第227話 カーラへの尋問
俺は憔悴しきったアーリバンの第2王女であるカーラに向き合っていた。
げっそりと痩せ髪もボサボサ、肌は荒れ放題と、召喚直後に見たあの傲慢そうな美女の面影はまるでなかった。
かつては綺麗だったドレスは痛み、シミだらけだ。
おまけに臭い・・・
女に臭いと言いたくはないが、もしも今裸になり誘ってきてもその場を後にするだろう。
それ程に酷い状態だった。
悩んだ末に俺はアウィンを呼んだ。
「悪いが風呂に入れて着替えさせてやってくれ。以前見たあの自信に満ちた姿からは想像がつかない酷い状態だ。せめて身綺麗にしてやりたい」
アウィンはカーラが身柄を拘束されている部屋に入るとしかめっ面になるも頷く。
カーラに身体を洗い、着替えましょうとアウィンが告げると少し表情を明るくして黙って従っていく。
1時間程で準備が出来たと言われ、カーラと再び向き合う。
頬はコケ、病的に痩せているが元々美人なのもあり、小綺麗になると多少は見られる姿になった。
「俺が誰か分かるか」
首を横に振る。
無理もない。40人を召喚し、その後数時間もしないうちに俺たちはここを離れたのだ。
「召喚した者の中に1人だけ違う格好をした者がいたのを覚えているか」
「は・・・い」
声はか細く、今にも倒れそうな感じだ。
「召喚した理由等聞きたいが、それは後で良い。魔王に攻められたようだが何があった?」
目をキョロキョロさせ、挙動が変わった。
そして助けてとか、何でもしますから痛くしないでと言い、俺にご奉仕を始めた。
キスをし、股間を弄り始めたのだ。
俺が唖然としているとアウィンが引き剥がした。
アウィンに任せ部屋を出る。
まさかの行動に狼狽えたが、よくよく考えれば想定内の自体だ。
恐らく性的に酷い目に合わされ、奉仕を強要されていたのだろう。
声を掛けた俺を見た時、一瞬体を強張らせていたのは折檻されると思い、反射的に奉仕を始めたのだろう。
アウィンもそれを悟ったのか、優しい声を掛けていた。
カーラの啜り泣く声が聞こえた。
困った。これは俺だと尋問する事が出来ない。
仕方がないのでアイリーンとみっちゃんに事情を話し、聞きたい事を告げて尋問を任せた。
しかし、2人は感情的になってしまい、最後はカーラが許してくださいと懇願している声が聞こえて断念。
その後ニーナやらシャルルも尋問を試すが、皆駄目だった。
どうやらアウィンにのみ心を許している感じだ。
なのでアウィンに託さざるをえなくなった。
暫くの間カーラへ食べ物を食べさせたりの世話をアウィンがしつつ、合間合間に話を聞き出してくれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます