第185話 今後の事

 今日のアイリーンは何故か真っ赤になっていたが、今回はしっかりと抱き上げ、ヘルメット無しで飛んでいる。


 ハーネスが邪魔なのだが、安全には替えられない。

 2人と、つまりアイリーン、ニーナ、俺の3人がギュッと抱きしめあっており、これが地上でならばとても素晴らしい事だが、飛翔の時はそうではない。


 先程と違い、スピードを出す必要はない。

 ただ、今はベルトで3人を固定しているから、死物狂いでしがみつく必要はないが、2人は俺を強く抱きしめている。

 大袈裟だな。


 咄嗟の時はこのような事は出来ないので、1人目はお姫様抱っこ、2人目は背負う。

 その後は各自がカラビナを付けるか、安全な所に降りて少なくともカラビナだけはつけ、可能なら俺から離れ難くなるようにベルトで3人を固定するから、傍目から見ると凄い格好だ。


 暫く進むと騎士団を発見した。

 合流したな達と話をする。公爵達を捕らえた人何人が向かっているというのを伝えた。


 彼らのことをタクシー俺は王都へと向かった速度はヘルメットをしない事もあり、往路の半分程のスピードなので、時間もそれなりに掛かる。

 とは言え、時速60キロぐらいは出ているはずなのでそれがに風圧が大変だったりする。


 なので大声での会話だ。

 ただ、大事な話をする時は時速30キロとスクーターや、頑張って漕いでいる自転車並みに落とす。


 それでこの後の事についてだが、残り2国になる。

 ただ、1国は次に俺達が向かうのとは反対方向で、イデアさんの弟子、つまりニーナの姉妹弟子の1人が向かっているそうで、対処するのは残り1国。


 まだ高校生達が各所に散らばっているし、尚ちゃん達も離れ離れなので、一旦尚ちゃん達をシャルワールに飛ばし、俺達も続く。


 次にシャルワールに集った高校生達をクマーシャルに。

 俺達も一旦クマーシャルに行き、高校生達をプリオールに押し付け、じゃなくてイデアさん達に託しそれから最後の1国に向かう事にした。


 取り急ぎ高校生達を合流させ、皆を安心させたかった。

 最後の1国が心配だが、タウンドリフトを使えるようになったので、タイムロスは少ないだろう。


 予知を過信する訳ではないが、イデアさんから渡されている手紙にはこうあった。


【象徴となった後賊を捕らえるだろう。その後仲間を集めつつ家に荷物を取りに行くのが吉】


 今更だが、予知されており、イデアさんだけはわかっていたようだ。


 つまり象徴となる皇帝になって、ドルトン公爵達を捕まえ、その後シャルワール等を経由して最終的にクマーシャルの屋敷に戻る。


 ただ、荷物をってなんだろう?とこれはよく分からなかった。

 イデアさんは予知を知ってそれを変えられるのを今回は是とずく、謎掛けの手紙を渡してきた。

 事後に、ああ!なるほどとは思うが、その時が来ないとよく分からない。


 そうそう、トライデルの王都に飛ばした者達には簡易トイレだけは渡した。繭が溶けて糞尿がその辺に撒き散らされるのも困るからだ。


 特にあの女、名前も知らないがニーナはやり過ぎたように思う。ちょっと嗜虐が疼いたけど、ソレはあくまでも唾を吐かれた事による怒りだったが、俺に犯されると涙していた姿を見ると、ザマアねぇな!とは思えず、心に少し痛みを感じた。


 だが、意外な事にアイリーンも少しやり過ぎてはいるものの、目くじらを立てる程ではないと言っていた。


 そうしていると城に着いたので急ぎセイドリック達を集め、戦果の報告と、俺がするのはここまでと、これ以上内戦の後始末に関わらないと宣言する。

 ただ、公爵の娘に関しては俺が身柄を引き受けるとした。

 それはニーナから言われた事からだ。

 この大陸の通例だと公爵の妻や娘は性奴隷落ち、息子達は処刑か一生奴隷として強制労働に、公爵は狭い部屋に死ぬまで幽閉だそうだ。


 俺が先の娘を引き取ると言うと驚かれたが、セイドリックもその娘の容姿を知っているようだ。


「陛下。驚きましたが、なるほど。あの娘気が強いですが、見た目はニーナ殿や奥方様と引けを取らぬので、うんうん。そう、妾の1人にし、子を産ませるのですな。残念ながら私もまだ独身ですから、陛下に差し出せる娘がおりません。所であの子の妹達はどうされますか?」


「ちょい待とうな。俺を皆なんなんだと思っているんだよ。って性奴隷になんてするのは可哀想だ。あの娘、父親が何をしたのか知らなかったぞ。一族郎党全てを処刑する時代のレベルなのは分かったが、女を性奴隷落ちにするのは駄目だ!あっ!これでは内政干渉か?俺は別にあの娘をどうこうしようとはしない。魔力持ちなのは見て分かったからアカデミーに行かせて冒険者になって自活し、この国以外で自由に生きて貰おうと。母親はクマーシャルの王妃の付き人でもさせるさ。但し男は任せる。これについては判断を変えないように一切口出しをしない。娘達は全て引き取るが駄目か?」


「いえ。陛下の寛容さに感謝せねばなりませぬ。私ならば公爵の息子達は公開処刑、娘達は私に協力して、敗者となり捕らえられていた家へ下賜します。勿論息子達は喜んで慰み者にし、私はそうと分かっていて部下の進言に首を縦に振る事になりますが、娘達は陛下の御心のままで問題有りません。一応言っておきますが、あの母の娘だけあって見目麗しいのですが、夜伽のときに食い千切られぬよう命令してから伽をさせる事をお勧め致します。それと、彼女らの為に、死ぬまで陛下の奴隷としておく事をお勧め致します」


「何故?」


「この内戦で多くの者が亡くなりました。死者の身内からは首謀者の娘、ただそれだけで恨まれ、あまつさえ素性がバレると刺客を差し向けられるとは言いませんが、理不尽に殺される怖れが高価いのです。しかし、奴隷を殺すのは主人にのみ許されており、他の者がそれをするのは、奴隷の主に対する明確な敵対行為となるので、彼女らの為になります」


 話はこの後も続いたが、俺はまだまだこの世界の事を知らなさ過ぎるなぁと痛感させられるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る