1-4 対ヒートヘイズ

今回からケイト目線中心です。

たまに代わります。



――――――――――――――――――――ハッチを飛び出したあたいは、データを元に敵の位置を把握する。


「ウッヒョー!空を飛ぶって感じで良いな!宇宙だけど。オーケーオーケー。ではさっそく凪ぎ払うとすっかな?ロック!」


キーワードを発すると搭載されているAIがあたいの思考と視線を読み取り、ゆっくり1回転しようと体を傾けると機体が横に1回転し始め、敵として識別されている相手にロックオンしていく。


「単眼なのに網膜投射で全天周囲のはなかなか面白い……横とか縦の回転の速度は思考を読み取ってオートでやってくれると……オッシャッ!!」


両腕を左右に広げ指先を敵機に向け武器名をおもっきり叫ぶ。


「ホーミングゥゥゥレーザーァァァ!!!」


発射、と言わなかったが思考を読み取ってくれたみたいで、考えていたタイミングで指先からレーザーと言う名のビームが照射され、目で追える弾速だが不意を突かれた海賊達は咄嗟に回避するも追従してくる光の帯に避けきれず、一気に9機ものゴリアテに光が突き刺さった。


「原理わっかんねーけど、楽だなコレ。けど威力はお察しってか?射程距離も曲がりまくるとそんな無いし」


何機かは行動不能になったが、損傷が軽微な機体もあった。

中でもピンクの機体は当たる直前で機体を捻って回避し、追従するとは言え追いきれず、粒子が減っていき消えてしまった。


「追従性に特化してるから減退率もたっかいな~エース機には効果薄い?」


『ちょっ、何しちゃってくれちゃってるのよ!!』


回線を開いてた訳では無かったのだが、突如入ってきた通信にあたいは唖然とした。


「何?このオネエ言葉のオッサン?」


『何よあんた!?急に出てきて何様よ!』


何かギャーギャー言ってるなーと思いつつその近くにいた3機に目を向ける。


「あの特徴がないのが特徴みたいな機体と短足ゴリラ2機が味方かな?通信。おーい」


『な、なに?てか誰?え?味方の識別コード?あの置物よね?』


「お、繋がった。グランシードなー」


『え?グランシード?は?何であんたがそれに乗って……え……いや、誰よ?と言うかその機体……』


「味方だよね?切り札持ってきたよー細かい事は此処を切り抜けた後でー」


『え、あ、うん……って!男共は見るな!!あなたパイロットスーツはどうしたの!?』


「あ?持ってねーし着てねーし。てか認識させんなよ!真っ裸なんを意識しないようにしてんだからよ!」


実は割りと恥ずかしい。

今更だが。


『無視してんじゃないわよ!!』


後下方からガンッと衝撃を受け振り向くと、ショッキングピンクの機体がポールアックスを振りかざしていた。


「なんとー!!」


肩のスラスターを使い上体を後ろへと反らし上方からの斬撃をギリギリで回避すると、後方へと下がる。

俗に言うスウェーである。


『なっ!今の追撃を……回避したの?』


あたいは後ろ向きのままマリア機まで移動するとマリア機の肩を掴む。


「痛ってー……あたいの可愛いお尻が割れるかと思った。えーと、お肌の触れ合い回線できてっか?」


『お肌の……接触回線ね。よくあの攻撃を回避できたわね?あれでもアイツの必殺技なんだけど……』


「機体の性能差です。で、アイツって言う事は知り合いかい?」


『昔のね。』


「倒しても?」


『できれば捕獲して。海賊になってるなら賞金がかかってるかも……勝てるの?アレでも元エリートよ?』


「余裕」


あたいは任せろと言わんばかりに親指を立てて再びアドラメルク機に向かう。


「お待たせ~待った?」


『……貴女、ふざけてるの?デートの待ち合わせをしてるんじゃないわよ?』


「べっつに?この機体なら余裕って思ってるだけー」


『いいわ……その余裕……後悔させてあげる!!』


裂帛の気合いと共にアドラメルク機がポールアックスで突撃してくる。

迎え撃とうと構えた瞬間、アドラメルク機が視界から消えた。


「さっきは咄嗟でよく見てなかったけど、そう言う技ね……甘ぇ!!」


ブーストをフルにかけ前方へダッシュ!


