問題4 もやもやの気持ちの正体は何だろうか。

「やったー!」

ひよりちゃんの高い声が私の耳に響いた。

「見てみて〜!晴香ちゃん!私、定期テストの点数で10位に入ったんだけど!?チョー嬉しい!!」

ひよりちゃんは、定期テストではいつも40位くらいらしくて、勉強はあまり好きじゃなかったらしい。そんなひよりちゃんが、勉強のことで喜んでくれて、私も嬉しくなり、ふふっとわらってしまった。

「ひよりちゃんすごいね。いきなり30位もアップするなんて。

ひよりちゃん、夜も寝ずにがんばってたもんな〜。」

「ううん。勉強を最後まで教えてくれた晴香ちゃんの方がすごいよ。

自分のテスト勉強もあるのに私のこと手伝ってくれて本当にありがとう!」

私は、照れくさくなって、へへへっと笑った。

ひよりちゃんの「ありがとう」、この一言がいつまでも私の心に鳴り響いていた。



ある日、「晴香。今日、あいてる?」と優生くんが私に聞いた。

「うん。あいてるよ。どうしたの?」

「実は、今日合コンがあんだけど、女子一人がいけなくなちゃってさwww。

だから、晴香かわりにお願いできる?

晴香が友達をつくるいい機会にもなると思うからさ。どうかな?」

合コン!

私の『高校生になってやりたいことリスト』に書いたやつ!

「いく!絶対に行く!」

優生くんが笑顔で「じゃあ、みんなにも伝えておくな!!」と言った。

夢だった合コンに行ける!と思うと、思わず顔がにやけてしまう。

いつの間にか、私の頭は合コンのことでいっぱいになっていた。





「よし!」

いつもよりもおしゃれな格好で、合コン会場へむかった。

合コン会場にはすでに男女合計12人が集まっていた

うちの学校の男の子は、優生くんと松田くんと木島くん。

女子は、私とひよりちゃんと菜々子。

幼なじみの菜々子がこの合コンに来たことには正直おどろいた。

菜々子は私のことを見ると、「晴香!?ウソでしょ!?」と言った。

あんなに地味だった私がこの合コンに参加できていることにとてつもなくおどろいたらしい。

「じゃあ、まず自己紹介から始めようか。」と優生くんが言った。

みんなが順に自己紹介していく。

「早乙女ひよりと言います。みんなとはやく仲良くなりたいです!」

ひよりちゃんの自己紹介で他校の男の子たちがヒソヒソ言い合っている。

そりゃそうだよな〜、ひよりちゃんってすごい美少女だもん、そりゃ夢中になるよね。

どうして優生くんは、私をこんな美少女の隣にならばせたんだろう。

「麻美晴香です。皆さんのことをもっとたくさん知っていきたいです。」

私は、とても簡単な挨拶をして、一口だけコーラを飲んだ。

「じゃあ、それぞれ喋ってみたい人と話す時間にしようか。」

予想どうり、ひよりちゃんには一瞬で人だかりができていた。

優生くんも、たくさんの他校の女の子に囲まれていた。

私のきもちは、とてもモヤモヤしていた。

なんなんだろう。この気持ち。

「ちょっとトイレに行ってきます。」

私の声は誰にも聞こえてなかったようで、返事をしてくれる人はいなかった。

もしかして、私、また空気になったのかな?

今までいろんな人と喋れたけど、今思えば、人気者の二人がバックについてたからじゃん。

ひよりちゃんや優生くんがいなかったら私なんて見向きもされてなかったのに。

私の目にはもう涙があふれていた。

こんなにおしゃれして、ウキウキしてた自分がとても馬鹿らしく思えた。

全て、無駄なことなのに、、、、、、、、!

私の目には、すでに涙があふれていた。

はやくこの場から脱出したい。

今の私にはそれしか考えられなかった。

だしゅつルートはもう見えている。私は全速力で外に抜け出した。

風が顔にあたっていたい。涙が口に入って塩辛い。もう、何もかもが嫌だ。

全て、消えて無くなればいいのに・・・・!!

そう思って、鉄橋のてっぺんに登った。下には硬いコンクリートがある。

ここから飛び降りたら、楽になるんだよね。

私は目をつぶって、体を前に倒した。やっと、解放される、、、。

あの寂しさ、あの空気の存在から、、、、!

その時だった。

バッ!

誰かに手を掴まれた。「離して!」私は必死にもがいた。

私の手をつかんだ人物は、、、、、優生くんだった。

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