第171話 スリーサイズ

 俺は真っ青になり呆然としていた。 


 あろう事か朋という名の高校生を問答無用で落下拷問に掛け、脚まで砕いてしまったのだ。

 俺は茫然自失となり、用意された椅子にただただ座るしかなかった。


「朋ちゃん?もう大丈夫よ。栃郎さんが朋ちゃんの身柄を引き受ける事になったの。だから朋の事は私達が守るよ!それと尚ちゃんは?」


「もう駄目。ごめん尚。私は失敗したわ。尚だけ死なせないから・・・」


 朋の目は死んでいた。

 もう万策尽きたといった感じだ。


 パシーン!


 ここでみっちゃんの登場だ。

 みっちゃんが朋を平手打ちしたのだ。


「しっかりしなさいよ!悲劇のヒロイン振らず、ちゃんと話しなさい!私達のレオンが何とかするんだから、先ずは何故国王達を殺そうとしたのか話したらどうなの!」


「えっ?ううう。嫌よ。もう遅いの。あの子は犯され殺されるのよ!」


「朋ちゃん、みっちゃんじゃないけど栃郎なら尚ちゃんを助けられるはずよ!ねっ!?栃郎?」


 俺はよく分からないがうんと返事をした。


「無理よ。もう監視役があの国に向かって出発したのよ!だからもう遅いの!。ほっといてよ!もう生きていても仕方がないの」


 俺の目が泳いでいるからか、ニーナがグーパンチで殴ってきた。


「そろそろ正気に戻んな!こいつはアイリーンと同じ勇者なんだろう?ならレオンの奴隷だろ?だったら命令するんだよ!」


 俺ははっとなった。

 朋は自暴自棄になっている。


「えっと、俺が栃郎ことレオンで、君等を各地に飛ばしたのが俺だというのは覚えているよね?このままだと痛みを送って命令せざるを得ないよ。今の話だと、尚って子が捕まっているのか?そこまでは数日の距離があるのじゃないのか?多分俺が飛べば余裕で追い越せるぞ!これは予測だが、尚っていう子だけか、他の子も人質に取られているかまでは分からないけど、この国の王を殺してこいと言われたんだろ?成功したら開放してやるとか?で、監視役がいてってよくあるやつとちゃうのか?」


「えっ?何故?私、まだ話してないよ?」


「あのね朋ちゃん、栃郎は私なんかと違って頭が良いのよ。だからちょっとしたワードを繋ぎ合わせて早々に答えに辿り着いたの。私を信じて全てを話して!そうしたら私の旦那様が尚ちゃんを助けてくれるよ!」


「えっ?間に合うの?」


「朋!瑞希が間に合うって言ったら間に合うに決まってるでしょ!それにはあんたからの正確な話が必要なのよ!レオンが質問してくるから、それに回答していけば解決策を見付けてくれるに決まってるわ!分かったわね!」


「う、うん。わ、分かったわ!」


 所々聞き捨てならぬワードが皆さんから聞こえるが、突っ込むのは今ではない・・・?よな?


「じゃあ、先ずは君の名前と尚って子との関係から聞こうか?それとさっきは悪かったな。痛かったろ?でも誰も死ななくて良かった」


「あっはい。ご迷惑をお掛けしました。私は高末 朋(たかす とも)で、尚の双子の姉になります」


「2人共この世界に来た者の中に彼氏とかいた?」


「いえ。私達こんななんで、彼氏はいないんです」


「こんなに可愛いのにいないんだ!?」


「私・・・可愛い・・ですか?ちびで童顔ですよ?」 


「周りの男共は何やっているんだろうね。因みに尚さんとはそっくりなの?」


「あっはい。一卵性双生児ですから。ただ、私はポニーテールですが、あの子はツインテールなの。でも長さはあまり変わらないかな」


「へー。じゃあ身長やスリーサイズとかって同じなの?」


「えっと、2人共148cmで、私が85−59−83、尚が83−60−85かな」


「朋ちゃんの方が胸が大きいんだね」


「ちょっと!このむっつりスケベ!ドサクサに紛れて何を聞いているのよ!彼氏がいるか聞くなんて口説いているの?それよりも朋、何答えているのよ!」


「ひぃー!今のは聞かなかった事にしてくだひゃい!」


「ノンノンノン!しっかり記憶したぜ!ふふふ。朋ちゃんの方が胸が大きいと」


「ほーんと!・・・最低ね!胸の事しか考えてないんでしょ!?どうせ私は胸は小さいわよ」


「みっちゃんも背中越しの感じだと中々胸は大きいと思うぞ。そ、それにな、スリーサイズを聞いとかないと、朋ちゃんと妹との区別がつかないだろ?一卵性双生児って事はだな、顔も同じだろ?髪型もおなじのや真似でもされたらさ、後はほくろの位置とか、スタイルで判断するしかないと思うぞ。これは見分けるのに大事な事だぞ!」


「あ、あの、栃郎さん、私のは86−58−86ですからね!」


 何故かアイリーンも聞いてもいないのにスリーサイズを伝えてきた。しかしみっちゃんは流れに逆らい言わない。

 因みにアイリーンのサイズは予測通りだ。


「面白い?いや、変わった方ですね。私達の見分け方って、もう尚が無事に戻ってきている前提ですよね。でも、なんですかね、栃郎さん?レオンさん?大した事がないように尚を迎えに行って、さくっと連れてきちゃいそうな感じがしますね。それとは別に、私も答えちゃいましたけど、初対面の女の子にいきなりスリーサイズを聞くなんて、どうかと思いますよ。そんな事をしていると、瑞希にめっ!ですよってやられちゃいますよ?」


 そこからは段々と打ち解けて来たようで、アイリーンと同じくアーチェリーをしている等、色々な事を話したが、取り敢えず雑談から始めたのもあり、程なくして俺ともタメ口に移行する程に打ち解けてきたので、咳払いをしてから本題に入る事にした。


 俺が飛ばした先は隣国のトライデル国であり、彼女達が着いた先について語り始めたのであった。


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