第7話テストの後
模試がようやく終わった。大塚は不安だった。普通のテストなら一夜漬けでテスト範囲を丸暗記すれば良いのだが、模試はテスト範囲が分からない。暗記している問題があれば、首をかしげる問題もある。80点取れば御の字だろう。彼女のいずみはこういうテストに実力を発揮する。
もう、結果は火を見るより明らかなり。
放課後、被害者友の会は模試の問題を手にして答え会わせをした。数学は75点しか取れていなかったが国語は調子良く、世界史は最悪だった。だが、この答え合わせは生徒同士で予想で◯✕を付けているので誤差はある。
帰宅途中、
「いずみ~、オレの負け。全然分かんなかった。キスしていいよ」
「私も今回の模試は難しかったよ」
「でも、解けたんでしょ?放課後の答え合わせが正確なら、化学30点だよ。そして、世界史が何と64点。負けた負けた!」
「どうして、大塚君は私に勝ちたいの?私をライバルにするの?」
いずみは不思議そうな顔をしている。
大塚はいずみの偏差値より上であれば、大学進学は確実と考えているからだ。
だが、誤魔化した。
「勝負した方が勉強が楽しいから」
「へぇ~。でも、キスは今日はしないよ!答案用紙が返ってきて点数がちゃんと判ってからね。今日は私がパイシュー買ってあげる」
「……うん」
大塚はこの日から、夜の8時から深夜2時まで勉強することにした。
缶コーヒーを毎日数本飲み眠気を誤魔化した。
熱帯魚の水槽のエアーポンプの、ブーって聴こえる部屋で勉強していると、息抜きに水槽の水のペーハーを計ったり、水草の手入れをしたり。
打倒彼女、打倒3組!
だけど、学力格差のあるカップルにはなりたくない。プライドが許さない。
だが、大塚は生まれつきのひょうきん者で、人を笑わす事のためなら何でもするたちだし、天然ボケでもあるため大塚=頭がいいにはならないのである。
その事実を本人は十分に理解している。
だからこそ、勝ちたいのだ。
しばらくテストがない時期になった。模試の結果は予想通りであった。いずみは相変わらず志望大学はA判定であった。
大塚はB判定だと言うのに。
さて、キスをしないといけないのだが、それは次回だな。
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