第11話 水軍増強
時は遡り1562年 10月5日 月光会水軍
「今の水軍の資産は?」
「10万貫はありますぜ」
「シップは何隻作れます?」
「1隻5000貫だから20隻は」
「うーんフルスペックにするとそんなもんですか」
リーネは悩んでいた。
水軍増強のために国産シップを作りたかったが、資金が足りないのだ。
商船型じゃなく完全軍用艦シップなため最初から作らなきゃいけなかった。
しかも海外の技術も取らなきゃいけない。
それを考えるとやはり時間も足りなかった。
「ブリガンティン150隻じゃ足りないんすか?」
「水軍ならてんて足りませんね、シップ150隻欲しいぐらいです」
「要望が多いことで」
「日本海を制し、
とにかく、船がなければ戦にもならない。
リーネは金を稼ぎつつ船の建造を急がせたかった。
そして、来たるべき日に備えるためにも船内改善もしたかった。
「既存のブリガンティンに国産シップの技術を入れてください、そしてシップとバーケンティンの量産に入ります!」
「了解!」
この一声が、水軍改造の始まりになった。
1562年 11月6日 春日山城
「どうですか?」
「しょっぱ甘い」
「そりゃあレモンジュースですからね」
「ライムはないんか?」
「……十六夜月さん本当時折切れ味がいい質問しますね!」
「え?」
「インドからライム買って良いですか?壊血病防止のために」
「別にええが苗も買え、品種改良したい」
「出来るんですか?ライムですよ?」
「何年かかるかわからんし買うか」
「それが良いです」
リーネは、十六夜月にレモンジュースを飲ませてた。味はやはりレモンジュースであった。
現代人が飲んでも酸っぱくて甘いのだからこの時代の人間が飲んだら言うまでもない。
そしてリーネは十六夜月の質問でライムを輸入することに決定した。
レモンジュースとライムジュースがあれば壊血病は防止できるからだ。
そしてリーネはある新作の食べ物を渡した。
「十六夜月さん、味見を」
「随分とでけーなおい」
「ビスケットです」
「……硬すぎんだろ」
「やっぱりかーけどや柔らかくしたらすぐ粉々になりますし乾燥肉いれたら多分食べるの辛くなりますよ?」
「まぁ乾パンだからしゃーなしだが……てか乾燥肉乾パンってなんだよ、じゃなくて……そうだこれに入れてけ」
「鉄製の箱?いや缶?」
「開ける時はこれな」
そう言って十六夜月は缶切りを取り出した。
缶詰の中身は牛肉の大和煮が入っていた。
「これならネズミも怖くないし蛆虫もわかない!」
「缶切りと缶詰は現地民でも作れるからな、あと缶詰をどう流行らせるかで悩んでたんだわ」
「流行らせてあげますよ、マグロとかとれますよこれなら!」
「ツナ!」
「ありがとうございます!缶詰食品を水軍に下さい!」
「別にええがこのビスケットはどうにかならんのか?」
「なりません、日本の小麦改善してください」
「オレンジスプレッドがいるな……」
「ツナサラダと金平糖のセットしか無理です」
「ですよねー!」
1562年12月1日 月光会水軍
「とにかく質も量も大事です!時間がある程度かかっていいので!」
「頭!来年の9月には商船シップ50隻!軍用シップ75隻!ブリガンティンなら400隻できますぜ!軍用ハーゲンティンは30隻完成済みだ!」
「ここまであれば安泰でしょう、それを目処に!」
リーネのこの大量生産については謎が多かったが後に大活躍することとなる。
この大量生産が、救うことになるのだ。
1563年 2月14日 堺の港
「動かした感想は?」
「やはりうちらの船の操作難度は高いです、四本マストってやつですかい?あれのために船乗り同士の連携が不可欠でして」
「簡単には慣れないか……」
マストが多いほど船は早くなるが同時に操縦難易度が上がるのが問題だった。
これだけは未来からの知識ではどうしようもなく、実践してやるしかなかったのだ。
「今ある軍用艦は海賊狩りで練習を!商船は国内輸送で船乗りの技術をあげます!建造と船乗り訓練は6:4で!」
1563年 5月21日 インド
