第7話 蛙よ、大海を知れ

1562年 1月1日 春日山城


「いや、おかしくないですか?たった1回の海外貿易で私たちより高性能な船10隻に2万貫を納めるって。しかも新しい野菜に食べ物まで持ってくるなんて」

「うちらがよっぽど技術が遅いって事ですよ……」

「南蛮は凄いところですね……」

「あ、技術です。輪胴銃ですって」

「こちらでも量産体系に入りましょうか」


どうも、十六夜月だよ。

今は月光会全員春日山城だよ。

新年の挨拶とお祝い、そして報告だよ。

ついでに軍資金は50000貫まで回復したよ。海外貿易はやはり凄いがキリスト文化に毒されなきゃいいが……。

それよりも織田家が怖い、あいつらに勝てるか?こっちの方が技術上だが。


「うまい!うまい!」

「あもこはん何をそんなにたくさん食ってる?」

「雑炊!」

「アッハイ」

「その雑炊は味噌とニラが入ってますよ?後卵と」

「仏教徒なんに卵いいんすか?」

「貴方方は逆に何を信仰してるのですか?」

「(霊能力ありますなんていえねぇし信じないだろ)」

「あもこわかんない!」

「待って一人当たりの雑炊がでかい鉄鍋なんだけど」

「祝いの席だからだろ、だが黒米か」

「白米は高級品です」


まぁ、そんなこんなしてる間に場面は変わって織田家


「猿!兵糧を売却して金を稼いでこい!」

「かしこまったでござる!」

「それと上杉家の月光会について調べ上げてこい!あいつらはもしかすると厄介かもしれん……」

「川中島の戦いの影の功労者でござるか」

「ああ、奴らは今は上杉家と同盟してるが……何か同盟になる材料さえあればこっちに引き込みたい」

「3ヶ月、いや3ヶ月でも足りないかも知れませぬ……」

「何故だ?猿?」

「月光会は海外貿易をして支配人がいないときがありまする、流石にそうなると親善も出来ませぬ」

「うーむ……」


織田信長は悩んでいた、どうやって月光会と連絡をとるのかすらわからなかったのだ。

それもそうだ、代表十六夜月が基本各地を飛び回ってるのだ。

副代表も今は海外貿易でおらず、八方塞がりだったのだ。


「猿、命を変更する」

「ははっ!」

「3000貫渡す!月光会との繋がりを得よ!足らんぶんは自力で稼げ!」

「かしこまったでござる!」


織田家、動き出す。


1562年 2月1日 イギリス近くの海


シップ10隻には月光会半数が乗っていた。

残ったメンバーは上杉家に呼ばれ、手厚く修行なり訓練をさせていた。


「はぇー早いね、この船」

「流石にシップとなると早いか、寄り道して1ヶ月か」

「キャロルがイギリスに行く理由は?」

「息抜き」

「やった!」

「あもこは?」

「息抜き」

「わーい!」

「うちは?十六夜さん」

「オリニキはイギリス式弓術を学んでもらう」

「なんでうちだけ?」

「オリニキが貴重な弓使いになってもらうため」


この時代のイギリスは弓の技術が他国とは一線を凌駕しており、十六夜月はそこに目をつけたよ。

クロスボウに長弓と割とやばいのがあるからね。


「あのー十六夜さん、日光は?」

「あぁ君はねるPの護衛、商人を護って」

「宜しくお願いなんだな」

「あぁいえこちらこそ」


1562年 2月3日 イギリス


見てみるとそこは戦場になっていた!


