第174話 ニーナと朝チュン

 朝どうしてこうなった?と唸りざるを得なく、その状況に顔が青くなる。

 俺は赤毛の超絶美人を胸元に抱き寄せている形で目覚めた。

 勿論お互い裸だから要は朝チュンをやってしまったのだ。

 つまりそういう事だろう。


 しかし、やはりニーナのお胸はスンバラシイ形と言っておく。流石に肩を抱き寄せているから、ガン見している。

 揉み心地?おぼえていないんだ。

 生で触った記憶はない。精々飛翔の時に押し当てられるその感触位で、今までも部屋の中で着替えている時とかに見えたりしており、しっかりと脳内に残っているがチラ見だけだった。


 俺は頭を撫でる。

 確かに愛おしいと思うけど、昨夜の記憶がない。

 しかも頭がガンガンしている。

 これはあれだ、昨夜酒をしこたま飲んだようだ。

 この状況は酔ってしまい、部屋に運んでくれたニーナを押し倒したんだな。


 俺は最低だ。

 彼女の気持ちは痛い程知っている。

 何かにつれ、今晩こそ抱けよと言っていた。

 ただ、経験がないし知識がないからリードしてくれと言うので、日課の如くデコピンの刑に処してきた。


 だから求めたら泣いて喜んだのだと思う。

 そんな相手を欲望のはけ口にしてしまったようだ。

 彼女は己を殺す事が出来る実力の有る相手、しかし10歳差以内の相手に限るが、そういった強者にしか靡かないと言っていた。

 俺と命のやり取りをするも、余程運が良くなければ勝てないと理解したので、俺の伴侶として欲しいと言ってきた。


 しかし残念なのは、彼女の体を貪った記憶がない。初めての相手に優しくできたのか?も分からない。手荒に扱っていなければよいが。


 俺なアホだ。今日の事を考えると、絶対にしてはならない事だった。

 何度も抱いた相手と愛し合うのとは違う。


 そうこうしているとニーナが起きた。


「おはよう旦那様!そうまじまじと胸を見られると流石にちょっと恥ずかしいぞ」


「おはようニーナ、愛しているよ!」


 目を瞑りキスをおねだりするのでそっと唇を重ねる。

 しかしニーナが泣いた。

 俺は初めて見た泣き顔に動揺した。


「ど、どうした?」


「あたいの事を愛していると言ってくれたから。アタイの事をそんなふうに思ってくれていたなんて嬉しいんだ。でも、言葉じゃなくて、次はちゃんと抱いて欲しいんだ。出来ればアイリーンの次に」


 俺はあれ?っと思う。今の行動は愛し合った前提だったが、違うのか?


「俺達は昨夜愛し合わなかったのか?」 


「やはり記憶がないんだね。レオンは極端に酒に弱いんだけどわかっていないのかい?2杯位で完全に潰れて、国王達の目の前でいびきをかいて寝たんだぜ。それをアタイが客間に運び、ベッドに寝かせたんだ。で、アタイの部屋が何処か聞きそびれて、面倒くさいからそのまま寝る事にしただけだよ」


「じゃあなんで裸なんだよ?」


「アタイは平時に自室で寝る時は裸だぜ!だからレオンも裸にしたけど、寝る時は寝間着を着ていないと駄目だったか?」


 俺は残念と思う反面、良かった!とも思う。 


「そうか・・・理解した!」


 そうこうしていると、ドアがノックされ、ドアの外からメイドがそろそろ朝食の準備が出来るから食堂にと言われ、着替えてから行くと答えた。


「そっか。取り敢えず腹減ったから服を着て飯にしようか!」


 俺はニーナが服を着るさまをまじまじと見ていた。

 やはり細い。全裸を見たのは初めてだが、どこかのお姫さま?モデルさん?と思われる細さだ。確かに腹筋も割れており、ボクサー?といった感じのボディーだ。しかしこの細い体なのに、タフなんだよな。


 そうして着替えとその後の食事も終わり、今日これからする事の話しをする事にした。


 事後処理を国王に丸投げし、俺はパーティー員と向き合った。


「みっちゃん、俺がクマーシャルに飛ばした時の事を覚えているか?地上に降りるまでの事を教えて欲しい」


 みっちゃんはカプセルホテルの部屋程の大きさの空間に数時間いたと言う。


 1番困ったのはトイレを我慢しなければならない事だった。誰かが5時間ほどだったと言っていたらしいが、はっきりと時計を見るなりして時間を計った訳ではないと言っていた。


 また、一応外が見えたが、一緒に飛んでいる者は卵?のような形のふわっとした繭のようなモノが飛んでいるのは分かったが、中までは見えなかった。

 ただ、地上に到着すると一緒に飛ばされていた者達は普通に立っていたと。


 俺はみっちゃんの話を元にアイリーンに色々な物をポチってもらうお願いをした。

 携帯トイレ、袋そして枕、毛布を入れた鞄を人数分用意する事にしたのだ。


 そうして準備が出来ると、一緒に向かうメンバーは手を繋ぎ輪っかになった。


 俺は行くよ!と発すると開放されたタウンドリフトを発動したのであった。

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