退廃感
日本語破綻者
第1話ドッドド
気だるい中、散歩をしている僕は工場跡地を見つけた。
何年前に使われなくなったのかは分からないけど、朽ち果てた地に立つそれを見てそこで働いていた当時の人の事を想像していると鮮やかに人々の姿が浮かぶような気がした。今現在映るこの朽ち果てた光景と、想像の生き生きとした光景が混ざりそこはまるで別次元のはざまにでもいるかのような気がした。夏の空気を大きく吸う。鼻で感じる生ぬるい、夏独特の蒸す匂い、木々の草の香り、少年だった頃の自分を思い出す。
「どうした? そんなにこの工場が気になるか?」
突如声をかけられた。声をかけてきたのは能力者だった。相手がそうだと名乗ったからだ。もちろんそんなことは信じていない。
「この工場の当時に行ってみたいか?」
「はは……そうっすね」
「願い叶えよう」
僕の体が一瞬光に包まれたと思った瞬間、僕の体は、意識はとんだ。
目が覚めると、そこは工場のライン現場だった。
「○○さん、早く手を動かして!」
どうやら僕はラインで働いている当時の一人に転移、乗り移ったようだ。いつ未来の自分に戻れるのか。しかし次第と未来のことなどどうでもよくなってきた。僕は未来から来た? いや何を考えているんだ。僕はこの工場で今日もライン仕事をしているんだ。今日も頑張ろう。僕は思うのであった。
退廃感 日本語破綻者 @mojiuchisyuukann
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