「「「「「は?」」」」」

「Aaahhh! The pirates! The pirates!(うわあああああああ!海賊が!海賊が!)」

「なーんでこんな事なるんすかねぇ!」

「戦闘準備……っすね」

「水軍衆は各自方円を組みつつ探索!」

「オリ隊!救助者を援護!」

「畜生!リーネ連れてくりゃよかった!」

「キャロル弓あるから戦えるけどさあ……なんでこんなことなってるの?」

「わからん……」


本来この時代のイギリスは平和であった。

しかし川中島の戦いでのイレギュラーな勝利と、開発スピードの速さがこのような展開を起こしたのだ。


「あかん!撤退!」

「スギネコ君?」

「相手銃持っとぉ!こっちに勝ち目ない!」

「という事は海賊ですか……」

「水夫は減らせない……」

「十六夜さん、見捨てる?」

「見捨てられんがきっちいな……」

「Get all the cargo and money out! Or die!(積荷と金を全部出せ!さもなきゃ死ね!)」

「死ね、俗物」


十六夜月は火縄銃で海賊の頭をぶち抜いた!

見事海賊はグロテスクな屍に!


「さあ、銃声がしたから集まってくるぞ、構えよ」

「いや十六夜さんが原因ですよね!?」

「だって積荷出しても死ねって言ってるやつにどう会話しろとー?」

「えっわかるの!?」

「イギリス英語はあんまわからんがな」

「十六夜さん、あそこに怪我した齢15歳近くの金髪少女が」

「保護れ」


オリニキ、金髪少女をこっちに連れてくる。

見た目は十六夜月ガチ好み、しかしなんか連れてったら上杉謙信あたりに病んでる目で見られそうだしなあ。


「My father and mother are dead. ...... What am I going to do now?(お父さんもお母さんも死んじゃった……私はこれからどうしたらいいの……?)」

「十六夜君!海賊!殺そう!」

「殺す!」


英語が少しわかる勢、殺意が湧いた模様。

そらそーよ、こんな子泣かせるなんてなぁ!


「幼い少女を泣かせるなんて許せんよなあ!」

「ぶち殺してやるぞヒューマン!」

「十六夜君が火縄銃捨ててリボルバー2丁持ちになった!」

「元自衛隊員を怒らせるとどうなるか見せてやるわぁ!」

「十六夜さん!?リボルバーの弾薬はまだ150発しかないんすよ!?」

「あかん、十六夜さんがブチギレだから無理だ。うちらでは抑えることができない……!」

「リボルバーライフル、リボルバーよし。突っ込む!」

「十六夜さんあかんて!?総大将がつっこ…

…いってもうたわ」


男十六夜、単騎突入。

その後ろに影を複数潜ませてることは誰も知らなかった。


「Money and women! And the army hasn't come yet, so you can take all you want! It's the best time to loot! You guys! You can do whatever you want!(金に女!しかも軍隊はまだ来ないから奪い放題!最高の時期の略奪だぜ!お前ら!好きにしていいぞ!)」

「……」

「What the hell's wrong with you?(一体どうした?)」

「日ノ本から殺戮隊のお届けじゃあああああああ!」


十六夜月は怒りに身を任せつつリボルバーライフルを乱射した!

海賊達は次々とやられていってる!


