第6話

4月になってクラス替えがあり、私は長塚君と違うクラスになってしまった。

(しかも、星川君は長塚君と同じクラスになるなんて狡い!)

そして田川君が隣の席になり、いつしか私の隣には田川君が居る事が多くなって行った。

授業を受けていて、消しごむが無いのに気が付くと、何故か田川君が私の消しゴムを使っていたり、他の人は机が離れているのに何故か私と田川君の席がいつもくっついている。


「ちょっと!なんで机をくっつけるのよ!」

小声で文句を言うと

「消しゴム、それしか無いから」

と、私の消しゴムを指差される。

「これ、私の消しゴムですから!」

「お前の消しゴムは俺の消しゴム。俺の消しゴムは……何処行ったと思う?」

と聞かれ

「知るか!」

って思わず叫んでしまい、先生から

「田川、田上!うるさい!」

と怒られてしまう。

「お前のせいで、俺まで怒られたし〜」

そう言いながら唇を尖らせる田川君に

「あんたのその口、縫い付けてやりたいわ!」

と呟くと、田川君は笑いながら

「怖い怖い」

って震える真似をして笑っている。

(くっそ〜!田川の奴め!)

と心の中で呟き田川君を睨んでいると

「そんなに見つめられると、照れるなぁ〜」

なんて抜かしやがった。

(亀ちゃん、あなたはこんな奴の何処の何が好きなんですか?)

シャーペンを握り締め、心の中で呟く。

「おい」

必死に怒りを堪える私に、田川君が私の腕を軽く叩いて声を掛けてきた。

無視をして教科書を睨んでいると

「おい!田上」

っと小声で呼ばれて

「うるさい!黙れ!」

って叫んで顔を上げると、数学の先生が立っていた。

「田上さん?さっきから呼んでるんですけどね?授業、ちゃんと聞いていますか?」

と怒られてしまう。

キッと田川君を睨むと、口だけで

『バ〜カ』

って言って、笑ってる。

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