『ウソッ!?また避けられた!?』


あたいは振り向き停止すると、アドラメルク機に向かって指を指す。


「目の前で急激に方向転換する事で視界から消え、混乱させるのは良い手だけどな?知ってるヤツからすれば古典的過ぎんだよ!更に言えば上下左右の四択を迫らせてるみたいだがなぁ、後方と前方は安地なんだよ!」


『ぐっ……あの一瞬で?……ど、どうやって見破ったの?ほぼほぼ初見でしょう……?』


「誰が教えるかボケェ!!わかったらとっとと投降しろ!」


めくりや先当て目当てでジャンプした相手に対空じゃなく前後ダッシュでやり過ごす格ゲーのテクニック………とは言わないでおく。

あたいは両手をアドラメルク機に向ける。

たが、アドラメルクは間髪いれずあたいに突撃しだした。


『後悔させてあげると言った!!』


「そうかい!!」


もういっちょホーミングレーザーを放ち、アドラメルク機に光の矢が追従する。

急上昇にも追従するホーミングレーザーに対しアドラメルクが機体を捻りながら急降下しグランシードに肉薄する。


『斬撃と自身の放ったビームで……………墜ちろ!』


ポールアックスの斬撃がグランシードの目前に迫った瞬間。


「それはどうかな?」


と言えるMA操縦。


刃が振り下ろされる中、あたいは相手に向けていた

突然ポールアックスが真横に吹き飛ぶ。

相手は愕然としてんだろーなー。

横から急に撃たれた、邪魔をされた様に見えたろうし、一体誰が?マリア?とか考えたかも。

急降下の勢いが落ちた機体に追い付いたレーザーが降り注ぎ、脚部と腕部、頭部が貫かれ、機能を停止した。


「ハッ!プチョヘンザだ!!とっとと投降しろ!」


『い、一体何処から……』


機体から降りながらめっちゃ考えてるな。

確かにポールアックスが届く瞬間に、横からの援護射撃でポールアックスが吹き飛ばされた。

だが、それらしい機体はいない。

マリア達の機体は位置を変えていない。

機体を確認する。


(……この傷は急上昇と急降下で避けたはずのレーザーによるもの……間違いない………確実に5発を避け……5発?…!?ま、まさか!!……!つまり、あの横からの攻撃は!!)


両手を頭の後ろに回しながら、アドラメルクはあたいに聞いてみる事にしたのかゆっくり振り向く。


『ねえ、最後の横からの援護射撃……アレ、貴女自身のレーザーよね?計算して撃ったの?』


「あ?確かにグランシードのホーミングだけど、計算したとか、んな訳ねーし。何処の天才だよ」


『じ、じゃあ偶然だと言うの!?』


「偶然ってか念の為の策が見事にハマったってとこか?」


実はあたいが放った10発の内5発の照準はホーミングレーザーの発射口、グランシードの指先だった。

いくら追従性の高いホーミングレーザーでも自身の発射口目掛けて撃って直ぐには着弾はしないし、慣性により大回りとなる。


流石に指先だけに当てるのは難しいしな?


射撃後にその追従性で戻ってきた結果、ホーミングレーザーの軌道はグランシードの側から大きく逸れ、大回りして帰ってきた。

そこにポールアックスが振り下ろされ当たったと言う訳だ。

あたい自身も細かく計算していた訳ではないが、ホーミングレーザーは弾速が速ければ牽制に、遅ければプレッシャーになる。

横から当たれば良いな?ってとりま撃っておいた。

もっとも相手の攻撃が防げる前提なのだが、最初に食らった一撃が腰部アーマーに縦筋が入っただけだったのをサブカメラからの映像で確認している。

故に避ける必要もないと、頭部だけを守れば良いと判断して、ギリギリで後ろに下がるつもりだったが、そこに帰ってきたホーミングレーザーが飛来し、ポールアックスを吹き飛ばしたのだった。


「それよりかさ。とっとと降伏してくんね?そろそろ限界だし」


『わかったわよ、はいこーさん。あんた達もわかったわね?』


1番強かった頭が負けたのが効いたのか、生き残った海賊達も武装を解除、投降していく。


「じゃ、戻るとすっかな……急いで」


――――――――――――――――――――

補足


グランシード

博士が作成した(自称)「DMC」搭載型の新型MA。

全長20m。

単眼センサーアイ。

ソルジャーの基本フレームを元に作られた重装甲中・遠距離支援機。

コクピット周りが「DMC」仕様の為、他の機体よりも大きく(約1.6倍)対ビーム兵装用に開発された新型装甲および新素材を使用している。

その為、他のMAよりも大きく重いが、背面の新型ブースターや各所に設置された姿勢制御ブースターにより、見た目に反して機動性もある。

また、やや大きめの肩装甲が特徴的で、他の装甲も分厚い為、その分内蔵兵装を多く搭載でき、ブースターの増設や武装の種類を増やすことで、拠点防衛から強襲と幅広く運用できる。

主な武装

マニピュレータービームショット(ホーミングレーザー)

前腕部内蔵型ランサーショット

マニピュレーター内臓ビーム集束ビームバスタードソード

肩部内蔵マイクロミサイル




※武器名は叫ぶもの………なのだ!

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