「Enemy attack! Enemy attack!(敵襲!敵襲!)」

「死ねやあ!」

「甘いですね師匠せんせい!」

「隼人!」

「貴方はいつもそうだ、人には感情に囚われるなというのに師匠せんせいは出来てないじゃないですか」

「お恥ずかしい限りです」

「今回は分からなくもないですがね!もうすぐ軒猿以外の『影』がきます!」

「隼人お前独自で動かしてたがそんな事してたんか!」

「質は保証しませんよ!水夫に紛れさせるのは苦労したんですからね!」


日本越後出港前2時間前


「皆さん、初任務です。最初の仕事は楽だと思わないでください。恐らくですが最悪の事態を考えるなら街が海賊に襲われてるとも考えてください。」

「護衛対象は?」

師匠せんせいこと十六夜月さん、緑魔キャロラインさん、甘乃あもこさん、ねるじぇらさん、日光さん、オリさん、スギネコさんです。」

「里への報奨金は?」

「交易の一部を貴方方に」

「御意、頭」

「(何もないわけがない!嫌な予感がする……)」

「では、我ら忍者衆は各船1隻に10人配備しておきます、頭」

「その手筈で」


こんな事があったとか。


そして現在


「忍者やっば……」

「軒猿と協力して作り上げた月光会専属忍者衆ですから」

「名前は?」

闇夜あんや衆です、里の名前は闇夜の里です」

「隼人の事だ、報奨金くれって言うんだろ里の維持費のために」

「ええ2割ほど」

「まぁいいだろ、じゃあ制圧にかかって!」


月光会が忍者を使ってからと言うもの、イギリス解放は5時間も満たないうちに終わった。

もちろん月光会の水夫達に月光会全員も一騎当千の活躍をしたからではあるが、何より忍者たちがやばかった。

隼人が独自開発した爆発苦無が非常に役立ったのだ。

原理としては刃となる玉鋼に木製の持ち手、持ち手の中には火薬と油が入っており持ち手の見えにくい導火線風の木につけ苦無を投げる事で地面にぶつかった時その衝撃で爆発、木の破片が殺傷能力をもつという原理らしい。

つーか、十六夜さんこんなもん設計図になかった気がするんだけどなあ。


「終わった……」

「ええ、終わりました」

「どうすんだこの100人近い屍」

「街の人に任せるしか?」

「You are heroes, built on this pile of corpses. ......, and we are very grateful to you, but you had an errand to run, didn't you? I assume you're mostly here to trade?(君たちは英雄だよ、この屍の山に築かれたね。しかし何か要件があって来たのだろう?大方君たちには交易予定だとは思うが)」

「キャロルアメリカ英語はわかるけどイギリス英語はわからないよ?」

「あもこぜっんぜんわからん……」

「あーねるじぇら解読不能です」

「日光、わかりません」

「十六夜月は英語聞けばするがしゃべれねーんだよぉ!」

「ダメやん!十六夜はん」

「あ、奴隷買ってくれた人アルネ」

「あ!首輪つきさんに奴隷押し付けた中国人!」

「助けてくれたから翻訳してアゲルアルネ」

「助かる」

「啊,这些人都不是坏人。 他们是相当好的商业伙伴。 我是一个中国人,我可以告诉你。(ああ、この人たちは悪い人たちじゃないんだ。かなり良いビジネスパートナーだよ。中国人の俺が言うんだから間違いない。)」

「If Lei Fei says: ......(レイフェイが言うなら……)」

「あんたレイフェイっていうんか」

「私の名前Zhang・Lei・Feiアルネ漢字だと荘霊菲ジャンレイフェイネ」

「カタガナにするね」

「アンタカタガナ分かる日本人だったか、なら明くるといいアルネ。明にも生まれ変わりいるアル。かくいう私も生まれ変わりネ」

「マジか、中国にも竜巻発生してたんか……」


この事実に十六夜月はさらに頭を悩ませた。

こうなって来ると海外派兵して中国の暴走政権を止めなきゃいけないからであった。

現代では感染症、戦争などの火種になるとわかるため、十六夜月はそれを避けねばならなかったのだ。

畜生マジでリーネつれてきたら良かった。

歴史は十六夜月詳しいが現代学は全くわからない!


