第14話 落日

1564年 7月15日 金沢城


「いいかここが山場だ、リーネ達は水軍で本願寺を叩く、闇夜衆と軒猿も支援する。うちら月光会も死人の覚悟はいるだろう」

「策は?」

「陸遜!周瑜にステラ!」

「あいよー、まずリーネ水隊と忍者衆が裏門から攻める」

「表門は私たちが作った秘密兵器を使います、もう移動してもう半分入ってるでしょう」

「後は2つの門から総攻撃を」


こんなんでいけるんすかね?

いや、軍師が言うことだ信じなくてどうする!

信じなきゃ勝てんし、今回限りは……。


「確認します、本丸とやらを落とせば勝利なんですね?」

「基本はな」


なんか含みのある言い方だな?

嫌な予感してきた!


「そもそもねー僕たちの軍が10万人に大して相手が40万人の守備の時点で勝ち目薄いよ?普通」


石山本願寺も、ここをとられてはならないと全兵力を集め最終決戦の予定。

そこに長曾我部元親の援軍、水軍達もただでは来れない始末。

毛利?なんか来そうなんすがそれは

40万が50万人来る可能性すら……。

ただ、ここを落とせばもう未来は決まったも同然!事実上の最終決戦!

あ、伊達政宗君はなんか料理好きなだけ作って買うと言ったら兵糧支援してくれる事になったよ!

食料は何とかなる!10万で勝てるかは不安!

だが、勝たねば未来がない!


「上杉家は既に出てます、こちらも……」

「月光会!守備を2割残して全兵力を出せ!あも式バトルライフルの全面使用を許可する!更に上級兵にはダマスカスシミターに盾を持たせる!『陥陣営』を使用する!首輪つき氏には短弓とダマスカスブレイド(この場合は刀を示す)の『白馬義従』!スラァも私と同じ!

不知火さんとカブキさんは雑賀と手を組んだ『独自の兵科』を!ステラ君陸遜周瑜は長弓部隊を!あもこ氏キャロル氏リーネは独自の水軍編成と聞いたが……」

「甘造、独自の部隊で動きます!兵1万!」

「任せた軍師!」

「突っ込むだけじゃ戦じゃねえって教えてやるよ!」

「ハールは糧食支援するわ」

「美味いもん食わせてくれよな!伊達政宗と協力して!」

「あいよー!」


月光会10万と甘造率いる別働隊1万、それにリーネ達率いる水軍衆はそれぞれ動き始めた。

最終決戦の地、石山本願寺へと!


最終決戦1日前 堺の月光会本部


「おら食えっ!」

「贅沢の極みだな!私にもよこせよ!」

「キャロルにもくれ!バーガー!」

「あもこに羊羹!」

「ああっ!いっぱい食え!明日は死ぬかもしれんからな!」

「いや、死なせはせん!勝って日本を統一するぞ!」


各自、大量に食いまくり明日への決戦に備えた。

料理はというと現代料理フルコースだった。

ミートソースパスタにハンバーガーにチーズバーガー、更にはポテトにみかんジュースまで。他にはオムライスにカレーライストマトリゾットにオムレツともう普段なら滅多に出ない料理が月光会の兵達に振舞われていた。

デザートまであり羊羹にバターケーキにクッキーともう贅沢の極みだった。

それ程迄に、最終決戦は大事なものだったのだ!


