⚄
俺は自分自身のことでありながら、未だ受け入れられないでいる。
『出て行ってやっても良いが、今宵は食気が強い故、誰それ構わず生気を吸うがそれでも良いか?』
「ダメに決まってるだろ。お前は加減を知らない」
阿紫は限度を知らない。
少しだけなら影響はないだろうが、阿紫の『少し』と人間の『少し』にはずいぶん大きな差があるようだ。
阿紫が少しと思っても、全然少しじゃない時もある。一歩間違えれば命を奪いかねない。
初めてその異変を知った時、受け入れられずに阿紫を俺の『中』から出したことがあった。
でも腹を空かせた阿紫は傍にいた匠実の生気を吸いすぎて、匠実を気絶させてしまった。
それ以来、阿紫を外に出すことは止めた。
俺の生気を吸うのは式神だから仕方ないにしても、他の人の生気を吸うのはもってのほかだ。
とはいえ、俺なら平気かといえばそうではなく、調子に乗って生気を吸われすぎると貧血を起こすこともある。
俺は生気を吸われても、食事をすることで生気が養われ元気になるのだが、阿紫が中にいるようになってから、やたらと腹が減るのは、阿紫に生気を吸われているからに他ならない。
そんなこんなで阿紫を野放しにできない以上、この女性化は免れない。
知らず深い、深~いため息が漏れる。
ため息を漏らした俺を甘楽がどつく。
「ボケっと突っ立ってんなよ。邪魔だ」
相変わらず冷たい口調の甘楽。
でも、どういうわけだか、甘楽は今日、やけに女に磨きがかかっている。
いつも以上にかわいい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます