第6話 上杉謙信として、そして川中島の戦い

「殿!」

「軍備を固め、決戦に備えなさい」


長尾景虎ちゃんが上杉謙信を名乗ったよ。

しかし、今はそれどころじゃない!

来てしまう!第一次ターニングポイントが!

現在の季節は春で1年経過。

川中島の戦いが!来る!


「十六夜さん?」

「ああ、うん……」

「やはり武田の動きですか……」

「バレちゃしゃーない、間に合うか不安です……正直」


銃刀は鉄砲込みで15000は配備できた。

しかし、川中島の戦いでは使えないだろう。

使ったとして武田信玄に果たして通じるか……。

水軍衆は完成した、ブリガンティン300隻と武装したブリガンティンが150隻ある。

幕府から支援金をもらえたのがでかかった。

まぁ、この官職は上杉謙信が死ぬと無くなるのだが……。


「間に合いますか?」

「ギリギリかと」

「無理はしないでくださいね?」


そうは言われても、無理をしなければ突破はできないのだ。

十六夜さんはずっと行商人をして軍資金稼ぎをしてたが……残り10000貫しかないのだ!

ここらで無茶をして稼がねば!


「8月、攻め込みます。月光会も準備を」

「……」


十六夜さん、考えて堺に戻ったよ。


1561年 7月15日 月光会拠点


「出来たあああああああああああ!」

「不知火!出来上がったか!」

「ああ!五十六提督が残した設計図と実物のリボルバーから作り上げた不知火焔製のリボルバーが!それに新兵器リボルバーライフルが!」

「何個できた!」

「250!」

「よし!月光会出撃メンバーを発表する!首輪つき氏!私十六夜月!スラァ!ハール氏!この面子は戦の準備を!リボルバーが出来たってことはアレがあるな!」

「ああ!フリントロックも3000準備した!」


フリントロック

いわゆるマスケット銃である。

リボルバーの技師を応用して、作り上げたオーパーツである。

命中精度改善はいかなかったか、銃刀と銃槍にソケット式とリング式を採用してることもありその点では火縄銃と大して変わらなかった。

大事なのはマスケット銃の次の銃である。

これが開発された事でボルトアクションライフルが作れるのである!

少しの技術開発で!

リボルバーライフルについては、リボルバーの特性を持ちつつライフルにした完全オリジナルのオーパーツだよ。

正直まだ試作段階だからうまくいくかわからないがあるものができるまでの繋ぎとしては使っていくしかない。


「不知火さん、設計図の中に三十年式があったろ……いけるか?」

「多分いける」

「なら、開発スタートを」

「資金大丈夫なん?」

「これさえ出来たら勝てる!」

「いやまぁ勝てるけれども」


実際、ボルトアクションなんて来た日にはまず勝てる。

資源のことすら考えなければ無双はできるだろう。

だが、そうなると海外出兵して暴れまくるだろう。

力を持った人間はとたんに暴走するのだ。


「では、行ってくる」

「死ぬなよ?」


十六夜月・ハール・首輪つき氏・スライド氏は、戦地へと向かった。


8月16日、月光会はそれぞれ1000の兵を貰い

善光寺から独自に動かした。

上杉家もオリ・スギネコを戦場に出しており見張りとして500の兵を持たせた。

月光会が牙を剥く時が来たのだ!


そして、1561年9月1日

歴史が動き始めた!


「纏まって撃て!」

「十六夜隊が撃ち終わったら間髪いれずに連射!」

「首輪つき隊、最後に火縄銃を撃て。そしたらソケットをつけて突撃する!」

「スライド隊!銃槍構え!奇襲強行突破だ!」


新兵器マスケット銃の集弾性は悪かったが、圧倒的な弾幕量に本来の目的であった妻女山の制圧であった山本勘助らは、混乱。

1561年9月5日にして川中島の戦いが始まったのである!


