第3話彼女は敵

相変わらず手を繋ぐ以外は何も進展がないまま。2年生になった。

彼女のいずみは、文系で特進クラス。僕は普通の文系の2組である。

3組が特進クラスなのだ。

1学期早々テストがあった。あ、書き忘れたがこの伊佐高校は進学校である。

7点差で特進クラスを逃した大塚は数学と化学を思いっきり頑張った。

いずみは、バカな大塚が好きだと言われたのだが、彼女には負けたくない。

ある日の下校中、大塚と丸山は手を繋ぎトリコロールに立ち寄った。

お目当ては、パイシュー。120円。


「なぁ~いずみ。トリコロールのケーキを賭けてテストの勝負しない?」

彼女はパイシューと格闘しながら、いいよ!

と、言った。

うちの学年は230名。30位以内なら特進クラスにダメージを与えられる。

「明日からのテストは、ボローニャ大学からの使者が相手だよ!」

「誰それ?」

「僕の事だよ!」

社会科は選択制で大塚は世界史、丸山は地理だった。ボローニャ大学が分からないのは無理がないのだ。


大塚はいつもは、予習復習を3時間ほどしていたが、テスト期間はテスト範囲を5時間暗記する事にしている。

答えだけではない。問題ごと丸暗記だ。

数学、化学はそうもいかないので、公式を暗記して過去問を何問も解くのだ。


これは、下克上だ!見てろ!特進クラス!引き摺り下ろしてやる。

熱帯魚にエサを与えながら、勝利を確信した。

大抵、同じ学校のカップルは学力格差でダメになる場合がある。負けるもんか!

卓上時計は01:15を表示していたが、4本目の缶コーヒーを飲み、03:00まで勉強した。


明日から決戦だ!彼女のいずみには悪いが勝たせてもらおうと、大塚は手応えを感じて、深い眠りに就いた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る