「……歩き巫女じゃが、食事を恵んではくれんか?」

「おっいいゾ、何がいい?」

「おにきりでいいわい」

「そんなんじゃダメだゾ、ほれ羊羹とお茶漬け食いな」

「……全く、戦と言うのは嫌になるの」

「せやな、うちも最初来た時はどうなるかと思ったもん。それが今じゃシェフになって歴史を壊してんだぜ?全く笑えてくるわ」

「……お主、名は?」

「ハール」

「胃袋を掴まれてしもうたわ、責任をとってもらうぞ?」

「マジ?決戦前に告白なんて死亡フラグなんだが?」

「案ずるな、妾らが守ってやる」

「君は?」

「望月千代女じゃ」


こんなやりとりがあった中一方向こうでは……。


「おら食え!明日が戦だ!」

「うめっ……うめっ……!」

「おかわり」

「十六夜月さんカレーライス3杯目ってマ?」

「カレーライスだいすき!」

「十六夜さんは食い過ぎ」

「おうハンバーガー5個目ぇ!」

「すごっ」


こんなやりとりもある中で毛利陣営


「敵は何をしておる?」

「武田上杉は同時に陣を張り士気を高め、織田は警戒、月光会は宴会中です」

「明日は決戦だ、この戦で全てが変わる!皆の者!心せよ!毛利の弓術見せてやれ!」


おー!の声と共に兵達の士気は上がっていった。


そして、7月15日!石山本願寺から離れた先にある平原にて!

ついに各自が敵陣営を見つけ出し戦の準備に入っていた!

実際の軍勢は織田が5万の上杉10万人で月光会が10万人の25万に月光会水軍が75000人と最新鋭軍艦多数。

対する本願寺連合は本願寺20万の長曾我部が水軍つきで10万人に毛利が15万人だった。

数ではもう圧倒的不利だった。

しかし月光会には最新鋭の武具と戦術があった。

それでも、きついことには変わりなかった。


「さぁて、海軍隊銃撃開始!」

「カブキ海兵隊うてー!」


海軍隊

不知火焔とカブキマスクと雑賀衆が編み出した独自の上位互換兵種である。

第二次世界大戦の記録を再現し、優先的にあも式バトルライフルを配備。

更には折りたたみ式銃剣を装備し遠近対応の万能兵種となったのだった。


「なんやあの数!?連射しても突っ込んでくる!?」

「ダメ!銃剣構え!リロードやったら死ぬ!」

「うちらかて死にたくはない!抗う!」


その時、後ろから弓の雨が多量敵陣めがけて降ってきた!

敵足軽はどんどん死んでいっている!


「生きてるか我、今のうちにリロードせい」

「よぉ首輪つき、生きてるか?」

「まだ来る!」

「リロード間に合った!連射!」

「じゃあ俺更に撹乱するから」


一方の戦場では


「スラァ!盾離すなよ!」

「わかっとるわい!」

「盾を構えつつゆっくり前進しろ!」

「矢がなくなったら突っ込むぞ!」


こっちは毛利の弓部隊を盾で受け止めていた。

しかし着実にダマスカスシミターのレンジに入ろうとしていた。

ゆっくりと着実に……。


「あんな昔の時代の兵科が来るとは聞いておらぬぞ!?」

「毛利元就様!物資が奪われ食糧と矢が不足してます!」

「誰にやられた!?」

「吸逸甘造です!」

「若造と思って甘く見とったわ!」


そして海では


「うおおおお!キャロレーンズ!棍棒もって突撃!」

「あも民!しっかり狙って!」

「大帝国水軍!大砲で沈めてください!」


海上戦だけなら圧勝だった。

最新鋭のシップ型にカノン砲、更には水上戦闘に慣れすぎた水夫達が牙を向いて長曾我部に襲いかかったのだ。

長曾我部軍は、5時間で壊滅し残りは陸にいる5万だけとなった。


「では!作戦の通りに搦め手を攻めます!」

「キャロレーンズ!しっかりいくよ!」

「あも民!死なないように突撃!」


戦況が変わるまで残り4時間


「スラァ!盾の状況は!」

「もう持たん!突っ込むしかないぞ!」

「クソッタレ!こっち有利兵種じゃねぇんかよ!?」

「兵損なし、盾が完全に壊れる前に突撃しかねぇぞ!」

「……矢の雨が終わった?」


あれだけ降ってた矢の雨が今一瞬、止まったのだ。

理由は十六夜月達には分からないが今が突っ込むチャンスだった。

逆に今を逃すと間違いなく死ぬのは十六夜月達なのは確定だった。


「今だ!突っ込むぞ!」

「うおおおおお!」


この機を逃さず陥陣営は弓兵達に反撃を開始、ゼロ距離での近接戦になった!