「とにかく弾が尽きるまで撃て!」

「いいぞ〜、敵が来てない」

「十六夜月さん化け物すぎん?」

「ほんまや、たった2000で1万以上相手にしとるけん」

「そろそろ銃撃ちやめー!」

「後はスライドさんともこの字次第」


「なんだあの連射速度の鉄砲は!?物見よ!数は本当に2000なのか!?」

「はい!2000で間違いありません!」


「今だ火縄銃撃てえぇぇぇぇ!そして銃槍にして暴れまくれ!」

「背後から失礼」


「後ろと横から火縄銃だと!?えぇい奴らの軍は縦横無尽だとでも言うのか!?」

「数!2000!」

「その程度蹴散らせ!」

「戦場川中島へようこそ……歓迎しよう、盛大にな!」

「その首貰ったぁ!」

「……たった2000と侮った我が甘かったか!」


その刹那、首輪つき獣のハルバート一閃により山本勘助は命を落とした。

馬場信春もスライド隊の強行突撃の時に首を討ち取られた。

武田信玄は、たった数8000の丸裸にされたのだ。

しかし、歴史家の中でもこの記録は怪しいという結果も怪しいという者もおり、実際は十六夜月とハールが放ったマスケット銃の銃弾にやられ成果偽装として首をとったのがスライドと首輪つき獣だったりと賛否両論である。

実際確かな事なのは、この1561年の川中島の戦いでマスケット銃が出たと言う事実は揺るぎない事は確定であった。


「報告!山本勘助隊が壊滅致しました!」

「伏兵だと!?兵種は!?」

「鉄砲です!鉄砲と足軽を併せ持った新兵種です!」

「えぇい!引き上げるぞ!こうなったら勝ち目がない!」

「武田!その首貰った!」

「何奴!?」


1561年 9月8日

上杉謙信が武田信玄を強襲。

月光会が別働隊を壊滅したの報告を受け、上杉謙信も十分に兵を休ませての強襲だった。

武田信玄も軍配をもって退けるも、これでは無理との判断をとった武田信玄は海津城へと籠城する事となった。


1651年 9月12日 海津城包囲


「(近付いてやればワンチャンか……)」

「海津城の兵糧は?」

「約、2ヶ月から3ヶ月かと」

「こちらが持ちません、力押しで行きましょう」

「スラァ、リボルバーライフルもってこい」

「あいよー」


この時、十六夜月はスライドにリボルバーライフルを持ってくるように指示。

持ってきたのは、火縄銃ではなき見た目はボルトアクションライフルだった。

正しくいうとリボルバー型のライフルであった。

現在、博物館でも展示されてるが川中島の戦いで使われたのは試作品とも言われており、これよりも命中精度に信頼性が悪かったという説が濃厚である。


「こいつなら狙う価値は!」


更なる新兵種、リボルバーライフルによる狙撃を鑑みた十六夜月。

この時のリボルバーライフルの殺傷射程が火縄銃の2倍である800mであり、当てるだけなら1500mは行けたという。

そこからの狙撃は現代でも難しく、ましてはアイアンサイトもスコープもない完全な目分量の狙撃はこの時代では後の不知火焔しか成功させてないのだ。


「うっ……」

「お下がりくださいませ!」

「いや……この傷ではもう助からん、儂がいなくなって新兵種まである以上もはや武田は滅ぶ未来しか見えん……ならば、上杉に降伏する!」

「殿……」

「上杉に降伏の文面送れ!」

「はっ!」


1561年 9月13日

十六夜月によリボルバーライフル狙撃成功により重症を負った武田信玄は、武田家の降伏を宣言。

上杉家は、甲斐をこの戦で全部支配下にいれたのだ。

武田信玄はこの後急いで堺の月光会拠点にて緊急治癒、一命を取り留め後にまた自分自身で軍を率いるようになる。

堺の月光会拠点をみた武田信玄は、これを見て「こんな相手に勝てるわけなかろう」と納得の一声をあげ、治療に入ったと言う。

月光会は、この川中島の戦いで強さを見せつけたのである。


1561年 10月1日 月光会拠点


「死ぬかと思ったわ、しかしこんな訳の分からん技術を持っておったら儂等が勝てるわけなどなかろうて」

「でしょうね、こちとらオーパーツの塊ですもんね」

「命があるだけ降伏してよかったわ」


武田信玄公、完全にこっちの技術に興味深々。

でしょう誰だってそうする。俺だって畏怖しながら拠点を持つ。


「まぁ、上杉なら支えてもいいだろう……この武を今度は織田か北条にでもぶつけてやるわい」

「恨みとか持たなくてよかった!」

「その代わりといっちゃ何だがな……騎馬を強化する何かを開発してはくれんか?」

「許可降りたらね、今は上杉家と資金繰りで苦しいんですわ」

「何?資金が苦しい?よし、儂に任せろ」


武田信玄は、月光会に5000貫の支援金と共に騎馬強化のための装備もしくは良馬開発を命令。

月光会はこれに応じる形で、2つの国に海外交易を開始した。

目的地は明とイスパニアだった。

イスパニアには水城リーネを、明には緑魔キャロラインを派遣した。

護衛は、イスパニアには十六夜月を……明にはいつもの首輪つき獣氏がいくのだった。


1561年 10月5日 インド沖


食料と水の補充のためインドに寄港した十六夜月達。

そこは、まさしく異国だった。


「おい、なんだこれ」

「うっわあ、インド用の交易物資買って良かったですね……ここでスパイス買ってヨーロッパで売れば巨額の民ですし軍資金問題は1年ぐらいならフル開発と贅沢の極みでも持ちますよ!」

