第13話大塚交通事故
1学期の期末テストが始まった。雨が降る日であったが、大塚はスクーターで高校に向かった。高校の規定により、校舎から10km以上離れた家に住んでいるものは、バイクを使用してもよいのだ。
朝の4時まで勉強して、6時半には起きて学校に向かった。
大塚は、雨なので飛ばさず走っていたが、横断歩道でスリップしてコケてしまった。
手のひらを少し擦りむいたのと、右足の膝を打撲しただけで、直ぐにバイクを立て直し学校に向かった。
1時間目。世界史のテストが始まった。
集中力で膝の痛みは感じなかったが、30分程で解き終わり、見直しをしたら急に右足の膝が痛みだした。
膝を触った。妙に生暖かい。手の平には、血液が付いていた。気付かなかったが右足の靴下は真っ赤である。
休み時間、トイレでズボンを脱ぐと膝小僧がパックリ割れていた。
大塚は目眩がした。せっかくテスト勉強したが、担任に許可を得て病院へ行く。
全治1ヶ月のケガ。えぐれたキズなので縫えずに、ガーゼと包帯であった。
翌日、テストの続きをしたがケガのせいか集中力を欠き散々な結果であった。
いずみは心配していたが大塚の苦痛な表情を見ると声を掛けられなかった。
大塚は少しびっこを引きながらあるき、いずみと下校中に、
「今回は、いずみの不戦勝だね」
と言うと、
「心配させないでよ。期末テストは勝負外。夏休みの補習の模試で勝負しようよ」
と、元気なく答える。
2人はトリコロールには寄らずバスで帰宅した。道中、ずっと手を繋いでいた。
間もなく1学期は終わり夏休みになった。だが、伊佐高校は夏休みは名ばかりで補習と呼ばれる授業があった。建前は任意だが、進学を目指す生徒は休まず補習を受けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます