第9話 あも式マルチライフル

1562年 3月20日


やっほー!こんあもー!あもこだよー!

今あもこは新型武器の開発をしてるよ!

そのために玉鋼沢山いるんだって!

だからいま砂鉄から作ってる!


「お腹空いたなあ、もう5時間同じことの繰り返しだからなぁー!」

「やっほ、あもこちゃん」

「キャロルちゃんだ!」

「はい、差し入れのソーセージマフィン」

「ありがとー!食べるねー!」


ソーセージマフィンも進化したんだよ!

具体的にはねー、薄いプロセスチーズが乗るようになったの!

これでマックに近くなったね!

モグモグしながら鍛冶屋の定例会議にいくよ!


「工房長の不知火やで、今年はリボルバーライフルの発展を目指すように」

「火薬の問題はー?」

「火薬専門職のカブキさーん?」

「黒色火薬はリボルバーライフルに使ってるから今のまま行けばM1ガーランドは遠くはないよ、しかし手作業だからアメリカみたいに大量生産って訳にはいかないね。弾薬は現地民でもなんとかなるけど……越後支部は無理だろうね。設備の問題がある」

「じゃあ月ちゃんは結婚したのに苦境にたってるのかな?」

「苦境も苦境、現地の技術でうちらの溶鉱炉製造からスタートだよ。何年かかるんだろうね本当?」


あのおじいちゃんが作って残したこれってすごいんだなぁ……。

大事に使わなきゃ、壊れたら作れないもんね。


「あもこ思ったんだけどさ、銃にぐるぐる線いれて作るのは?弾丸も1発1発レバー式にしてさ」

「あーボルトアクションか」

「いい視点だね、設計図を探そうか」

「設計図はあるんよ、問題はそれに耐えれるマンガンがない」

「マンガンってマンガン電池のマンガンー?」

「せやで、フォアグリッフは北海道……今で言う蝦夷地でとれるからええんや」

「難しい!」

「カブキさんもちょっと詳しいけどとれる場所まではわからないよ?」


なんかマンガンがいるんだって!

けどマンガンなんて何に使うんだろ?

そもそも銃作るのにマンガンいるのかな?

そんな中吉報がきたんだよ!


「工房長!ダマスカス出来ました!」

「マジか!ダマスカス鋼できたらマンガンはいらん!」

「え!?あの武器凸に使えるダマ!?」

「ちょっとカブキさんも現物見たい」


みんな出来上がりのダマスカス鋼を見に行ったんだよ!

現物見たんだけどね!色も形も本物だった!

硬さはわからないけど多分本物だったよ?

これがゲームならリミ武器凸し放題なんになー!


「言われた通り釘、砂鉄、それに砂をいれた4日叩き上げました!」

「まさか……寝ずに!?」

「確かにそれだと無理だったっす、しかし十六夜隼人さんと水城リーネさんと緑魔キャロラインさんが解決したっす!」

「ほぉ?技術は?」


そういって見せてくれたは歯車だらけの水で動かしてるこけしが4体いたんだ、なんだろこれ?


「これが3人が作った自動水流式ダマスカス鋼鍛造機っす!」

「なるほどね、水の力で叩きまくって下の台ば震える事で分子を崩壊結合させると」

「まさか空城の議論が出来るとは」

「ねぇ、これ5個ある?」

「ありますが?」

「設計図の銃作ってみる!」


あもこも鍛冶屋だよ!ここらで新武器作りたいよ!

工房長ばっかり作らせないよ!

あもこの武器で平和にさせるんだ!


「チャンスは1度きりやぞ、ええな?」

「うん!」

「よし、好きにやってみせい」


許可が下りた!よし!ご飯食べたらやろ!


1562年 4月10日 堺月光会鍛冶工房


「カブキマスクさん、火薬出来た?」

「丁度ぴったりだよ、はい試作弾丸」


弾丸は出来た、あとはあもこの理論がうまくいけば!


そして10日後、ついに出来た!


「試し打ちどうしよ?」

「おー出来たか、うちがうっても?」

「いいよー!」


工房長不知火さんが金属的にうったよ!

音も煙もない!大丈夫!火縄銃より安定感がある!


「あもこさん、フォアグリッフはどこの木つこうた?」

「北海道のオニグルミ!」

「無知から三十年式を作るとは恐れ入ったわ、完全にうち甘く見てたわ」

「しかもこの銃には隠し機能があるのだ!」

「何やて?」

「これも撃てるように出来るのだ!」


あもこね、月光会だけの専属銃じゃもしもが困ると思ったの!

だから専属カートリッジで火縄銃の弾もうてるようにしたんだ!


「マジか、カートリッジ式だから火縄銃式にしてもコッキングで出る訳か」

「採用?採用?」

「採用、名前どうする?」

「あも式マルチライフル!」


このあも式マルチライフルは、大量生産は出来ずコストも非常に高かったが……後々の三十年式歩兵銃の先祖となった。

この銃があったから後の崩壊した歴史においてかなり優位に立つなど、誰も分からなかったのだ。

そう、あの十六夜月でさえも。


1562年 5月5日 月光会鍛治工房


「うーん、まだ5挺かぁ」

「コストパフォーマンス最悪だなおい」

「あもこですらここまで悪いとは思ってなかったんだよ……しかし性能は完璧だよ!」

「どうデチューンするか……」

「はい!副産物のダマスカスナイフ30本!」

「まぁ、端材とかで作れるもんな」


とりあえずダマスカスナイフ作ったけどどうかな?

捨てるの勿体無いから作ってみたけさ?

けどあも式マルチライフルは量産は難しいんだよ……。

あもこ性能だけ考えて生産のこと考えてなかったんだよ……。

これはあもこ反省点だね……。


「ダマスカスナイフ作って売りたいけど今インドであるからなあ……そうか!インド」

「ダメ、不知火さん今はまだ16世紀、ダマスカス鋼ことウーツ鋼はインドでもあるかは博打」

「せやった」

「あもこインドに行けばいいの?」

「すまん、頼んだ」


わーいインドだ!カレーが食べれる!

けど、護衛は誰だろ?


1562年 5月10日 堺港


「あ、直接話すのは初めてなんだな。ねるじぇらです。商人なんで戦えんのでよろしゅう」

荘霊菲ジャンレイフェイアル、護衛と翻訳ネ。後は個人で稼ぐアル」

「やっほー!こんあもー甘乃あもこだよ!」

「んじゃ、船出しますぜ!」


おー!これがブリガンティンの乗り心地!

意外に結構のっけてるのに早い!

今日のお弁当はおにぎりに卵焼き!それに焼いたソーセージ!

戦国時代では贅沢の極みなんだって!


こうして4日船にのって、インドについたんだよ!


「あっつ!?」

「インドネ、クソ暑いアル」

「カレー食べたい!」

「じゃあうちは商売して来ますんで、あっ十六夜さんからお小遣いですあもこさん」


わぁい!銀貨20枚だ!

何が買えるんだろ?わかんないけどなんかかお!


「ダマスカスナイフ、イラネか?」

「あっ不知火さんたちに頼まれてたやつ!」

「銀貨300枚」

「ない!」

「なら買えない、バイバイ」

「ねるじぇらさんに報告しなきゃ!」


カレーは食べたかったけど仕事は大事だからね……。

また後で食べよう!


「ん?あもこさん?」

「ねるじぇらさーん鍛冶屋組に頼まれてたもの見つかった!」

「ウーツ鋼ならもう1tぐらい書いましたよ?後スパイスも」

「日本でカレー作れる!?」

「作れるんじゃないんすかねぇ?スパイスからは面倒だけど」

「やったー!」

「後ここでもカレーは食べれますよ、銀貨2枚でナンとカレーですって」


早速銀貨2枚払ってカレーを食べたんだよ!

辛い!けどナンと食べると美味しい!

インドカレーだ!本場はやっぱり違う!


「んじゃうちも……かっらっ!?」

「ラッシー飲まなきゃ!」

「ふぅ……本場はやっぱ違いますわ」

「ほうれん草とじゃがいものカレーだね!」

「しっかりスパイス効いて美味しいですねー」


そんな感じにカレー食べてたらさ、レイフェイちゃんが誰か連れて来たよ!


「おい、責任者誰だ?」

「わかんない!」

「転生者連れてきたアル、三国時代からアル」

「やばい、私は歴史わからんぞ!?」

「あもこもわかんないよ!?」

「あ、日本語喋れますよ?」

「よかった意思疎通は出来る」


とにかく船に乗っけて話は聞こうと思ったんだ。

多分現代人じゃないにしても仲間になるならきて欲しいからね!


一方変わって5月14日 日本越後国


「レイフェイがいってた過去からの転生者ねぇ」

「居ると思う?」

「居るだろうよ、俺らと山本五十六提督がそうだろ」

「あーそっか、五十六提督」

「中華にいる三国時代の英傑が仲間になれば強いだろうよ……だが、どうする?俺らは中国滅ぼす側よ?」

「そこなんよなぁ」

「オリニキ、一部英傑は私説得できるが一部は無理よ?」

「でしょうね」

「さて、私は品種改良した稲の様子見てくる」


この言葉通りになって、1年2年過ぎた後で三国時代の英傑に会うことになるとはこの時思ってなかったのだった。


同時刻 ブリガンティン船内


「名前は月英っていいます、皆さんなら黄月英でわかるんじゃないですか?」

「やべぇ!わかんねぇ!」

「あーダメある、代表も今は会えないしどうするネ?」

「独断で動くしかないんじゃ?」

「私どうなるんですかね?見知らぬ未来で一人は流石に辛いんですが……」

「一緒に来る?」

「ええ是非」

「隼人には話つけとくアル」

「じゃぁ積荷を乗っけ終わるまで待ちましょうか」


こうして積荷を2日かけて積んでまた4日かけて帰ったんだよ!

カレーは美味しかったです。


1562年 5月22日 月光会鍛冶工房


「こんだけありゃいける!」

「量産かい?」

「ああ!5千は作れる!少なく見積もっても!」

「やったー!ほめてー!」

「武田のダマスカスランスも作れそうね」

「それは十六夜さん組にやらせたらええやろ」

「じゃあ銃つくろ!」

「せやな」


この銃は足軽達の手に渡る事は滅多になかったが、月光会専属兵達が使った感想によると

「殺意しかなかった、リボルバーライフルとかとは全然違う」

などと使い勝手の良さを説明している。

しかも大将狙撃精度も上がっておりこの銃はまさしく月光会の最終兵器とも言えるオーバーテクノロジーだった。

ヨーロッパですらまだマスケット銃なのに対して、ここだけが産業革命時代の武器だったのだ。


そして 月日は流れ1562年12月1日


「なんとか2000挺か……」

「ダマスカス鋼はまだまだあるんだけどね……」

「無理、手作りで統一性持たせてるから速度が上がらない」

「電気と機械がないからどうしようもないね……」

「キャロルだよーいなり寿司の差し入れだよー」


いなり寿司

本来ならば江戸時代の食べ物である。

しかし、月光会はこの時には十六夜月が開発した新黒米の影響もあり月光会専属兵と月光会関係者なら常時白米が食えるようになるほどには改善したのだった。


「あまい!うまい!」

「あー疲れ取れる」

「うっめ……」

「60個あるから晩御飯までに食べてね」

「ありがとね!」

「じゃあキャロルは仕事戻るね……」


うーん、月ちゃんは内政中でこれないからなあ。

月英さんに紹介にあも式マルチライフルも紹介したいんだけどなあ。

ねるじぇらさんは商売終わったら新潟行っちゃったし。

どうしよう?


「一応正規品のリボルバーライフルも作っとこか」

「せやね」

「わかったー」


こうして1562年に作られた正規品のリボルバーライフルはこの時点で55000挺あったと言う。

この時点で一部の大名は負け確定でもあった。

これを超える殺傷力のある武器がないからである。


1563年 2月4日 月光会水軍衆


「例の船は?」

「バッチリですリーネさん」

「出来ましたか!国内最大級の国産シップが!」


水城リーネは水軍筆頭となり、越後の水軍の事を全面的に任されていた。

船の製造から開発まで全てリーネの担当だ。


「カノン砲は?」

「ポルトガルがまだ渡さないっす!」

「輸出品が悪かったかしら?」

「搾り取ってますからねえ、印象は最悪でしょう」

「今度は小麦粉でも買いましょうか」

「それよりもこの大型船、どうします?」

「国内配備を急がしてください、私達で今は独占して……天下統一後に渡します」


リーネが開発したシップは船の中でも米を炊く事が出来てなおかつ直射日光が上級士官寝室に入るような画期的な船だった。

しかも、水はカルキを使うことで長期保存を可能とし壊血病予防のため蜜柑と林檎と育てば檸檬レモンのジュースを乗組員達に配布。

更には野菜を育てるプランターまであった。

一方で酒は日本酒だとあまり持たないのをわかっていたため、酒だけはラム酒を海外から高くても買っていた。

ワインも買ってはいたが船乗り達はもっぱらラム酒を飲んでいた。

食料は基本は塩むすびで雨と嵐の日はオランダから技術を貰って改良した乾パンと金平糖だった。

肉と野菜は最初出航した時は出るが3日目ぐらいになると晴れてる日は塩むすびと乾燥魚みたいになる事がメインだった。

もっぱら、そこまでの長距離航海はあまりなかったのだが。


そして、1563年7月25日


「大変だ!月光会は戦争の準備を!」


堺にいる月光会も、また例外なく巻き込まれるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る