第226話 飛ばしまくる

 クマーシャルに降り立ったのは、何とか100人分の準備が終った直後だった。


 皆準備ができており、俺が飛ばすのを待っていた。

 また、担架が用意され、俺が気絶するのに備えており、準備万端だな。


 早速魔導通信でシャルル達と話すも特に何もなく、俺がクマーシャルに辿り着いた事に安堵したようだ。


 取り敢えず気絶する事の無い人数を内陸の町に飛ばす事にした。


 こちらは精鋭を送り込む。


 その7名を地図を見ながら飛ばし、次に90名には手を握ぎってリング状になるようにさせていた。


 そのうちの1人の頭に触れながらアーリバンの王都に向けて飛ばした。


 俺はその瞬間意識を手放した。


 次に目覚めるとアイリーンに抱きしめられていたが、4時間程気絶していたらしい。

 フラフラと立ち上がるとアイリーンに服を着させられ、その後アイリーンも服を着る。

 俺の体温が低下していたからだ。

 次に飛ばす者をと言うも、周りからは猛烈に反対されたりする。

 食い下がるもアイリーンからメっ!ですよをされ渋々居室に引き上げる。


 その後シャルル達の下に90名の援軍が来た事により、シャルル達の活動の幅が広がり、シャルル達は城に入り暫しの休息に入る。

 もう夕方となり、活動を再開するのは明日となった。


 また、7名の精鋭も無事に町に辿り着いたが、そこも酷い有様だとか。


 王都は人員的に一段落したが、他の主要都市に人員を送り出す。

 しかし国境に近い町には飛ばさなかった。これは国境から進入した者達が対応する。


 なので9名を飛ばしてから91名を飛ばす。そして気絶して暫く休むのを繰り返し、3日後には平穏とは行かないまでも何とか救える命は救った感じだ。


 そして次に俺はアイリーンと国境に飛んだ。

 国境を何とかしたかったからだ。

 国境の詰め所からは国境の壁の内部に入れたりする。

 外からだと触れると気絶するのだが、内側ならなんともない。

 それもあり、俺は国を分けていた壁を収納に入れた。

 どれくらいの長さがあったか分からないが、アーリバンをぐるっと囲んでいた国境の壁を取り除いたのだ。


 国境警備隊の者達は国境がなくなり涙を流していた。

 そして俺はアイリーンとアーリバンに飛び、少しやつれたシャルルと、目が死んでいるみっちゃんを見た。


 みっちゃんは俺に抱きつくと見せ掛け、アイリーンに抱きつくと泣いていた。


 どうやら多くの命が目の前で散って行くのを見るしかなく、己の無力を悟ったと聞こえた。


 シャルルは俺の背中に抱きつき暫く泣いていた。


 俺の妻達を数時間休憩させ、俺は王都を視察して行く。

 その後生きている唯一の王族である王女と面談、もとい、尋問する事にしたのであった。




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