第147話 初心者講習へ向かう
翌日俺は、早朝の庭で眠い目をこすりながらニーナと相対していた。
旅の間そうしていたように、今日も早朝にニーナに剣の稽古を付けてもらっている。
少しずつ上達してはいるそうだが、冒険者としてや剣士としてやっていく為の腕としては見込みが薄い。
それでも普通の盗賊相手に剣で互角に渡り合える位にはなっている。
ニーナは体が細い。
1度力比べをしたが、俺があっさり負かした。
そう、ニーナはレベル相応の能力補正があるが、細身故にレベルが近い男には筋力で負ける。
しかし抜群の戦闘センスと身体能力の高さ、主にバネというか、敏捷性、柔軟さが秀でており、女の身の弱点をカバーしても余りある感じだ。
パッシブスキルの影響から感が物凄く良く、正面からやり合っていたら絶対に勝ち目はない。
だが、ニーナはもしも俺達が本気で殺し合ったら、10回のうち9回は俺が勝つと言う。
何でもありの模擬戦をすると俺は上空に飛び、布団を落とすとその落下範囲からどうあがいても逃れられず、それが岩だったら絶対に下敷きだ。
剣聖としてのスキル固有の技を放てば生き延びるかもだが、その発動の時間を取れないから、ニーナの勝機は俺が飛んだ瞬間に剣を投げて倒す事位しかないのだ。
俺を強者認定しているからこそ、惚れたという。
まあ、中身おっさん臭いが、それでも美人にそう言われると悪い気はしない。
アイリーンやシャルルとタイプが違うのだが、ニーナも絶世の美女と言っても過言ではない。
ニーナは子供が出来る事を気にせずに済むから避妊せずに抱いても良いと言ってくる。
その度に本当に愛してくれて、将来の伴侶となる者にそれはとっておけと言うも、俺がそうだと言い、運命の人だと恥ずかしげもなく毎度言う。
その度にため息をつくが、最後は自嘲気味に子を産めないから、愛される事はないというのだ。
いつの頃からだろうか、そんな彼女の事が愛おしくなり、いずれ俺が子を産める体に戻してやると告げ、涙しながらキスをされた。
その後、朝の稽古の後にお礼のキスをねだるようになっていた。
俺は気が付いたらニーナの事を本気で好きになっていた。
しかし、アイリーンとみっちゃんを彼女にしてしまった・・・
だが、ニーナとはそこまでの関係に留まっていた。
【十分日本なら浮気認定です!】
そして朝食の後、昨日のうちにシャルルが手配した初心者講習を受けに皆で出掛ける。
そうこうしていると、館に1台の馬車が着た。
あれっ?と思うも、いきなり公爵その人がニーナを迎えに来たのだ。
「おはよう兄弟。昨夜は少し寝不足でな。久し振りにかなりはっちゃけたぞ!ニーナ殿、本日は宜しく頼む。緩みきった愚息共に活を入れてやって欲しい。回復魔法があるから、無礼を働いたら腕の2、3本も折ってやってくれ。回復魔法でくっつけてやれば生意気な所もなくなるでな」
「公爵、厳し目で良いんだね?アタイは厳しいぞ。公爵の息子達といえ、殴る蹴るをするかもだぞ」
「御手柔らかに頼むぞ。別の快楽に目覚めぬ範囲で頼む!ぐはははは。兄弟の大切な女性を借りるぞ。そんな心配そうな顔をするでない。儂らが何かしようものならちょん切られるじゃろうて。うはははははは!。夜は皆で儂の所に食事に来るが良い。シャルルよ、使用人に来る人数を伝えておくのだぞ!」
そうしてニーナは馬車に乗り出掛けた。
とはいえ、貴族街の中に屋敷があるので歩いていける範囲だが、シャルルによると警護の関係から身分ある者は近くても馬車を使わざるを得ないのだとか。
そうしてニーナを送り出した後、俺達は臨時開催される初心者講習を受けに行った。
ギルドはシャルルの頼みと、俺が寄付金を惜しげもなく払ったからか、あっさりと講習を開催してくれた。
急な事ではあったが、俺達以外にも10名以上参加者がおり、今は会場で講師が来るのを待っているのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます