1-8 どっちもどっちな科学力

『そっちのコード引っ張ってくれ!!』

『あっぶ!押しすぎだコラ!!』

『足元のコード踏むなよ!』

『レンチ取ってー!』

『違う違う!2番だ!6番じゃない!』


うわー、マンパワースゲー。

艦長に連絡した後、小隊を送るって言ってたから1個小隊ぐらいが来るもんだと思ってたら、まさかの全部隊来たよ。


『しかし………内部電源が完全独立型じゃったとは』


『しょうがねぇさ。他の生命体に悪用されない為の処置らしいからな。マニュアルに書いてた』


何せ事故が起きなきゃ半永久的に稼働するオーバーテクノロジーの塊だからな。

上手く使えれば宇宙の端っこまで行ける可能性がある程だし。


しかし………非戦闘員含めて手の空いてたクルー全員来たっぽい……艦長そこにいるし。

更に手際がいいと言うのか、慣れてるのか、瓦礫を撤去する班、カプセルをコンテナに乗せる班、カプセルを運ぶ班と打ち合わせ何時したんだって早さで次々と運び出していく。

博士も他の艦員についていき、あたいがカプセルのコンソールをポチポチやってるとその艦長さまが近づいてきた。


『後は無理そうか?』


『無理。カプセル自体の内部電源は単体だと省エネモードでも30年が限界。残りは全部切れてたってか壊れてたからな。むしろ切れてなかったあたい等の分は奇跡だよ』


『いや、30年って!どんだけ持つんだよこのバッテリー!この片手サイズの内部電源なんて普通に1日持つかどうかだぞ!?』


ん~そこはほら、テラ・マーテル研究所製だから?


『うちら地球でもほれ、このマーク、日本って国のテラ・マーテル研究所って言う所のなんだけど、此処だけは全世界で100年は先行ってる科学力持ってたから』


『これは巨大な木をモチーフにしてるのか?てか100年だと?』


『その木はユグドラシル世界樹らしい。この船もエンジンとプログラム、コールドスリープの技術は日本のテラ・マーテル研究所製なんだよ』


『マジか……どーりで最近の軍の船の性能が高い訳だ。』


それは多分、軍が救出したって言う船を調べまくって流用したからじゃないかな?


『こりゃますます新造艦が欲しくなってきたな………』


『てぇと?あ、ペンチ取ってー』


『商人筋だが、エンジンその物はこっちの技術が上なんだが、エンジン周りの技術力は今までの軍の技術力よりも上らしいんだわ。ほいペンチ。それを真っ先に回収した軍が真似して現行のエンジンに流用、応用してるって話だわ。事実、軍艦だけじゃなくソルジャーがロールアウトされたのも最近でよ。新機軸で強力な武装を装備でき、性能も段違いって謳い文句でな』


『あー……ビーム兵器か』


『噂じゃ、救出された地球人が関わってるって話だ』


だろうなぁ………グランシードの武装を確認した時に見慣れた武装名だったから笑いそうになったし。

でも多分、その地球人はアメリカ人だろう。

それも「星戦争」とかの映画好き。

日本人ってのも考えたが………接近戦用武器の名前がライ◯セーバーは無いわーこっそり変更しといたわー。

それにファイターやゴブリンのデザインなんかは戦車の延長線上にできたパワードスーツって感じだしな。

ソルジャーは日本っぽいスリムな感じなんだが何かどっか違う。

グランシードは博士デザインとの事らしいが、見た感じ何か違うんだよなー………使い勝手とかパッと見とか細かい所が日本っぽいんだよなー?



パクったか?



『今その地球人は?あ、ワイヤー回してー』


『ほいよ。軍の技術開発部に居ると聞いてるが、正直な所わからん』


ん~……一度会ってみたい気もするけど今は別に良いかな?


『で?さっきからお前は何をしてるんだ?何でこのカプセルだけグランシードに括り付けてんだ?』


『あぁ、ちょいと訳ありでなー』



一通り作業が終わり全員艦に帰艦する。


今回救出できたのはざっと150名ほど。

知り合いは1人の例外を除いていない。

救出された彼等は軍で預かり難民として一度保護下に入るそうだ。

中には入隊希望者もいそうだが、流石についていけない者が多いだろう。

ま、あたいは例外だが。

何でかって?

