第72話 ラフト商会
ニーナがラフト商会の場所を知っているというので、ニーナの先導でラフト商会を目指した。
ラフトとはほんの数分前に別れたばかりだ。
流石に王都だけあり、人の往来や馬車の往来はかなり多い。
クマーシャルもアーリバンもそうだが、どの町も高い壁に囲まれている。
俺はふと思った。どうやって作ったのだろうか?町を取り囲む壁を作るのにどれ位の資金と年月を費やしたのか?
外もそうだが、壁の中側も補修をしている人をちらほら見る。メンテナンスフリーという訳にはいかないっぽい。
町の構成は城が入口から最遠部にあり、町の入口に近い所に商業区、左側に工業区、右側が住居区で、左側の壁に沿った近くがスラム街、右側の壁沿いが貴族街、中心部に宿屋街、歓楽街、各種ギルドがある。その合間を縫って住居が建ち並ぶ。貴族街と言っても、あくまでも高級住居街であり、貴族限定ではない。貴族街はスラム街から遠いエリアにある。当然町の右側から左側に行くに従って治安が悪くなる。
城の近くには騎士団詰め所や、騎士や兵士の宿舎が建ち並ぶ。
今更だが、どの国のどの町も配置については概ね同じだから、用のある場所の見当は初めての町でも予測出来ると言われた。
商業区は入口に近い為に、すぐにラフト商会に着いた。まだ、馬車が商会の前に停まっており、俺とニーナ、アイリーンが商会の中に入る。
商会の建物は周りより1階高い4階建てで、立派な佇まいだ。
入口から中に入るとスタッフの1人がいらっしゃいませと声を掛けて来たが、ラフトがただいまをしている所だった。
ラフトは振り向いた先にレオンが見えた事に大層驚いた。
「レオン殿、先程振りで。てっきり明日以降来られるものと思っていました」
スタッフがざわめいていた。ニーナがいるからだ。
「いやー、別れる前に気が付けば良かったんだけど、ほら、大所帯になってしまったから、屋敷を手に入れたくて。ラフトさんの所で屋敷を扱っているか、紹介をして貰いたくて」
「そうでしたね。私も失念していました。と言うか、この人数をどうなされるおつもりなのか聞き忘れていました。そうですね、不動産は扱っていないので、大手の不動産屋を紹介しましょうか?」
「悪いね。必要な物はラフトさんの所を中心に揃えるよ」
懇意にしている不動産屋は3軒となりにあるそうで、ラフトも一緒に向かう事になった。
大きな取り引きになる為、紹介した事は付き合いからメリットが大きい。その為に帰ってすぐだったが同行すると。
「ラフトさん、いくらなんでも悪いですよ」
「お気になさらず。懇意にしているお客様を紹介するメリットがありますし、こちらの思惑もあります。剣聖様とそのお仲間が私のお客様だとアピールする場にもなりますから。むしろ私の方から屋敷の話を切り出すべきでしたから」
そうしてその不動産屋に入ると、ラフトは店主を呼んだが、ラフトが連れてきている者の中に剣聖がいると分かり、一瞬固まったのであった。
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