色ッチ

高校生になった、ある日。

部屋で、夜、霊のお姉さんに話しかけられた。


「高校合格おめでとうー」

って言う、可愛い女子の声、聞こえてきた。


最初は夢か何かかな~って思っていた。


そしたら

「あんた、中3になって大阪に転校してきて、めっちゃたいへんやったやろ」

って優しく言われて、思わずウルッときてしもた。


「えっ?あ、まあ...でも美海ちゃん、いてくれて、中学でもいつもいっしょに楽しく過ごせてました」

って、自分も、声に答えた。


「そやなー!美海ちゃんも、ええ娘やからな」


「はいっ!めっちゃいい子で」


「あんたの高校の近くに、伊勢寺あるやろ?」

って声は聞いてきた。


「あ、はい。ありますね」


「伊勢さんも喜んでくれてはるで」


「えっ?伊勢さん?」


「そう!うちの芸術に関するお師匠さんの伊勢さん。うちはイロ」


「イロさん?」


「エロとちゃうで!イロやからな!赤とか黄色とかの色!」

そう言いながら、色ッチは、優しくギュッと抱きしめてくれた。


そして、なんとなく、顔にキスしてくれてるのを感じた。


「あんた高校で美術部に入ったん?」


「えっ?そうですけど」


「うちも絵を描くの好きやからな~!空里っちくらいの頃、よく描いてた」


「高校生くらいの頃?」


「そやで!今から千百年くらい前かなー」


「えーっ?やっぱり平安時代の人か」


「伊勢さんにたのまれて、あんたを伊勢寺近くの高校に導いたったんやで」


「えーっ?ほんまですか?」


「ほんまほんま。そやから、うちは、今日で、あんたの前に来るのは最後。明日からは、高校でも、いつも伊勢さん、あんたらのこと見てはるからな」


「うちと美海ちゃん、ですか?」


「そう!最後に『芸術に対して常に高い意識を持って』っていう言葉をあんたに伝えておくわ」


「ありがとうございます」


「そして、最後に、あんたを抱いて愛撫していくから」

そう言うと、色ッチは、うちのことをギュッと抱きしめて、顔や体をなめてくれてるように感じた。


うちは、しばらく、色ッチの優しい愛撫に身をまかせていた。



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