第148話 初心者講習の開始

 初心者講習を受けるのはサルベル国にいるみっちゃん以外の日本人及び、ニーナとアウィンを除く俺のパーティーメンバーだ。


 つまり俺、アイリーン、エンピアル、シャルル、セレネと、サクラをリーダーとしてこの国に飛ばされた6人と、俺の側は合計10人だ。

 俺が飛ばしたって?そんな話もあるね・・・


 日本人の中ではみっちゃんだけ既に受講しており、アウィンも数年前に受けていたそうだ。


 前の日にシャルルが手配してくれたのだが、まだ冒険者登録をしていない者の登録も済ませている。

 その・・・俺が公爵の所ではっちゃけ・・・コホン、じゃなくて避妊具の使い方を実演させられている間に連れて行っていただけだった。


 まあ、細かい事や過ぎた事は置いておいて、他に10人程いる。


 基本的にパーティー単位で固まっているのだが、俺達以外はというと5人パーティーが2つだ。


 1つのパーティーは構成に首を傾げる感じだった。

 女性の魔法使いを中心に、神官の女性と女騎士が3人だ。

 シャルルが女騎士が何故?と呟いていたから女騎士と分かった。


 男女比からすると女性だけで冒険者パーティーを組むのは時折有るらしい。


 ただ、舐められたり、体目当てで襲われるリスクが高いので余り勧められないとシャルルがぼやいていた。

 俺も人の事をあまり言えない。

 何せ俺以外女性のパーティーだからだ。

 それを人はハーレムパーティーと呼び、日本人男子からはリア充爆せろ!と言われ兼ねない。

 この前揶揄されて、みっちゃんがそんなふうに呟いていたな。


 もう1つのパーティー、は男3人に女2人で中学生位で、いかにも駆け出し冒険者と言った感じだ。

 女性だけの方は俺達と同い年にしか見えないな。

 言っちゃあ何だが、冒険者を始めるにしては上品過ぎるし、薹が立っている。


 斜め後ろ姿しか見えないからなんとも言えないが、女性達の方は皆見目麗しいように見えた。


「へー、あんな綺麗な子達も冒険者をするんですね!」


「それをアイリーンが言うか?俺のパーティーを見ろ、向こうもアイリーンとシャルルを見て同じ事を思っているんじゃないか?」


「うん。確かにシャルルは綺麗で上品よね」


「おーい、アイリーンさん?自分の事を忘れてやしないか?」


 アイリーンはやはり天然さんだ。ほえっ?といった感じでキョトンとしていて可愛かった。


「あたしは?」


 セレネが聞いてきた。


「セレネも可愛いが、ほら、猫耳族で首に首輪があるから、精々あんなに可愛いのに奴隷なんて可哀想、あの男に毎日・・・って思われるくらいかな」 


「毎日って何なのきゃ?」


 俺が回答に困っていたが、アイリーンもシャルルも分かっているが、地雷を踏みたくないのか、見て見ぬ振りをして助け舟を出してくれなかった。


 だが、良いタイミングで講師が入ってきて逃げる事が出来た。


 講習は2日間で、両日共午前中が座学、初日の午後は基本的な事になるが、武器での戦闘を教えられる。


 2日目の午後は魔法の実技と模擬戦だった。

 午前中の講習は講師から寝たけりゃ寝ろと言われた。

 ただし、初心者講習で寝ていた奴は殆どが1年以内に死んでいると言っていたので俺以外は真剣に聞いていたな。


 俺はうとうとしていて、講師が何を言っていたか分かるかと俺に質問してきたが、俺は睡眠学習できる体質で、欠伸をしながら一字一句正確に答えるとその場の全員が絶句していた。


 ただ、流石に途中からアイリーンが脇腹を小突いてくれていた。

 旅の間に溜まった疲れと、はっちゃけた影響です。使い過ぎで腰が痛いとは言えません!

 俺って寝取り体質か?公爵の女、正確には懇意にしている高級娼婦だが、人の女?だからか、妙に興奮・・・コホン。


 剣の方はニーナのお陰で俺とアイリーンは及第点だった。

 シャルルやさくらと和美は苦労していたのと、男子はなかなか様になっていた。

 アイリーンの話だと2人が剣道部所属だとか。なるほど!と感心したが、講師は俺とアイリーンの構えから質問をしてきた。


「その構えだが、誰に師事したのだ?剣聖の構えと同じだな」


「同じも何も、ニーナに毎朝稽古を付けてもらっているぞ」


 女性のみのパーティーで反応があった。

 女騎士の1人が呟いた。


「剣聖様がこの町に来たのを見たと噂を聞いたが本当なのか?」


 講師も驚いた顔をしていた。

 俺とニーナの間柄について聞いていないのかな?

 シャルルの方を見ると、目を逸らした。


「あー、驚いているようだけど、ニーナはハンニバール公爵の要請で剣術の指南に来ていて、彼女は俺のパーティーメンバーだぞ」


 俺は当たり前のように告げたが、皆驚きの声を上げていたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る