第22話 神の力 1
神とはなんであろう。
学術的に定義されている答えを欲しているならこう答えよう。
神の定義は”人では推し量れないような寿命を有する存在” ”この世界を改変する力を持つ存在”の両者の条件を満たしている存在である。
そして、この条件に当てはまる神という存在にも区分がある。
まず一番最初に分けられるのが【他次元神】と【三次元神】。
前者は存在が確認はされているものの、詳しい生態(と言っていいのかはわからないが)はわかっておらず、後者については(前者より)研究が進んでいる。
それは三次元神が実際に存在しているため、神はどうやって生まれるのか、またどういう存在なのかはある程度わかっている。
まず、三次元神には大きく二種類の区分に分けれられている。
生物神と信仰神だ。
生物神は言葉の通り、生物という枠組みにありながら神の力を持つ存在であり、代表的なのがラゴン、フェニックス、シーサーペントだ。
信仰神は信仰から生まれた神であり、多くは人の姿––––例)ゼウス、ラーなど––––をとっていることが一番の特徴である。
そして神にも階位があり、下級位、中級位、上級位、最高位の4つがある。
目の前にいる神は信仰神で階位は上級位。
その神が放った紫の光は目にも留まらぬ速さで俺に直撃する。
神からの攻撃、それと光を直視し目が
そして襲ってくる体を一瞬にして吹き飛ばすような威力と体を貫くような痛みは……やってこなかった。
恐る恐る瞼を開け、自分の手を見る。
––––なっ、貴様、無傷だと⁉︎
そこには傷一つない両手、先ほどと何も変わりのない服が目に入ってきた。
「神様ってのはこの程度なのか?」
己に掛けた干渉の力”不滅”が作用したというのは自分もそれを狙っていたのだからわかる。
しかし、少々の怪我は覚悟や、吹き飛ばされる可能性も考えていたのだがそれさえなかった。
ある意味この程度なのかというのが正直なところなのだ。
––––何をした‼︎
「何って、風がそよぐのを防ごうとするか? それと同じだよ」
––––くっ、これならどうだ‼︎
紫の光の粒が凝縮し、地面を滑るようにしてこちらに近ずいてくる。
––––紫の光の粒ではなくて魔元素ですよね。
……そうなの?
俺がオウランとくだらない会話をしている間に(オウラン曰く)紫の魔元素が俺の体を炎で燃やしているかのように包み込む。
しかし、その魔元素は俺になにも害を与えることはできず消滅した。
改めて見て思う。
不滅ってすごかったんだな、と。
––––全能の力は扱う者がどのようなイメージをするかによって影響力が変わります。
ってことは俺のイメージする不滅がすごいってことか?
–––– ……どちらかというよりあまり知識がないから全能の力が帳尻を合わせようとした結果すごい力になったというのが正確に近い気がしますが。
––––滅びの光線‼︎
目の前にいる神がとても煩わしいと感じる。
オウランとの会話を邪魔をする。
なにより、俺に傷一つ負わすことのできないような意味のない攻撃を手を替え品を替えてしてくるのだ。
––––自分から攻撃はしないんですか?
なんていうか、今の手持ちの能力で神を滅せるような攻撃が思いつかないんだよ。
––––そうですか?
あぁ、なんかいいのないか?
––––魔元素は原子を操れるようにならなければいけないので魔元素崩壊は引き起こせないですし……。
……とても危ない言葉が聞こえたんだけど。
–––– 一番いいのはこの魔法陣を壊してみては?
はっ?
––––この魔法陣はこの神のエネルギーの貯蓄機のような役割を果たしているんです。
それを壊せば勝手に暴れて消えてくれると?
––––そうですね。
……もっと楽なの、他にない?
俺は神の攻撃を横目で確認しながら聞く。
––––ここにいる魔女を全員倒せば信仰が失われるので神が消失すると思いますが。
……猟奇的なのは嫌だからさっきの意見にするか。
「干渉 台 崩壊」
ピシッ
俺が魔法陣を壊すように全能を使った瞬間、魔法陣が描かれていた台––––いま俺が立っているところ––––に罅が入っていき、ついには砂となっていく。
––––なっ、貴様何をした‼︎
「魔法陣を壊したんだよ」
俺は砂になった地面を爪先で蹴りながら答えてやる。
本当にサラサラの砂だな、と感心していると
––––ふっふっふっ、それは全能の力ですから。
なぜかオウランが威張って言う。
––––当たり前です。この力の解説の役割を担っている者として一番この力を理解し、信仰にも似た感情を持っているのですから。
–––– ……ありえない
おっと、どうやら神の飛んでいた意識が戻ったようだ。
––––貴様は滅ぼさなければいけない。恨むならば自分の生来の力を恨め。
いや、いきなり殺害予告しないでください。
––––人気者じゃないですか
オウラン、一旦黙ってくれない?
いくら愛しいオウランの茶々でもさすがに本気になった神からの攻撃には本腰を入れなければ。
少し惜しいが俺は何が起こっても大丈夫なように神を見据えた。
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