第12話 ”フェリ”の幹部
チン
エレベーターが到着したことを告げる音がなる。
「先に出てください」
リデルさんは〈開く〉のボタンを押しているからだろう、俺に、先に出てくれと促してくる。
言われた通り、俺は先に、エレベーターを出た。
出た先には最上階まで吹き抜けになった円形の大部屋があった。
……24階は中途半端な数字だと思っていたが、実際は25階まであったようだ。
「それでは行きましょう」
リデルさんが俺の前に立ち、まっすぐ歩いていく。
エレベーターの目の前にあった扉を開け、先に入るリデルさん。
その後ろを戦々恐々としながら、部屋の中に入る。
部屋の中は、天井に吊るされた銀色のシャンデリアが煌めき、一目で高いとわかるような小物や装飾品、美術品が飾られている。
床には茶と赤のカーペットが敷かれている。
真ん中にはテーブル、そしてそれを挟むようにしてクッション付きの椅子が左右に2つずつある。
正面には書類が積まれている机。
そこに座っているのは、団長こと、ジェイソン・パウエルだ。
そして、周りの席には3名の男女が座っている。
「あぁ、よく来たね」
ジェイソンはそう言っておれを迎えてくれた。
「はい」
「すまないね。いろいろ忙しくてね。本当だったら、私が案内をするつもりだったのだが」
「いえ、お気持ちだけで十分です」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
そう言って、柔かな笑みを浮かべてきた。
「それでは、紹介しよう。テリ」
「トレーシー・パークスだ」
口を開いたのは右側の椅子に座っている60歳を超えるぐらいの厳つい男性だ。
背が高く、服の上からでも引き締まった体つきをしているのがわかる。
「主に情報の管理を行なっている」
補足をするようにジェイソンが口を挟む。
「私はフェリシア、フェリシア・ベッキンセイルよ。事務長をしているわ」
次に声をあげたのはトレーシーの隣に座っていた若く、顔の整った女性。
きっちりとした黒の制服で身を包み、メガネをかけている。
「カレブ・トウィク、戦闘担当だ」
左側に座っている男性が声を上げる。
軍人のような筋肉質な体格に、鋭い瞳。
部屋の中で一番ラフな格好をしている。
「今名乗った全員が私の頼れる”フェリ”の幹部だよ。さてと、シュンスイも自己紹介をしてくれるかい?」
「シュンスイ・キザキです。肩に止まっているのがオウランです」
オウランは周りの装飾品に気を取られているのか、首をあちらこちらに動かしており、こちらの話を全然聞いていないようだ。
「それじゃあ、シュンスイはカレブの隣に座ってくれるかな?」
「はい」
しぶしぶ、椅子に座る。
そして、椅子のクッションのあまりの良さに圧倒される。
前を見れば、フェリシアさんと目があった。
そして、なぜかウインクをしてくる。
軽く会釈をして、話を聞く姿勢をする。
それを、確認したのか、ジェイソンが口を開いた。
「それでは、”フェリ”の現状を話そうじゃないか」
その声はとても重苦しく、彼の表情も真剣になっていた。
そうして、会議が始まった。
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