第16話

時間があればあったで、ついスマホを取り出して確認してしまう。



今はスマホも没収されているから、ただひとりの時間が流れていくだけだ。



蘭はさきほど借りた帽子を手に取り、眺めはじめた。



下駄箱の上に置かれていた帽子だから、きっと彰が普段から愛用しているものなんだろう。



もしかしたら、自分を誘拐するために使ったのかもしれない。



そう思うと蘭の胸はギュッと説明気分になる。



彰がどれだけ自分のことを考えて、準備してきたのか。



そんなこと全然知らなかった自分が腹正しくもある。



蘭はギュッと帽子を抱きしめたのだった。

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