「一つ!二つ!」

「みいっつ!」

「毛利元就じゃない!指揮官は誰だここの!」

「わからん!毛利家は毛利のじっちゃん以外はマジでマイナーでわからんのだよ!」

「だが数多いぞ!?」

「俺らが暴れてなんとかするしかないだろ!」


事実、この毛利家の弓兵50000に対して25000の陥陣営ではかなりきついものがあった。

実際2倍の差を勝つにはかなり無双するしか勝ち目なく、横槍は可能性は薄かった。


「あぁもう!刀でダマスカスシミターに勝てるわけねぇだろ!」


スライドのシミター一閃で刀を折る。

しかしいかに耐久性が高いダマスカスシミターであっても限界はあった。

その為予備のダマスカスシミターは2本背中に装備はしていたがそれすらダメになるともう完全に手詰まりだった。


「むっつ!何だよ!?この部隊かなり統率取れてる!十六夜さん!突っ込んで大将首とるしか勝ち目ない!」

「いや無理言うな!十六夜さんが盾兵の時点で一騎当千は無理だっての!」

「搦め手と秘密兵器次第か!?」


その時だった、十六夜月の後ろの方から毛利家目指して矢の雨が降ってきた!


「待たせたのぉ!」

「スギネコ君!?」

「スギネコ独自部隊1万!援護じゃ!」

「あっぶな!?」


スギネコは、上杉家の護衛として派遣された軍師見習いである。

しかしこの大戦での出陣を許可、独自で動いていたのである。


「横弓は任せい!さぁおふたり突っ込め!」

「今だ!崩れ始めたぞ!」

「突っ込め、突っ込めっていってんの……突っ込めっていってんダルルォ!?」


この十六夜月の怒号が入った号令により陥陣営はいっきに殺戮者の目になった。

ここから一気にこの前線は蹂躙していくこととなる。


一方変わって別の戦場


「陸遜、火種はあるな?」

「はい、もう十分に……火薬に魚油を混ぜた特注を」

「あとは敵が来るの待つだけー」

「来た来た!敵の数25000!」

「……焼き払え!」


陸遜達が仕掛けた火種に周瑜ステラの火矢が大量に襲いかかる!

火矢から火種に爆発して連鎖的に大火計となった!


「今だ!連弩にもちかえよ!」

「僕はこの時のために力を蓄えていたんだ!」

「誘導しろ!鉄糸てっしのとこまで!」


パニックになった一部の兵はステラの読み通り落とし穴にひっかかり、ワイヤートラップによる落とし穴で命を落としていった。

更にそこに鉄製のボルトが敵兵を襲いかかり逃げ場など無い状況で3時間かかって、25000の本願寺の1部隊は壊滅した。


また一方での戦場では……。


「海兵隊!目標地点到達!」

「カブキさんあんたすげぇわ、まさか兵損がうちらの軍1万に対して2500で抑えるなんて。うちの海軍隊に関して言うなら1000人の被害で済んだ」

「大手門の破壊をしてからが本番だよ、ここで正直2500は失いたくなかった」


海兵隊

カブキマスクの率いる海軍隊で特徴としては遠距離よりも銃剣突撃にカートリッジ式の火縄銃弾丸を得意とする海兵隊だった。

遠方狙撃では不知火隊の海軍隊の方が上だったが近接戦では間違いなく海軍隊の方が上手だった。


「カブキマスク隊長!爆弾セット完了です!」

「まだ爆破はダメだよ?秘密兵器が来るまで石山本願寺を囲んで!」

「イエッサー!」

「海軍隊!狙撃体制に入れ!門が壊れたら大将をあも式バトルライフルで狙撃する!うち?うち用にカスタムしたリボルバーライフルでいい!」


こうして少しずつではあるが着実に押していったのだった。

そして30分後、秘密兵器が見えてきた!