グランシードの操縦が特殊で乗り手がいないからだな。

ただ、艦長にも言ったが、グランシードのコクピットを量産できたらパイロットが一気に増えると考えている。

皆が皆戦いたいとか、人を殺して平気なのかと問われれば「ノー」だが、あたい達が眠ってた船はアメリカ国籍。



つまり銃社会だ。



ドンパチができる奴等ばっかりじゃ無いけど、対処法だとか逃げ方とか比較的慣れてるし。

助けた中には軍関係者もいたはずだ。

それにあの時、地球を脱出したあの日、必死に戦ってたのは軍人だけじゃないしな。



さてさて、今回グランシードに括り付けて回収したこのカプセル。


軍人やダウンタウンのギャング達とは真逆の存在なんだが、あたいにとっては必須と言っても過言じゃない人物が眠ってる。

さっき除いた例外だな。

艦に戻り早速解凍処理を開始。

流石に相手が相手なので付き添いとしてオペレーターのミレイ(あたいとタメだった)を連れて解凍処理をする。

解凍処理が終了し、ピーッ、プシューとカプセルが開き、腰まで伸びた黒髪の女性が、ゆっくりと起き上がり、枕元の私物保管庫からメガネを掛ける。


「ヘイ!久しぶりのシャバの空気はどうだ?」


「………やあケイト。とりあえずあっついブラックをくれない?」



――――――――――――――――――――

「……私が艦長のグレッグだ。君は?」


お、艦長、余所行きの喋り方。

つまり今は公の場って事だな。


「初めまして。サユリ・サトウと申します。この度は我々を回収していただきありがとうございます」


「その事については他の星系から来た我々の基本理念に則っての事だから気にしなくていい」


「理念ですか?」


「昔、我々は自らの星系を飛び立ち、当然ながら他の星系の多くの生命体と接触してきた。無論、争いにもなったが、会話が可能で和平が成立するならば交渉する事を決め、その生命体が窮地の時は手を貸す事を理念とし活動を続けてきた。もっとも、これは軍の決めた事だが、我が社はその理念を尊重し遵守してきた。故に当然の事なのだ」


ほーん、なかなかに平和的なこって。

その割には元軍のエリートが一社員だったり海賊だったりになってるのは何でかな~?


「つまり、あなた方は私達の言う所、宇宙人と言う事ですか?」


「それはお互い様だろう。我等からすれば貴君達は別の星系の生命体、宇宙人と言う事になるからな。我等もまた、他の星系の生命体を未知の生物として特別視してきたが、傲りも甚だしい事を身を持って体験してきた」


「そう、ですね。すみませんでした」


そりゃまそうだな。

居ないと決めてかかるのは傲り以外何物でもないな。

100年程度の寿命じゃ、100回人生繰り返しても見えてる恒星にすらたどり着けないぐらい宇宙は広い。

そこに生命体が自分達だけーなんてどんだけ傲慢なんだよってな。


「別に責めてはいない。人の事は言えんからな」


「あ、そう言やぁ艦長さんよ。フツーに話してっけど、言語の違いはないのか?」


「ケイト。君には我等の言語がどう聞こえている?」


「ん?フツーに母国語……英語だか?」


「え!?ケイトには英語に?私には日本語に聞こえるんだけど………」


「ふむ。そこは我等の得意分野だな。先にも話したが、他の生命体とのコンタクトを積極的に行ってきたからな。君等の言語も既に翻訳済みだ」


何時の間に。

艦長の話では、軍の庇護下に入った者達、または救助された者達には専用のナノマシンを体内に入れるらしい。

それによりどんな言語でも翻訳が行え、対象の脳にも信号を送る事で相手にもこちらの言語を理解させる事ができるんだそうだ。





なにその超科学。

てか何時の間にあたい達にもナノマシン打った?


――――――――――――――――――――

補足


万能型ナノマシン

張るか昔、宇宙へと進出した軍で開発されたこのナノマシンは、本来、兵士達の健康管理を目的として開発された。

進出した軍はその航海の中で技術力を上げていったが、しかし、一番難航したのが言語だった。

困った軍は、他の星系へと赴き多くの知的生命体と接触を図るなか、コンタクトが取れた他の知的生命体に協力を仰ぎ、ようやく開発に成功した(無論この時にも大戦争に発展しかけた事もあった)

当初は健康管理ナノデバイスに翻訳機能を付けて使用していたが、長い年月をかけバージョンアップを繰り返し、現在は数多の機能を有し、ナノマシンを体内に持つ者達はある意味別の生命体になっている。



※コズピクから成長したサユリちゃん登場なのだ!大人になって別人レベルで変わったのだ!

エンジンに関しては使ってるエネルギー自体は宇宙軍が上だけど、少ないエネルギーを効率よく回すのは地球側が上なのだ!

後、ナノマシンは解凍中にぶち込まれたのだ!

この数日で多くの方が目に止めてくれて感謝なのだ!!



稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とか下さるともっと嬉しいのだ!!

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