安全性も高められる。
欠点としては、前に出すぎる事が多くなる事であり、帰還時に支援機を狙われて帰れなくなったり、支援機自体を囮に使ってしまい、コストがかさむ事。
この世界における正式名称は未だ未定。
何故、この世界に宇宙用戦闘機が無いかと言うと、地球圏への偵察、及び、地球解放戦の時に撃墜された30%がソレであり、大半のベテランのパイロットが死亡し、武装が少なく火力の劣る戦闘機よりも、汎用性に富んだMAの方が生存率が高まる(盾を持てる)為、現在はほとんど製造ラインに乗っていない。
また、現存する物は企業が軍から買い取って運用している為、軍では高速連絡用にしか使われていない。
だが、企業で使う分には問題ない為、全く存在意義が無い訳では無い。
※青く眠る水の星にそっとネタを置いてきたのだ。
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とか下さるともっと嬉しいのだ!!
次から投稿速度を落とすのだ。
調子に乗ってるとストックが直ぐに枯渇するのだ………
申し訳無いのだ(つд⊂)
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