「攻城槌だとぉ!?」

「後ろにはカノン砲、ガチでこの城壊しにかかってる」

「殺意たけーな!軍師達!」


カノン砲自体はシップ型にもう実装はされていた。

しかし陸上用となると運用も違っており、訓練に時間がかかったのだった。

運用としてはまずカノン砲で大手門を砲撃して攻城槌の移動を支援、攻城槌が近づいたら攻城槌で強制破壊という作戦だった。

そこに搦め手の同時攻撃に船に乗ってる忍者衆が撹乱をしいっきに二の丸まで陥落という作戦であった。


そう、この時まではうまくいってたのである……。


「!?」

「大砲の音!?連発してる!やばいカブキさん門から離れて!」

「はあ!?オルガン砲だと!?」


オルガン砲

大砲を小型砲塔を沢山つける事で連射が可能となった大砲であり大体20発ぐらい1個で打てたとも言われている。

リロードは1個1個やらないといけないため後世には使われなくなったがこの時代においては間違いなく殺傷力が高い兵器であった。


「兵器部隊の損耗は!?」

「わかりません!しかし攻城槌がかなりの数やられました!」

「マジかよ……!」

「作戦変更、大手門爆破で」

「イエッサー!」

「なーんでうまくいかないんすかね!」


一方海では……


「何あの大砲!?近づけないんだけど!?」

「多砲塔!?」

「やっば、連射やっば……」


やはりオルガン砲による弾幕で近づけなかったのだ。

これにより搦め手を攻める時間はかなり遅れをとる事となった。


「カノン砲準備!城内兵士を制圧します!」

「忍者衆は?」

「上陸準備を!」


そして5時間後……戦況は一気に動き始めた!


「撃てええ!」


どこからともなくグレネードランチャーがぶち込まれたのだ!


「グレラン!?」

「やっほ」

「オリニキ!」

「大手門壊すよ、いいね?」

「よし爆破!」


カブキマスクの号令と共に大手門が爆破され、大手門は跡形もなくなった!


「カノン砲も近づいてるな?四の丸に突入!」


この一手が一気に戦局を変えた。


「スラァ!ダマスカスシミターがもう全部ぶっ壊れそう!」

「うるせぇ!こっちは味方の死んだダマスカスシミター使ってんだ!もうダマスカスシミターがどれもこれも限界なんだよ!」


一方十六夜月の軍、現在残り8500に対し毛利家が10000かなりの無双でほぼ互角にまで追い込んだ。

まさしく、鬼神ともいえる活躍だった。


「逃げてくぞ!勝った!」

「よし!大手門に行くぞ!」

「ダマスカスシミター持ってくれよ!」


十六夜隊も、大手門に駆けつけるのであった。


7月15日 夕方 石山本願寺搦め手


「ぶっ壊しましたね!では忍者衆さん!撹乱を!」

「闇夜衆、いきます」

「軒猿いくぞぉ!」

「キャロレーンズ!殺戮の時間だ!」

「あも民は後ろから弾幕と救護者の支援!」

「十六夜さん達が二の丸に来ます!後は海上閉鎖をします!キャロレーンズ達は任せました!」

「うおおおお!突っ込むぞ!」

「あも民は突っ込まなくていいからね!あくまで負傷者支援だからね!」


石山本願寺二の丸


「ここまで来れましたか」

「周瑜達も生きてこれたか」

「返り血塗れですね、十六夜月さん」

「ダマスカス鎧がなかったら死んでたわ」

「報告!上杉!織田!武田は撹乱は限界との事!持って後1週間との事!更にこちらの動きに本願寺も気づき急ぎ兵を戻らせてるとの事!」

「時間がないぞ!力押しでいく!」


事実残された時間は1週間であり、これを過ぎたら主力本願寺部隊が戻ってきて蹂躙されるのが見えていた。

その前に落とすのが当作戦であり、これが出来なかった場合敗北なのだった。

残り兵力は65000とかなり削られた中での攻城だった。しかしオリとスギネコの合計2万の部隊がここに来て渡りに船だった。


「きっつい、疲労も結構ある」

「海軍隊海兵隊弾薬は?」

「海兵隊、爆薬は後二の丸で使い切る」

「海軍隊、すまん撃ち尽くした」

「無二隊、これより援護するよ」

「無二!?」


ここに来ての無二隊の援護部隊は非常にありがたかったと言う。

弾幕支援をしてなければ負けてたと言うぐらいにはだ。


「いくぞぉ!最終決戦の終わりは近いぞ!」


残り6日


「ぶっ壊せ!ダマスカスシミターは壊れてもいい!」

「最後の爆薬!」

「周瑜隊!連弩を使い切って構わない!」

「ステラ隊!アローレイン!」

「オリ隊、最後の本丸までグレネードランチャーは温存だよ」

「スギネコ隊!一気呵成やけん!」

「陸遜隊、火矢を兵に向けて!」

「首輪隊、城門爆破支援」


このように夜少し休んだ後、朝になってすぐに攻城を開始した。

時間は限られていた。まさしく命運がかかっていたのだ。

兵糧攻めなど出来ず、もう力押しでいくしか無かったのだ。

轟音が鳴り響いて二の丸か破壊された。

もうカノン砲の弾薬も爆薬もない、あるのは少量のグレネードランチャーの弾薬だけ。

後は、時間の勝負だった。


視点は変わり


「さぁ死んでもらおうか!」

「爆薬苦無大量投げ!」

「守備はさせません!」

「オラァ!」


朝を持って暗夜衆と軒猿の忍者が撹乱を開始、城の門の死守する数を少しは減らせた。


「時間を稼げ!本丸を落とすまででいい!」

「忍者の本領だ!」

師匠せんせい頼みましたよ!もう後は貴方だけなんだ!」

「はああああっ!」


視点は戻り本丸


「クソ硬いってレベルじゃねぇ!」

「ダマスカスシミターが全部折れたぞ!?」

「グレネードランチャー、弾切れ」

「門は後一個なんに!」

「首輪隊!諦めずにダマスカスブレイドで叩きまくれ!私は壊れる覚悟でこのハルバードで叩く!」

「うおおおお!キャロレーンズ間に合った!硬いものには鈍器!はい棍棒!」

「キャロル!!」

「時間ないんでしょ!壊すよ!」

「あも民!バトルライフルの弾薬全部不知火さん達に渡して!」

「これで戦える!」

「後5日!もう後がないよ!」

「わーとるわい!」

「邪魔だ壊れろおぉぉ!」


数85000の突撃による本丸突撃。

本願寺も耐えた、耐えきれなかったが残り1日まで持ちこたえた。

もう少しという所まで耐えてはいたがキャロレーンズとあも民の援護により崩壊した。

これにより、石山本願寺は陥落したのだ!


「落ちた!天下泰平はもう近いな!」

「ああ!勝った!」

「かったー!」

「さぁ!凱旋だ!」


最終的に生き残った兵は25000とかなり少なかった。

相手の弾幕が多く、兵達は犠牲となったが……勝ったのだ!


「天下統一か……たった4年でかよ?ありえなさ過ぎだろ?」

「報告!織田が幕府を焼き討ちにしたと!」

「一つの時代が終わったか……」


その時だった、風が強くなり嵐になろうとしていた。

あの時と同じだった。

「自分たちが転移してきた時と」全く同じと。


「……キャロル、あもこ、十六夜月から最後の命令を渡す」

「えっ何それは?」

「最後の命令?」

「『竜巻に飲み込まれて元の時代に戻れ』」

「いやいやいやいや!戻る時はみんなとがいいって!」

「私達だけ戻れってどういう事なの!?」

「俺らは戻れなくなった、結婚相手も見つかり家庭がある。歴史を壊し過ぎた影響だ……。しかしキャロルにあもこ達、お前たちならまだ破壊した影響は少ない!だから!私達のこの生き様を後世に伝えろ!それが最後の命令だ!」

「嫌だよ!キャロルみんなを置いていきたくない!」

「あもこだってみんなを置いて帰るなんて!」

「……すまん、リノア!ゼル!」

「わかりました」

「許せキャロル!」

「うっ!?」

「そんな……」


直後、日向リノアとゼルの当身により緑魔キャロラインと甘乃あもこは気絶した。

そして、二人は竜巻の中に投げ入れられた……。


「今なら帰りたい奴は帰れるが……他言は無用か」

「みんな貴方に慕ったり家庭持ちやぞ?今更戻れると思っとんのか?」

「カブキ戻るわ、私も後世に伝えるわ」

「あいわかった、世話になったな」

「真、いい夢だったよ」


カブキマスクもこうして竜巻に自ら飲み込まれていった。


「甘造、十六夜月さんについてくよ」

「ありがたい」

「助けてもらって今じゃ家老の身、もはやこの体は戦国の人間よ」

「不知火はいうまでもないよな?」

「オリも残るよ」

「ステラ、もう昔っからの付き合いだもんよ。死ぬまで付き合ったるわ」

「スギネコ、言ってなかったが結婚してるんでいます」

「スライドは言う必要あるまいな?」

「ハール組は?」

「ハールは結婚フラグ立てたしいるよ」

「首輪つき、奴隷少女見捨てて帰るのは無理だわ」

「リノア、結婚してるからいる」

「ゼル、ここにいますよ」

「OK、ならば竜巻に飲み込まれる前に帰るぞ!」


こっからの視点はキャロル達の視点になるね。


「はっ!?夢!?」

「残念ながら夢ではなさそうです」

「カブキさん!?」

「あもこもいるよ?」

「どういう事?」

「三人揃って入院コースだね」

「……スマホある!調べなきゃ」


調べたら色々と変わっていたよ。

日本の戦国時代の事から領土問題に国の名前まで……。

十六夜君達がやったことはかなりぶっ壊したみたい。


「日本が……アジアの覇者?」

「大東亜帝国……」

「かなり滅茶苦茶にしたみたいやね」

「待って、つまり中国とか滅ぼしたって事だよね!?」

「あもこわかんないけどさ、月ちゃん達はいきてこの証を残したんだと思う」

「だね」


そんな中、誰かが入ってきたよ?

誰このイケメン?


「お目覚めになりましたか、緑魔キャロライン様に甘乃あもこ様にカブキマスク様。私は十六夜月の一族の十六夜蒼月といいます」

「えっ?」

「じゃあ月ちゃんはもう……」

「天寿を全うしたと思います、その場にいないので全くもってわかりませんが」


十六夜君……本当に戦国時代の地で死んじゃったんだ……。

あの時当身を避けられてたら話は変わったのかな……。


「で、歴史はどうなったの?」

「現在日本は大東亜帝国の首都です。民主主義で国力もあり第二次世界大戦にも勝ちました。日米英三国同盟が独ソ伊枢軸を打ち破り今じゃアジアの覇者です」

「マジかよ」

「月ちゃんかなりやばいポジションに居ない?」

「ええ、私は今じゃ内閣総理大臣ですよ?支持率は65%ですがね」

「やっば……」


つまり、キャロル達は日本が勝った世界線にいるんだね?

やばい、頭がこんがらがってきた。


「そして大東亜帝国になる前の日本を描いたアニメがあるので、今からそれをお見せします」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る