第219話 国境の町は?

 俺達は一旦歩きでアーリバンに入り、近くの町に調査の為向かう事にした。


 不安そうにしている兵士に見送られながら国境警備隊詰め所を後にした。


 幸いなのは国境の門はアーリバン側は施錠せずに去っていった為、破壊せずに済んだ事だ。


 何はともあれ徒歩で向かう。

 馬を考えたが、乗れないメンバーがいるし、たまには歩きも良いかなとなり、のんびりと歩いている。


 意外な事にシャルルが音を上げずについてきている。

 のどかな平原地帯を進んでいる。


「アーリバンに入ったのは数年振りですわ」


「シャルルは行った事があるんだ」


「ええ。ニーナさんも第2王子の婚礼の時に招かれており、私とアウィンはアーリバンでニーナさんと知り合ったんですよ」


「へー。確かにニーナはシャルルとアウィンの顔を知っていたけど、そうなんだね。もうその頃には剣聖だったのか?」


「いや。なりたてでだったぞ。各国を表敬訪問していて、アーリバンは結婚式に合わせて行ったんだ」


 時折エンピアルが皆に身体能力向上のバフを掛けてくれていた。


 エンピアルには感謝しても感謝しきれない。

 彼女は決して表に出ようとはせず、裏方を淡々とこなしてくれる。

 お陰でニーナのキレが最近特に良いらしい。


「なんか歩くのも新鮮だな」


 アウィンとセレネは警戒してくれているが、俺はピクニック気分だった。


 そして町が見えたが・・・どう見ても廃墟だった。


「なあ気の所為かかつて町があった所のような気がするが、ここに町はあったのか?」


「ここは国境警備隊の家族や駐屯部隊の兵士、それらを相手にする娼婦や物売りがそれなりにいたはずだぞ」


「やられてからどれ位だろうか?」


「煙は見えない事から1週間以上経っていると思うのだが、皆どう思うだろうか?」


 アウィンが冷静に伝えてくれた。


「無駄かもだが、可能なら生存者の救助、何があったかの調査、敵に対する守り。この3つに別れたい」


「では瑞希様、通村様は生存者探し、私とエンピアルさんは調査。レオン、セレネ、2号さんは守り。ニーナさんは生存者、アウィンは調査班の警護で。何かあったらトーランシーバーで連絡を」


「トランシーバーな」


 俺のツッコミにシャルルから白い目で見られた。


 町に入ったが、酷い有様で、焼け焦げた死体があちこちに見られる。


 俺は2号さんとセレネと共に上空に上がり何か無いか確認していく。

 見渡す限り何もない。


 程なくして地上に降り、俺も生存者の探索に当たる。

 昼近くまで探すも見付からなかった。


 調査を打ち切り、1度集まったが、国境警備隊の死体はなかったとの事だ。

 駐屯兵は戦ったようで、武装した状態で死んでいたそうだ。


 生存者も見付からず、このまま王都を目指す事になり、王都から比較的近い所に向かう事にし、皆を飛ばした後アウィンとの空の旅となったのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る