「り、リーネ君?」

「それにヨーロッパは船があります!買いましょう!」

「……ゼル、リノアいるな?」

「はいはい」

「呼びました?」

「設計図、俺らが補給と買い物と船員の息抜きしてる間に盗み出せ」

「知ってたよ」

「はいはい」

「見つかるなよ?見つかったら死だからな?」


こうして10月15日 イスパニア


「Excuse me, what are the specialties of this town?(すいません、ここの町の特産品は?)」

「Tomates y armas, y almendras.(トマトと鉄砲、それとアーモンド)」

「One package of tomato plants and as many almonds as we have in stock, the rest is wool.(トマトの苗を荷物1つと後アーモンドを在庫あるだけ、後は羊毛を)」

「リーネすげぇ……マジで交易してる……」


こんな感じに1時間


「Ah, revolver technology! You're allowed to teach me!(あ、リボルバーの技術だ!教えてもらっていいんですか!?)」

「Si vamos a comprar diez de estos malditos barcos comerciales, también tendremos un excedente de ellos aquí, y eso es un problema.(このクソでかい交易船10隻買うならな、こっちでも余って困るんだよ)」

「十六夜月さん、これを買ってもなお大黒字です。買ってください!」

「何型よこれ」

「多分これシップ型ですよ?なんであるかは分からないですが」

「海外は俺ら以上に発展が進んでるって事か……」


十六夜月達は、交易船に詰めるだけ詰め込み。トマトの苗は船ね1隻のうち20%も持つという自国開発にも手の抜かりがない考えだった。

そしてリノア氏にゼル氏はシップ型の設計図を盗むことに成功。

これが富国強兵の道となるのだった。


一方同時刻 明では

「あーティーイズ銀?」

「何言ってるアルか、日本語いけるアル」

「ならお茶頂戴、海産物あるよ」

「見せてもらうアルね」


色々あったが交易はできそうだった。

しかし、ヨーロッパにいく交易に比べたら格段に収益は少なくあまり旨味がなかった。

その分安全ではあったが。


「そこのお兄さん、奴隷いるよ」

「……」

「安いし可愛いヨ」

「今度余計なことをいったらその斧でぶっ叩くぞ」

「お兄さん、少女嫌いだたか」


首輪つき獣は、嫌々ながらに奴隷少女を見た。

火傷後がひどく、服もぼろぼろ。

歳も10代前半に見えた。

栄養失調も起こしてる……これじゃ長くは持たないだろう。


「100貫やる、今すぐその奴隷を置いて立ち去れ」

「アイヤーありがとねー」


首輪つき氏、奴隷を買う。


「……」

「弁当、食え」

「あ、ありがとうございます……」

「中身は白米握りに里芋、卵焼きだから1日かけて食え」

「首輪つきさん私にも構って!」

「キャロルにはソーセージマフィンがあるじゃねーか!」

「もう食い終わった!」

「なら弁当配布の時間まで待て!」

「バーガーほしいの!」

「……」

「ほらー奴隷少女ちゃん困惑してるじゃん」

「中国の小籠包とか肉まんは!?」

「肉まんしかねーよ!」

「そんなぁ!じゃあ肉まんでもいいからちょうだいよ!」

「馬鹿!後2時間で出港だ!」


こんなやりとりがあったそうな。


1561年 12月1日 出石の町


「へぇ、この種を初夏頃に蒔いてほしいと」

「はい、うまい炒め飯が作れるようになりますよ」

「赤米と黒米が旨くなるならいいですぜ」

「では、7月ごろにまた」


トマトの育成計画も、着実に進んでいた。

このトマトが完成したら健康面でも改善されるため、十六夜月は食料改善と共に健康にも気を使っていたのだ。

これが、上杉謙信の健康を良くするとは知らずに。

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