「ライムとスパイスを限界まで買ってください!黒字がなくなってもいいです!」
「頭、何故?」
「船乗りの栄養向上と国内の食事向上のためです」
「はあ」
「とにかく後6ヶ月で完全に水軍増強を果たします!」
「今でさえでかいのにですかい?」
「まだ生産分があるはずです」
「まぁ、そりゃそうですが」
この判断でインドは莫大な資金を確保、町の発展がすすむとはリーネも思ってなかった。
ついでにこのスパイスの大量購入で更に日本は食の文明開化が早くなったのだった。
そして、1563年9月30日
「頭!十六夜月から命令です!」
「はぁ!?」
「尾山城の援軍防止のため水上封鎖をしろとの事!」
「歴史の歯車狂いすぎでしょ!本願寺が奮起したとはいえど!?」
「軍用ブリガンティン500!いけますぜ!」
「守備に2万残して全員出撃!報酬たんまり奪ってやる!」
こうして、リーネ達は初の水軍としての仕事をするのだった。
1563年 9月30日 日本海
「商船以外なら攻撃許可が降りてます、旗を確認して制圧してください!」
「なんか高句麗の船が来てます!」
「戦闘配置!」
この高句麗の船は実際は偵察部隊だったが、何故いたのかは不明だったという。
この船が戻ってたら高句麗は日本に攻め込んでたかもしれないと考えるとリーネの活躍は大きかったかもしれない。
しかし、その判断はのちに大惨事となった。
「カノン砲放て!」
「了解!カノン砲放て!」
カノン砲
リーネがポルトガルに交易していた理由はこのためにあった。
日本の大筒に比べて遥かに破壊力があり、更に耐久性もあるためだ。
一方で高句麗の船はこの時代の相応のものだったため、だいたいカノン砲を4発食らえば沈んでいくのだった。
「オーバーテクノロジーすぎましたか」
「高句麗の船が沈んでいきますぜ!」
「追撃はかけずに封鎖を優先してください!」
この判断が、悪手と知るのは10時間後のことだった。
1563年 9月31日 深夜日本海
「……」
「!?」
「頭!夜襲です!」
「大砲は使えない……逃したのが仇になりましたか!」
「弓矢による焼失狙いです!」
「白兵戦をしかけます!突っ込みます!」
風は、この時追い風となり突っ込む衝撃も増して尚且つ火矢も当てにくくなっていた。
「リボルバー!一斉射撃!」
「!?」
「못 들었어! 일장본이 저런 총 가지고 있다니!」
「なんていってんですかい?」
「韓国語はリーネでもわかりません!取り敢えず殲滅!」
「검으로 공격하라! 근접전이다!」
「リボルバーつきたら刀構えてください!相手が突っ込んできます!」
血みどろの船外戦が始まり、敵も味方もわからない大乱戦と化した!
首が跳ねられたり腕がもげたり血の匂いが酷いことになりそれはもう相手方も自分たちの船が大惨事と化した。
更には高句麗の軍勢は敵味方構わず火矢を放ってきたためにか船は炎上したりとやばいことになった!
「戻りますよ!冬の日本海で溺れるなんて嫌ですよ!」
「へい!」
リーネ率いる4000の船乗りのうち、無事に戻れたのは2500少々だった。
そのうち400は負傷などで戻れなくなり燃える船と共に死んでいったりした。
全体的損耗でいうなら月光会水軍が30000出撃させて20000の生存、高句麗軍は全員死亡という戦果だった。
「なんで朝鮮が攻め込んでるんですか!?これはもうガチの戦線布告ですよ!?」
「相手方間違いなく俺らを全員殺す気で来てましたぜ?」
「敵艦追加!敵艦追加!」
「……わかりました、これは朝鮮を滅ぼさなきゃいけませんね!」
リーネは激怒した。
大義名分なしでの戦は戦国における戦線布告だけではなく、現代においては禁止行為だからだ。
これにより、リーネがついに武器を取り出した!
「この両手槌でぶっ壊してあげますよ!」
リーネの怒りの号令と共に船乗り達は追加の高句麗水軍に突っ込んだ!
「うらぁ!」
「頭ガチギレだ!」
「ボコボコにしてあげますよ!貴方の命で!」
全てが終わった時は、すでに朝になっていた。
月光会水軍の半数、15000を失ったが高句麗水軍45000を白兵戦だけで蹴散らしたのだ!
しかし同時に水軍増強は更に現実味を増していったのだった。
「半数を失いましたか……」
「いや、相手が後1回追加きたら間違いなくあっしらが死んでましたぜ」
「海上封鎖を中止します!私は月さんに報告します!」
時間は少し飛び1563年 10月15日
「十六夜さん、水軍増強を急がせてください」
「リーネ?」
「韓国が攻めてきました」
「は!?」
「あの時海上封鎖してなきゃ間違いなく被害受けてましたよ!?」
十六夜月はすべての話を聞いて上杉謙信と織田信長と武田信玄と徳川家康を早急に呼び出した。
4人の大名が出した結果は
「高句麗を攻める大義名分と我が国を冒涜する到底許されない行為、血で償って貰う」
となった。
武田は騎馬隊を上陸奇襲隊として鍛える事を宣言し。
徳川は三河武者を前面に天下統一後高句麗を更地にして日本の領土にするとまで激怒。
織田は高句麗国民血祭りにするとまで激怒しやばい空気になっていた。
上杉は活躍した2家に高句麗の領土分配を約束、更に結束に向かうのだった。
1563年12月24日 月光会水軍
「揃いましたか!」
リーネはその船の数を見て大歓喜した。
軍用ブリガンティン700隻、軍用シップ300隻と無理やり揃えたがこれだけあれば海上制圧余裕の水軍を揃えたのだ!
ハーゲンティンも軍用100隻に商用100隻と全世界でも有数の水軍になっていた。
「今の水軍軍資金は?」
「2万貫、かなりやばいです頭」
「けどこんだけあれば間違いなく!」
「頭!月光会の十六夜さんが!」
「通してください」
十六夜月が見た光景はまさしく大航海時代なら絶望視する軍勢だった。
こんなもん勝てるんかと、言わざるを得なかったのだ。
足の速いブリガンティンが前線を作りつつ撹乱して大きな一撃をシップが行う。
まさしく完成されてた編成なのだ。
「この水軍で勝てるか?韓国に」
「今なら間違いなく、相手に水軍はありません」
「しかし幕府がゆるさんからまだ手出し出来ないんだけどね」
「足利さん本当!」
「頭!武田信玄さんと知らん女が!」
「通して」
武田信玄と謎の女性は、船をみてこういった。
「「貝はとれるか?」」
と
「また何で貝なんか?」
「ところで信玄さん、その女の子誰?」
「あぁ、儂の娘」
「「は?」」
本来史実であれば武田信玄に娘などは居なかった。
それどころか男色疑惑すらあったぐらいだ。
それがこんな巨乳褐色白髪の現代基準での美少女がいたら誰だって驚愕の事実で困惑するのだった。
「息子達も川中島で死んだ以上、今の跡取りは娘だけじゃ」
「すまん、本当にすまん」
「気にするでない」
「(十六夜月さん、これ歴史の修正力が働いてこうなってる可能性があります)」
「(可能性はある)」
「あ、初めまして信玄の娘です。まだ成人じゃありませんが」
「その胸と身長で成人じゃないって……」
「……」
「リーネ、泣いていいぞ」
「醜女すぎて跡取りすらいないんじゃ」
「お前正気か?これ美少女だろ」
「お前らの基準おかしくない?どこをどう見ても醜女じゃろ?」
胸の大きさは余裕で今で言うならFかGは軽くあるサイズだった。
しかも褐色肌である。
現代なら需要マシマシだった。
「まぁ、儂が元気なうちは儂が動くがな!」
「信玄公すげぇ……」
「けど十六夜月さんは結婚できないよ」
「何故じゃ?」
「もう結婚してるからな」
「それなら仕方ない」
「ほうとう、食べます?」
「食べる」
こうしてほうとうを食べつつ、武田信玄達とリーネと十六夜月は雑談をした。
そして、正規品になった武田軍にある物を渡した。
「これは?」
「お待たせしました、馬上槍です。唯の馬上槍にあらず斬る・突く・刺すが出来ます」
見た目こそ持ち手が少なめで刃と返しつきの槍だがこの槍は非常に日本では理にかなっていた。
今までの槍だと突撃時にどうしても技量とかに影響されるがこの槍だと突撃するだけで2人3人までなら貫通して刺し貫く事が出来たのだ。
使い捨てとするならば最高の武器とも言えた。
「切れ味そこそこの使い捨て馬上槍とは考えた、しかし何本もてる?」
「三本だから貫通して捨てるはあんまやらんで下さいよ?」
「うーん、玉鋼を使わないことでやすさを取った。現地民でも作れる。けどさ盾はないの?」
「あるけど多分風習が許さないよ?」
「(私が大名だったら騎馬隊に盾持たせて突撃するんだけどなぁ……)」
こんな話をするうちに、戦況は刻一刻とまどろみを見せるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます