第4章 魔神に魅入られた男
プロローグ 目覚め
ここはどこだろうか。
曖昧とした意識の中思ったことだ。
たしか、自分はマーヴァミネの攻撃をもろに受けて……。
「はっ」
意識が覚醒し、吐息を漏らした、はずだった。
その吐息は音として耳には届かない。それもそのはずだ。
意識の覚醒と共に目を見開けば、そこには宇宙があった。
かつて地球上から見上げていた宇宙に、俺はいるのだ。
青、赤、黄、白、様々な色の星々に目を奪われる。
ゆっくりと、視線を右斜へと向ければ、一際目立つ恒星、太陽があった。
その太陽は、まるで己が世界の中心とでもいうように光り輝いている。実際、太陽系の中心であるから、間違いとは言い切れないところだ。
雄大で、畏怖を多くに人に植え付けたその太陽を見つめながら、俺はなぜここにいるのだろうかという疑問が過ぎる。
この星々の絶景を前にしては、吹けば飛ぶような疑問だが、俺にとっては喫緊の問題だ。
ここが宇宙であることはわかっている。おそらく太陽であろう恒星があることから地球からそう離れてはいないだろう。
そこまで考えたところで、全能の力を使えばわかるではないかと気づいた。
我ながら抜けている。
目の前の非日常さに圧倒されて、冷静ではなかったらしい。
力を使えば、一瞬でわかる。その力が示すところ──背後を振り返る。
そこには、青色の惑星、地球があった。真っ青な海、陸地だとアフリカ大陸とヨーロッパが見える。それはとても、素晴らしい景色。
思わず笑みが漏れる。
あぁ、俺は生きている。間違いなく。笑みは次第に笑いへと移り変わる。
空気などないのに、自分の声が聞こえてきそうだ。それぐらい、俺は今この喜びを噛み締めている。
マーヴァミネ。
今から行ってやるよ。
俺は地球のある場所へと向かうために、転移を発動させた。
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