第228話 フリオールの出番です!

 カーラの話はこうだ。


 俺がアイリーンを伴って脱出した後、プリオールを捜索隊の責任者として送り出した。


 そこまでは俺も知っている。

 問題はその後の事で、城がなくなり困り果てている時に1人の魔術師が現れ、魔法で城を作れると言っていた。


 皆白い目で見ていたが、失敗したら殺して貰っても構わないが、成功したら公爵の爵位をと要求し、無理だと思っていたから了解した。


 しかし、成功したらだったはずが、成功したと。


 国王は大層気に入り、公爵に取り立てたのは勿論更に摂政にした。

 そこから怪しげな者達が城の中をうろつき、国王達は段々力を失い病に臥せっていった。


 それは王都を始め、公爵の部下が赴いた町でも同じだった。

 その公爵が魔王だと知ったのはカーラが魔王の奴隷となってからだった。


 そこからは酷かったらしい。


 まだ動ける市井の者にカーラを犯させたり、首輪に紐を付けられ、裸で犬のように散歩させられ、犬のようにおしっこをさせられたりしたのだと。

 それも公衆の面前で。


 もっとおぞましい事をさせられたようだが、アウィンは俺達日本人には伝えなかった。


 どうやら城のある位置はかなり重要な場所だったらしく、城を建てるのにかなりの力を使い、養生をしている時にニーナが現れ、力が回復していない所を討たれたと。


 そこから正気に戻り、何があったのかを思い出して今に至ると。

 国王は最初の瘴気が強過ぎて即死したらしい。


 カーラには効かなかったので、奴隷にしたようだ。


 アーリバンの実際の統治について各総督の意見を聞き、アーリバン王家の血を多少なりとも引く者を探して総督にする事になった。

 とはいえ、俺が言った一言で片付いてしまった。


「俺の所にアーリバン唯一の貴族が生きているんだよな」


 全会一致でフリオールにと即決されたのだ。


 そう、フリオールにも当然ながら遠縁だが、王家の血が入っている。

 俺の屋敷は既にフリオールがいなくても何とかなる。

 フリオールの方も、元の使用人達を手元に欲しがるだろうからと、屋敷の使用人達については、かつての奴隷が執事やメイドを行う事となり、先ずは半数をフリオールと共に送り込む事になった。


 殆どの者が、俺の屋敷の運用を任せているのが実はアーリバンから俺を捕らえると称して逃れてきた者だという事を知らなかった。


 それと、資金は元の城にあったのを使う事にした。


 アーリバンの復興はこれからが本番で、フリオールに地位を与えたというよりも、辛い仕事を押し付けた形になる。


 だがしかし、フリオールは祖国の復興に並々ならぬ意欲を見せていた。


 因みに元のフリオールの屋敷は荷物で大変な事になっているが、俺は敢えて伝えなかった。


 建物は無事だと伝えたが・・・

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