問題2 友達とはなんだろうか。

高校に入って、初めてだった。

私の存在に気づいて、私の声に反応してくれたのは・・・。

ふと上を見上げると、爽やかな笑顔で笑いかけてくれている男の子がいた。

私も「おはよう!」と言おうとしたが、言えずに、なんとその子のあいさつを無視してしまった。

いつもそうだ。

みんなの話のペースについていけなくて、いつのまにか置いてかれてる。

言いたいことが言えなくて、いつもみんなの意見に賛成か反対かしか言っていない。

私はそんな自分が大嫌いだった。

もしかしたら、みんなもそんな私を嫌いになったのかもしれない。

何も喋らない、自分の意見を言わない、そんな私を、、、。



「今日は席替えをします!順番におみくじを引いていってね〜。」

私はいつもどおり最後尾に並んで、一番最後の紙をとった。

7番。

ラッキーセブンだ。

私なんかにラッキーなことなんかおこらないのに。

そうおもいながら7番の席につくと、隣には朝あいさつをしてくれた男の子が座っていた。

「あ、あの!」

私はあいさつをしてくれたお礼を言おうとした。

「さっきは私にあいさつしてくれて、ありがとうございました。

私、高校に入って誰かからあいさつしてもらったの初めてで、とても嬉しかったです。・・・なのに、せっかくあいさつしてくれたのに、私は無視してしまいました。ごめんなさい。」

男の子は私の顔をじっとみて、それからニコッとまた爽やかな笑顔で返してくれた。

「いいよ!」



その男の子の名前は、今村 優生といった。

それから私たちは、放課後でも、休み時間でも話すようになった。

私は、その時間が、学校にいるときのいちばんの幸せだった。

しかし、優生くんは人気者。

最近は、休み時間になると、いつもひっぱりだこ状態になっている。

放課後だってほとんど毎日友達と遊んでいた。

私はなぜかとてもモヤモヤとした気持ちになっていった。


ある日、もう少しで定期テストがあるので、私は、優生くんに勉強を教えようと教室へむかった。

すると、優生くんは、私の知らない美少女と二人で話しをしていた。

気になったので、そのまま話を聞いていると、

「ね〜、優生、ちょっと前にあの麻美さんと仲良くしてたでしょ〜?」

「え?仲良くはしてたけど、、、どうして?」

「あのね〜、麻美さんって、みんなから『なんでもいうことを聞く、ひとりぼっちの召使い』ってよばれてるんだよ。そんな女の子と優生みたいなイケメンの人気者なんて、つり合わないと思ってるの。

どうせなら、私とかにしたらって思ってさ〜。」

私はその言葉を聞いて何も考えられなくなった。

高校に入ってできた、たった一人の友達が一瞬にしてとられてしまうと思った。

私は、優生くんに捨てられるかもしれないという不安を持ちながら、優生くんの言葉を聞いた。

「オレは、たとえオレと晴香がつり合わなくても、ずっと晴香のそばにいようと思ってるよ。

晴香は、たしかにみんなからあまりよく思われてないのかもしれない。

でも、あいつから話を聞いていたら、みんなと友達になろうと必死にがんばっていることが、死ぬほどわかるんだ。

そしてオレは、晴香ががんばってつくった友達の第一号。

だったら、ずっと応援していこうと思ったんだ。

たとえ晴香が友達を1000にんつくったとしても、オレは晴香のことを、心から応援するよ。」

私は優生くんのその「応援する」という一言で涙が出てきた。

今、優生くんに気持ちを伝えなくちゃ!

今じゃないとダメなんだ!

私は、私を心から受け入れてくれた優生くんに感謝を伝えようと、教室のドアを力強く開けた。






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