「それじゃ交渉は任せろアルヨ、手数料とるが許してネ」

「しゃーない」

「レイフェイさんは男性ですよね?」

「男アル」

「可愛いのに?」

「触って確かめるカ?」

師匠せんせいならやりかねないですよ?」

「おちんちんを確認するまでは女の子!」

「アイヤー、ならその人だけには捕まっちゃ行けないネ」

「で、どちらで?ちゃんと言わなきゃ大惨事になりますよ?」

「女アル、けど男と偽った方が楽アルこの時代」

「(十六夜師匠せんせいには言わない方がいいな、間違いなく気疲れする)」

「レイフェイよ、明の技術どーよ?」

「全くダメネ、銃の時代なのに連弩とか石火矢ネ。馬の質はイイネ」

「馬だけもらいたい」

「宿屋で話すネ」


そういってレイフェイは交渉にいきました。

中国語とイギリス英語が飛び交う中、十六夜月達月光会は宿屋にいきました。


「来たナ、十六夜」

「どっちのほうですか?」

「二人共ネ」

「はぁ」

「手数料1000貫貰ったアルヨ、ここからは個人的話ネ」

「「?」」

「今明は発展してるように見えるがこれから衰退して滅ぶアル、だから早く日本が天下統一シテうちらに武力解決して欲しいアル。第二次世界大戦とか起きたらそっちもこっちま被害アル。そうなる前に日中台朝を治めなきゃ間違いなく第二次世界大戦は起きるアルから時間がキツイネ。ロシアもロシアヨ。あんな戦争起こして余計に竜巻起こしたネ、私モ協力するアル。だから手を貸して欲しいネ」

「うーん、いきなりやばくなったぞ!」

「戦争ですか、世界を巻き込んだ」

「ああ、お前も書物は読ませたはずだ」

「大量の人が死ぬことになるのは月光会でも避けたいですね……」

「時間はないネ、協力スルカ?」

「OK出来る限りのことはやろう」


中国出兵のあしがかりを得たは良いけどよぉ。

これ、私たち生きてるか?下手すりゃ子供に引き継がせないといけないぞ?

後300年オーバーだよ?第二次世界大戦?


「ついでネ、十六夜月、お前私と寝ろアル」

「は?」

「次の世代引き継ぎネ」

師匠せんせいだめですからね?」

「寝ないからな?」

「ムゥ」


なんか物凄く嫌な予感はしたがとりあえず自室でベットに横になった。

うーん、布団が恋しい。まぁ考えても仕方ないとにかく寝よう。


深夜1時


「レイフェイちゃんにかかればこんな鍵余裕アル!開いた」

「zzz」

「夜這いネ」

「!?」

「起きタ!?」

「誰だか知らんが死にたくなければとっとと出て行け」

「お前ランプつけたらもにょるアルこの童貞」

「あ?」


十六夜月さんランプに火をつけ確認したよ。

そしたら露骨にエロいレイフェイちゃんがいたよ。

寝るか。


「この草食系目の前に美少女いるのに寝るカ!?」

「君のことまだ私知らんからなあ」

「その発言だと仲良くなったら良い感じネ」

「せやな」

「じゃあ二人だけの茶会するアル、少し待ってロ」

「本場の中華か」

「それは明日作ってヤル」


と、いった感じにレイフェイちゃん烏龍茶を取り出したよ。

しかし、マジで美少女。

自衛できなきゃマジでやばそうだが。

15分後、お湯ができて烏龍茶を淹れてくれた。


「本場のネ」

「頂きます、うーん文明の味」

「お前、現代人にしては優しいアル」

「そうか?」

「町の人なんて普通考えないアル、中国じゃ自分主義ネ。優しい人もいるがそれじゃダメだったアル」

「そっかぁ、君も現代では大変だったんだな」

「その感じ……お前十六夜月もカ」

「色々あったのよ……で?どうする?添い寝でもするか?」

「……頭のネジは間違いなくぶっ飛んでるネ」

「そういう特性だ」

「まぁ、着替えあるしお言葉甘えるネ。人肌恋しかったネ」

「寂しがりや?」

「レイフェイ、基本行商だから家ナイネ。出来れば安定したところ行きたいネ」

「月光会くる?」

「喜んで行くアル、多少なら戦争分かるし戦えるネ」

「よし、決まりだな!烏龍茶美味しかったよ……さて、添い寝するか」

「(爸爸,妈妈 ...... 我现在很高兴!)」


1562年 2月15日 月光会は新たな仲間を連れてイギリスを出た。

齢15歳の金髪少女とジャン・レイフェイを連れて。

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