第8話 1年の猶予時間
1562年 3月15日 春日山城
「十六夜さん、答えによってはあなたを……」
「ナンネこの女!ヤンデレアル!」
「謙信さん落ち着いて!甘粕抑えろ!」
「いやなんで刀持ってんだよ!?」
どうも、上杉謙信にレイフェイを紹介しようとしたらハイライトの消えた目で絶賛今斬られそうな十六夜月だよ。
いやなんだよこれ上杉謙信がヤンデレだったって学会に知らせたら喜ぶだろうよ。
「許さない許さない許さない許さない」
「けんしんちゃんへ、まさかわたしのことすきになったとかいいませんか?」
「(え!?こいつ気づいてなかったの!?)」
「(アイヤーヤンデレ怖いね……)」
「えっなにこの沈黙まじで好きなの怖いんだけど誰かなんか喋って!」
「では、布団の中で……」
「あたおか?ねえ君あたおかなの?」
「いえ、貴方をちょっと逃さないようにするだけですよ?」
「頭おかしいよこいつ!?俺1年かけて謙信ちゃんに好かれるようなことした!?」
「レイフェイ分からないアル」
「いや、あんた自分の活躍よく思い出せよ!十分おかしいからな!?」
では思い返してみよう。
川中島の戦いで信玄達を登用して城も貰ったが一つ。
次にリボルバーを国内生産したが二つ。
んで財政ピンチな上杉謙信に軽く60000貫渡したが三つ。借りた分は返したとする。
んで銃刀を開発したでラストかな?
……やばいことしかしてなくない?けど好感度あがる?
「オイ十六夜?6万貫は冗談アルよな?」
「ん?今のままいけば来年も6万貫確定で上杉家にぶちこむよ?」
「お前それで嫌われるほうが難しいアル。バカか?」
「もうみんな十六夜月さんを信じきってますよ?上杉家臣は?」
「なんて事をしたんだ俺は……」
事の重大さに気づいた時には遅く、もう月光会に依存しきってる大名家がそこにはあった。
完全に歴史をぶち壊してしまったのだ!
「(や り す ぎ た)」
「このバカ何も考えずに歴史壊したアル」
「もう結婚するしかないじゃん……」
「決心なされたんですね!」
「月光会支部つくるかー、越後に」
「いつ式はあげますか!」
「明日にでもあげるか」
1562年 3月16日
この日を持って十六夜月と上杉謙信は結婚した。
月光会全員祝福をし、上杉家臣はこれで安泰したという。
荘霊菲は語る。
「あれは脅しネ、あっこまできたら誰だって惚れて自分のにするネ」
との事だった。
1562年 3月17日 朝方
月光会は堺は十六夜隼人に任せ十六夜月は春日山城に住むことになった。
「いーざよーいさんっ」
「何この可愛い生物、こんなん嫁に貰ったんか」
「なーいせーいしーましょ」
「わかる範囲ならな?」
「まず、越後は米は白米はとれます。しかし民に食わせる白米はありません。農民だって米が食いたいとの事です」
「黒米を旨く作って育てるか」
「出来るんですか?」
「私かて元々は農家、時間と金がありゃ出来る。2年かうまくいきゃ1年かかるがな……多分だけど白米と一緒ぐらいの量の黒米がとれるぞ?」
「それは良いですね!」
「白米のほうは……そこは今の技術じゃどうしようもないから増やすしかない、田んぼを」
十六夜月はここに来る前は元々は農家である。
専属ではないにしろ品種改良できるぐらいには知識はあった。
後は趣味で鍛冶屋らしき事はしていたが、実際は槍と弓ぐらいしか作れない。
だが、それが役立つ時があるとは思ってなかった。
こうして十六夜月は明から黒米を育て、日本の白米と品種改良をした。
そこに1年前から作らせた、新農具を加え発展をさせた。
季節は夏 1562年 8月1日
「うまくいけば成功するがなー」
「黒米ですか?」
「うん、例の新農具は今年には越後に出回るってさ」
「収穫がふえるといいですね!」
「ハールだゾ、入るゾ」
「出石のアレが出来たか」
「そのための料理持ってきたわ」
ハールが持ってきたのは現代でいうトマトリゾットだった。
黒米のトマトリゾットなどこの時代にはないのだがハールは作り上げたのだ。
「あら、お米」
「毒味もしてもらってる、安心してどうぞ」
「リゾットなんて2年ぶりだぜ!いただきます……あーなれた味だ、うまい」
「酸っぱいですね……民には難しいかと」
「ダメかあ」
「健康食なら広めることは可能でしょうが、いかんせい私たちには酸っぱいですね」
「まぁ、トマトリゾットは体にはいいから健康食でいんでね?」
「んじゃもう一品」
「オムライス!」
そこには、オムライスがあった。
卵に包まれた白米か黒米、恐らくだがケチャップライスだろう。
十六夜月は楽しみだった!
「うまい!うまい!」
「これなら……いけますね、卵が問題ですが出石なら仏教を捨てたので普通にありですね」
「やったぜ」
こうして、生まれたのが日本産オムライスである。
後に和風オムライスは、醤油とマグロが出てからである。
日本が仏教離れが進み神道に走る人も多かったとか。
1562年 9月20日 田園
「おー、品種改良米はどうだ?」
「今までの黒米と違ってかなりとれます!」
「今蒸してるから味を正直に言うように」
「これならうちら農家も食いっぱぐれはしませんぜ!」
「出来ました!新黒米です!」
「んじゃ少々……今までの黒米と違って全然美味いですしこれなら育てたくもなりやす!」
「実験は成功だ!」
十六夜月が開発した新黒米は越後中に広まり、瞬く間に広まっていった。
生産量も当時の黒米の1.75倍で味も美味しかったからだ。
これは現代でも使われている黒米を参考にしたため、当然のように酒にも出来たのだった。
上杉謙信はこの黒米で出来た清酒を大層気に入り、生涯にわたって飲み続けたと言われたほどには気に入った。
「いいか農家ども、遅くても夏までにはこの黒米食い切れよ?」
「なんでですかい?べつに食べていいなら食べますが」
「夏になるとこの新黒米はダメになるんだわ」
「じゃあうちらは夏を何を食べたら?」
「これ」
十六夜月の開発した新黒米には問題があり、生産量を増やすために一定気温以上だと発芽しやすくなる作りだった。
そのため、この黒米が食べれるのは秋から来年の春か、遅くても初夏までだった。
当然、そうなると農家達は生きていけないため十六夜月は夏場農家が食べる物を同時開発したのだ。
「はい、冷麦」
「なんか、細っこい麺ですが素材は?」
「麦」
「はぇーつゆが美味いですな、麺もするするって入っていきますわ」
「米食えないのは申し訳ないが、これなら生産量次第だが好きなだけ食えるはずよ」
「稗や粟にくらべりゃ格段にマシですわ」
「あ、ダシ作るのは難しいなら醤油もしくは味噌な」
「味噌ならできますな」
「なら味噌で」
この冷麦は大成功を極め、越後国の農家は他の農家に比べて栄養問題は解決され、尚且つ空腹にならなかったと言う。
元々あった上杉謙信の政策も相まって、上杉家の農家・町民の信頼は鰻登りになった。
更に越後国の茶屋に冷麦を限定販売させ、その特産収入だけでも馬鹿にならない収益だったと言う。
このように十六夜月がとった政策は基本農家中心の食料関係が多かったという。
一方十六夜隼人の政策
「はーい、自国内でとれた黒米ですよー」
「なんで安いんですかい?」
「自産自消ですからね。あっトマトもついてきます」
「まぁ、無料でもらえるならこれ買いますわ」
と言った感じに自国生産した新黒米とトマトを進めていった。
これにより、病気になりにくくはなったが……味は酸っぱいの一言であった。
そこにハール氏が開発した七輪とフライパンでオムライスにして食べたら美味しいとなり、一気にトマトの需要が高まる。
しかし、砂糖塩の消費も高まったため1ヶ月に1回などの贅沢品だった。
もう一方、如月氏とねるじぇら氏の政策では
「うおおおお!植林!伐採!開墾!」
「工具は月光会開発の新道具があるんだなー」
「この木材は?」
「家か木炭にするんだなー」
木材を伐採し、ある程度の森を残しつつ田畑へと開墾した。
その木材は木炭、家の材料となり……流民がまたいきつき住み始めた。
更に、緑魔キャロライン達が稼いだお金は一部流民の食料に割り当てられた事で農業は更に盛んになった。
流民達が来る理由のもう一つとして、年貢の安さがあった。
元々年貢は6割だったのだが、十六夜月の生産量アップのお陰でその必要性がなくなり5割に変更。
余りに出来た豊作時は6割にする条件はあるがそれでも5割は魅力で、農民でも美味い米を食べる機会が増えたのだった。
凶作時は年貢を減らしてくれるため、流民達もかなり来るのだった。
こうして1563年4月の時点で上杉家は武田家吸収も相まって550千石も上がるチートっぷりを見せた。
当然、他の城は改装工事を一部済ませて高い防御構造を入れたのだった。
この特殊防衛構造はオリが開発した物で、力押しではかてないといわれたほどだった。
しかも白米だけなら武士は足軽でも毎日腹一杯食べれるぐらいには大成長を遂げたのだ。
しかし、上杉謙信と武田信玄はそれを許さず足軽武士は基本新黒米で夏場だけは五部つき米と冷麦などがメインだった。
夏場は栄養が偏りがないように朝晩は野菜がたくさん使われた煮物とか炒め物がよく使われたと言う。
1563年 7月24日 春日山城
「なんだか、すごく民達が安定して生活出来るようになりましたね」
「これでよかったんだろう」
「私達も上洛すべきでしょうか?」
「うーん、今剣豪将軍は死んで足利家は織田が上洛したいができない……やるなら、民の信頼がある今か」
「なら、織田と同盟ですか」
「あいつ危険だけどなあ」
「あのうつけが?」
「アイツは全然うつけやない、ガチでやべーやつや」
「貴方様が言うのであれば確かなのでしょう……ところで十六夜さん、今日の分の頭なでなでと甘えの主命がまだ終わってません」
「ほんっとう!甘えてくるなあ!」
十六夜月は上杉謙信に膝枕をしてなでなでしつつ考えた。
「どう朝鮮中国をとるかを」
「明、とれますか?」
「今の装備なら苦戦必須だがとれなくはない……だがそれじゃダメだ、ダメなんだ」
「戦に血は必須です、何を考えてるのですか?」
「やるなら完封なきまでに叩き上げて相手に反逆すらさせない圧倒的な力とその後のアフターケアがいるのだ……」
「やっぱり、私達は出来たら日本の内政だけで十分ですね」
「織田とかが同盟なったら世界を開墾するで条件飲んだら楽なんだがなあ」
完封なきまでの力、その理由は中国の反逆の歴史にあった。
中国は昔から隙を見せたら反乱がおき、そして滅び新しい中国になっていった。
それを知ってる十六夜月はその負の連鎖を止め、尚且つ平和的繁栄のために共産主義になる前の中国を止めるなら今しかないと考えたのだ。
今止めなければ余計に厄介になるのは必然であり亡くなった山本五十六提督に顔向けできないからである。
「信長様きてんだけど」
「通しなさい、十六夜さんは頭なでなではまた後でお願いしますね」
「それがよぉ、十六夜月にも話あんだっでよ」
「甘粕君マジ?」
「あぁ、とにかく通すわ」
天守閣に来るは威風堂々とした南蛮鎧、マントとやはりといった格好だった。
十六夜月は畏怖した。
やはり、この人は十六夜月と似てるが相対すると。
「お初にお目にかかる、十六夜月に上杉謙信殿」
「どうも、織田信長直々に来るとは何ですか?」
「簡単な話だ、同盟を組んで本願寺を滅ぼしたい」
「やっぱりかー」
「十六夜月、お主ならわかるだろ?忍者衆すら使ってお主らを暗殺しようとしてたのだぞ?」
「そりゃわかるし本願寺焼きたいけどさあ、大義名分ないのよ」
「それならある!」
「は?」
「幕府が他大名に連絡しておった!儂の力があっての物なのにアイツらときたら!」
「ああ、これは本格的に……」
「私達のところに来てない理由は……」
「お主らも消すためだろう、今最大勢力だから反乱したら大義名分が立ち知らなければ数で滅ぼすまでよ」
「殿、もう後には退けません」
「上杉は織田家と同盟します!幕府と本願寺を叩きます!一揆が起きる前に叩かないと私達が不利です!」
1563年 7月24日
この日をもって上杉織田徳川の三大同盟が完成、足利幕府崩壊への準備は整ったのだった。
元々月光会自体が幕府と本願寺に狙われており、敵対していたため月光会全員も後に全員協力、織田徳川にも月光会の新型武器の補填が約束された。
一方の幕府連合は、毛利に島津に長曾我部に北条に宿敵本願寺と、数で攻め込もうとしていた。
伊達家は見送理由したが、帰って生き延びることとなった。
月光会は織田家徳川家に早速銃刀を配備、更には織田家には正式採用版リボルバーライフルを1万挺、徳川家には試作型グレネードランチャーを弾薬込み2万発を配備した。
戦争は、間近になっていた。
そして堺の月光会では新兵器を開発してる事と転生者がいる事を十六夜月はこの時はまだ知らなかった。
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