第206話 ミナリリカという少女

 朝チュン

 素晴らしく心地良い響きだ。

 朝シャルルとそうなっていて彼女の温もりが心地良かった。

 彼女には頭が上がらない。

 勿論彼女の頭は俺の胸元だ。


 〜時は朝目覚めた時に戻る〜


 少し真面目な話をしていた。

 朝チュンでラブラブな話ではない。


 この国の話だ。

 既にシャルルが根回ししていた。俺が救国の英雄となっており、既に国民感情も俺を皇帝として受け入れるというか、庇護下に入らないと瓦解する可能性すらある。


 有力貴族が跋扈する可能性があるが、こちらは既に大陸の半分以上を制している。

 そんな俺が友好的に併合すれば問題ないと。


 着替えてから食事だったが、今日は小さいテーブルに俺、シャルル、ミナリリカというあの可哀想な娘がいる。また、見知らぬ青年もおり、ミナリリカの相談役らしい。


 一応アウィンとセレネにいてもらっている。

 但し、先に食べて貰っていて、護衛として斜め後ろにいて、エンピアルは珍しくニーナと一緒で、アイリーンとみっちゃんは高校生達と一緒だ。


「ミナリリカ、昨夜はちゃんと寝られましたか?」


「あっはい。その、色々ありがとうごさまいます。それと彼を紹介します。私の従兄に当たる・・・」


 王位継承権はなかったが、分家の青年だ。

 結局政務の代表代理を託したい人物として紹介してきた。

 年齢的に本来すべきではないが、いきなり俺の配下を総督に任じるのは時期尚早だというのは俺でも分かる。


 昨日一部の者を各町に送り込んだ。

 これから各地方に飛ばす。


 この町に飛ばされた高校生の1人が魔道具のクリエイターだった。


 そこで魔道具の作成をお願いしたのだが、魔石を使って長距離通話が可能な魔道具を作れないかだったが、既に作っていた。


 ある程度作ってもらい、各地方に飛ばす者にその道具とテスト用に魔石を渡した。

 勿論使い方もだ。


 俺も個人的にペアリングしたのを作って貰い、兄弟の所に送る予定だ。


 数が揃ったので魔道具をばら撒くのだが、その動力の効率がかなり悪くて1分程で標準家庭が1か月暮らす事が可能な額が飛ぶ。


 ミナリリカは気丈に振る舞っていた。

 国王も王妃も亡くなっており、兄達、姉達もドラゴンにより城の一角がやられた時に瓦礫の下敷きに。

 俺が城をしまってもその場におらず、収納から出した時に城が崩れたが、その後瓦礫の中より彼女の家族は死体で発見されている。

 ただ、1番上の姉はサルベルの貴族に嫁いでおり一応血縁者はいる。


 俺の庇護下に置くとしたが、シャルルは彼女とも婚約をと言われた。


 美人になる片鱗はあるが、おい待て!だ。まだ13歳だぞ!

 親の仇を討ったのと、俺がいなければ死んていたりずっと気に掛けて様子を見てくれており、俺の事をうっとりと見ている。


 俺に頼らなければとの思いもあるのか?

 よく分からん。



「本人が栃郎様に惚れたのですから、傍目からは政略結婚に見えたとしても少なくとも本人はそうではないですから大丈夫ですわ。寧ろ変な所に嫁がされる事もなく、この人の奥さんの1人になれたらな!と思う相手に嫁げるというのは王族の女にとっては望外の幸せ。何よりミナリリカの心の安寧の為に必要ですわ」


「俺の事は?」


 シャルルの冷たい視線が怖い。


「必要かしら?俺のところに来い!俺が守ってやる!位の事を言うものですわ。それに彼女の母親は美人で有名でしたから、美人の妻が増えて良かったですわね!」


「じゃあミナリリカさん、仮の婚約という事にするから、好きな人が出来たらその人と結婚するんだよ。婚約破棄してもペナルティーはないからね。それで良い?」


「はい!お願いします」


 1つ問題が解決し、俺はホッとしたのだが、またやらかしていました・・・・

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