問題6 デートとは何をするものなのか。

 今日は優生くんとのデートの前日。

 私はひよりちゃんとデパートで明日着る服を選んでいた。

「晴香ちゃん!これ、今大流行のショーパンだよ!絶対買わなくちゃ!!

 あ!これ、ちょ〜体が涼しくなるブラだよ!一回買ってみよ!」

 なぜかひよりちゃんは私より買い物を楽しんでいるようで、私の服選び人だったのが、いつの間にか、私よりもたくさんの服を買っていた。

 でも、それがひよりちゃんらしいところだな〜、と思った。

「ひよりちゃん、ちょっと話したいことがあるんだけど、服屋さんじゃなくて、カフェに行ってもいいかな?」私はひよりちゃんに聞いた。

 ひよりちゃんは一瞬きょとんとしたが、すぐに、「いいよ!いこいこ!」と言ってくれた。

「実は、デートって言っても、何をしたらいいのかなって迷っちゃって。

 だから、ひよりちゃんにデートですることリストを作ってもらいたいなって思って!」私はひよりちゃんに頼んだ。「お願い!」

 ひよりちゃんは少し考えてから、「ごめん。できない。」と言った。

「どうして?」

「だって、これは晴香ちゃんのデートでしょ?

 私はこのデートにはなんの関係もない。

 だから、晴香ちゃんがデートでしたいと思ったことをすればいいんだよ。

 普通の人が他の人のデートの口だしはできないからね!」

 私は今のひよりちゃんの言葉を聞いて、確かにそうだ、と思った。

 デートをする本人が決めないとなんの意味もないデートになる、そんなわかりきってることが、なんでさっき分からなかったんだろう。

 やっぱり、ひよりちゃんはすごいな〜と、改めて感じたのだった。




 そしてデート当日。

「よし!」私はひよりちゃんにメイクと髪をととのえてもらった。

「晴香ちゃん、完璧だよ!自信持って行ってきな!」

「うん!行ってきます!」

学校に行く時よりも大きなこえで言った。

待ち合わせの八王子駅にいくと、もう優生くんがいた。

「お待たせ〜!」私は優生くんのところに駆けつけた。

優生くんはパッと明るい顔になって、「今日の服、可愛いね。なんか、いつもと違う晴香を見れたみたいで、嬉しい!」と言ってくれた。

私は胸いっぱいに優生くんの匂いをかいだ。

甘酸っぱいレモンのような匂い・・・・・。

「今日はね、優生くんに渡したいものがあるの!」

私は持ってきた包みを優生くんに渡した。

中には、、、「これ!サッカーボールのキーホルダー!?」優生くんが大声でいった。

そう、それは私が昨日頑張って作った、サッカーボールのキーホルダーだった。

優生くんは目を輝かせて、「嬉しい!ほんとにありがとう!!」と言って私にだきついた。私は、一瞬胸がどきっとした。

それから優生くんは慌てて私から離れて、「ご、ごめん!重かったでしょ!?」と言った。

「う、ううん。大丈夫。」

「・・・・じゃあ、いこっか。」優生くんの声で私たちは映画館に行った。

「何みたい?」

「う〜ん。映画見たことないからな〜。優生くんのおすすめでいいよ。」

優生くんは少し悩んで、「じゃあ、これにしょう!」と言って、あるポスターを指差した。

それは、『ロゼッタとベヨネッタ』という作品だった。

それは外国の映画で、お金持ちの主人公ロゼッタが超貧乏な家のベヨネッタに恋をする恋愛物語らしい。

私も恋の勉強になると思ったので、その映画を見ることにした。

「まもなく、『映画 ロゼッタとベヨネッタ 〜愛の星を見るきみへ〜』の上映を開始します」というアナウンスが流れ、私たちはスクリーン会場へ移動した。

するとそこには、ずっと会いたかった人物がいたのだ。

「こーちゃん!」

片岡幸介。私の初恋相手だ。

こーちゃんも私に気づいたみたいで、「はる!」と言ってくれた、と思った瞬間、「会えた!」と言って、こーちゃんが抱きついてきた。

「も〜!甘えんぼさんなんだから〜。」

私はこーちゃんと会えたことが嬉しくてつい甘えた声を出してしまった。

すると、「晴香。こいつ、だれ?」と、隣でききなれた声がした。

私ははっとして優生くんの方を見た。

やっぱりだ・・・・。優生くんは、今めっちゃ怒ってる!!

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