恋の授業
小説大好き女子
問題1 闇と光はどっちが勝つのか。
「またやってしまった。」
八王子高等学校1年B組、麻美晴香は今日100回目のため息をはいた。
高校に入ってもう半年。
なのに、私にはみんなにはあるものがなかった。
それは、『友達』。
唯一の幼なじみだった菜々子は、もう友達をたくさんつくって、毎日新しい友達と遊んでいた。たぶん、毎日勉強のガリ勉少女の私には、もう興味はなくなってしまったのだろう。
それから私は友達をつくるために色々なサイトで調べて実行してきた。
しかし、効果はゼロ。
話しかけられるといっても、「麻美さん。今日部活あるから、この書類、前田先生に渡してくれる?」「悪い!今日掃除当番変わってくんね〜?彼女と遊ぶ約束しちゃってさ〜。」というような、いわゆる雑用だ。
みんなが陰でなんていっているかも知ってる。
『なんでもいうことを聞く、ひとりぼっちの召使い』
みんな、私のことなんて空気と同じ存在だと思っているのだろう。
今日だって、がんばって話しかけようとしたら、「誰かが喋ってる〜!」って怖がられた。
そんな、孤独な世界で暮らしている私だったが、「これだけは誰にでも負けません!」と言えるものがあったのだ。
それは、勉強。
そう、勉強だけは私の心を落ち着かせてくれるたった一つの、心の友達だ。
私は、がんばったらがんばったぶんだけ報われる勉強が、大大大好きだ。
もちろん、学年順位は常に1位。
成績はオール3が当たり前。
私は勉強というのが、どうかこの世から出て行かないで欲しいと毎日願うのだった。
朝になり、私はいつもどおり学校に行った。
「お、おはよう!」私は勇気をふりしぼって前にいた子に言ってみた。
言えた!私の心は、雨がやんだ後のように明るい気持ちだった。
しかし、その子の声を聞いたとたん、私は絶望した。
その子は、「ん?さっき『おはよう』って聞こえたんだけど。こわ〜、www」と、笑いながらいったのだ。
私の目にはすでに涙がたまっていた。
なんで?
どうしてきずいてくれないの?
私の影が薄いから?
私が『なんでもいうことを聞く、ひとりぼっちの召使い』だから?
辛いよ!
苦しいよ!
寂しいよ!
私の心の中は真っ暗闇につつまれていた。
しかし、そんな私の心に光が見えたのは、その時だったんだ。
「おはよう!」誰かが私の声に返事をくれた。・・・そんな気がした。
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