第173話 婚約してもうた・・・

 俺は考えなければならない事が多過ぎて、食事も何を食べたか覚えていない。

 いや、自分で食べてもいない。


 俺の様子に面白がったみっちゃんが俺にあーんをし、俺は素直に従ったらしい。

 最初こそアイリーンが【だめだよう!】と言っていたが最終的にアイリーンもノリノリでやったらしい。


 2番手にセレネが悪ノリして参加し、それを皮切りに結局エナリス王女にさえあーんされていた。


 また、全てに【はい】と答えていたようで、【即時娶って欲しい。了承ならハイと言って欲しい】ニーナにそう言われ・・・無意識に【ハイ】と返事をしていた。


 その事に気が付くのは翌朝の事だ。


 しかし、考えに没頭していて作戦自体は机上の空論とはなるももの出来上がった。


 前提条件として、国の関係性だが、トライデル側の亡くなった国王は、基本的に父王が結んだというか、命と引き換えに結んだ休戦条約を継続していた。

 だが、異世界人を手に入れた深刻王は【新国王を揶揄した言い方】休戦協定をこれから破棄するというか、朋を刺客として送り込んだ時点で協定は破られた事を意味する。


 栃郎は正義は我にあり!

 そのような状態で全てを考えた。

 何より異世界人を、つまり日本の同胞に対して卑劣な手段で殺し屋にしようとした事に怒り心頭だった。


 つまりシャルワルー国はそれはそれで進軍を開始するとし、各騎士団、貴族に召集をかけていた。


 因みに国力はクマーシャルを100とするとシャルワルーが110、トライデルが95程だという。

 

 国力の劣るトライデルが牙を向いたのは勝てる算段があるはずだ。

 食事の前に、栃郎、シャルル、ニーナが王と各騎士団、エナリスと王妃、大臣クラスの政治屋と御前会議を行い、それらの事を話していた。


 ただ、いくら人質を取られての理不尽な事とはいえ、朋と、俺れのフライパンを食らった男の子(酒口君という)を無罪放免にできないと言われ、2つの条件と引き換えに恩赦を与えるとした。


 この国は真の勇者や真の勇者のパーティーに心酔するが、ただの異世界人、つまり名ばかり勇者はそうではないと。


 条件が2つなのは、捕らえた刺客が2人だからだ。


1)真の勇者パーティーのうち最低でも1人が、3年以内にこの国に骨を埋める意味で移住する。つまりホームタウンとして移り住む。

 不可の場合、勇者パーティーに王族を入れる、又は勇者パーティーの誰かと婚姻する。

 それが厳しい場合、真の勇者が王族と子をなす。


2)防衛協力

 トライデルと再度休戦するまでの間、勇者が絡んでいた時のみ対処する


 因みに1)だが、不可の時について補足条件をエナリスが自ら提案しており、おっとりしていそうだが、ターゲットをロックオンして逃さない勢いだ。

 

 本音も伝えて来ており、俺も受けざるを得なかった。

 15歳の誕生日をもってトライデル国の王子を婿として婚約、半年後に婚姻するところだったが、勿論ご破算。

 それで自由の身になり、命を救ってくれた俺を運命の人と確信し、惚れたと。

 なので命果てるその時まで俺に対し尽くしたいと皆の前で言ってのけたのだ。


 嫌な予感しかしなかったが、周りがお涙頂戴で祝福しており、条件を付ける事はなんとかしたが、それでも受け入れるしかなかった。


 俺が出した条件とはあくまで婚約で、エナリスから愛想を尽かされ婚約破棄されるまでで、結婚は18歳になるまで駄目とした。

 これは日本での倫理観がそうさせると納得させた。


 もう一つはエナリスには魔法の適性があるとの事で、クマーシャル国にある魔法学園であるアカデミーに通ってもらう。

 ここにいる6名どころではなく、朋達とも共にだ。


 これから起こる異変へ対処するのに連れて行く日本人はアイリーンとみっちゃんのみ。


 シャルルは元々それなりに魔法を使えるのと、政治対処要員としてパーティーに入れていると。


 今は力がない者をパーティーに入れられないとし、エナリスもアカデミーで問題を起こさない事を念を押した。


 2)の方は、これから考えるが明日トライデルに勇者パーティーが赴き、対処するとした。


 但し、今回はお目付け役としてエナリスとその護衛1人を同行するようにと話しがつめられた。

 

 シャルルが助けてくれたが、結局やはり政治は国王達の方が長けているのと、エナリスについてはシャルルは女性絡みについてほぼウエルカムなのを失念していて、婚約を受け入れる方に誘導されてしまった。


 そんな事もあり、食事の時に俺は上の空だったという事なんだ・・・


 俺の髪入り藁人形に五寸釘をそろそろ打ち込まれそう・・・

 でもね、流石の俺も18歳未満の未成年や、高校生の間は手を出さないよ!

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