第71話 イン・ザ・キャッスルタウン

 王都に入る列はかなり長かった。


「じゃあいってきま~す!」


だが、ニーナがタッタッタッタッ!と門の警護の者の所へ行くと、へこへこした兵士?を連れて来た。


 するとニーナが俺を呼び、この兵士、もとい、警護隊長の指示に従えば並ぶのをスキップ出来るという。


 申し訳ないと思いつつ、総勢18台の馬車が、何事だ?といった感じで並んでいる者達から怪訝そうに見られていたが、驚いた事にニーナに向いて合掌している者がいて、やはり剣聖様とか聞こえる。


 どうやら剣聖というのがニーナで、更に剣聖というのはありがたがられる存在のようだ。中身おさーんだけど。


 王都だけあってかなり大きな町で、アーリバン王都よりも大きそうだった。


 時間がなく殆ど何も決める事が出来ないまま王都に着いた。着いてしまった。


 何処に行ったものか・・・取り敢えず・・・どうしましょう。

 アイリーンがを告げた。


「フリオールさんはアーリバン王国の貴族?なんですよね?」


「男爵ですが、それがどうかいたしましたか?」


「貴族ならお屋敷を買っても変に思われないですよね?」


「他国の貴族が屋敷を買えば目立つかもですが、宜しいのですか?」


「大丈夫だと思いますよ。レオンが何とかしてくれると思うので」


「屋敷を買うのかい?確かアタイが王都を出る時に売りに出されていた屋敷が幾つかあったぞ。じゃあ早速ラフト商会を訪ねるんだね!?」


「いや、ちょっと皆慎重にいかない?屋敷だよ?そんな簡単に決めても良いの?そもそも買えるとは限らないんじゃ?」


「でもなぁ。レオン、この人数をそもそもどうするつもりなんだ?宿に泊まるにしろ、分散する事になるし、そうなると管理するのも大変だぞ?それに屋敷を買う金はあるし、なんならアタイの名前を出して買えば大丈夫だぞ?アタイとレオンの新居!今晩そのまま・・・」


 あれ?ニーナがまともな事を言っている。最後はスルーだけど。

 確かに金はある。今更この奴隷達を放ってはおけないし、色々面倒な状況だし、屋敷を買った方が良いのかな?高校生達も大事だけど、この人達は意図せずにだけど俺の奴隷になっちまってるしな。うん。


「じゃあさ、買える中で1番でかいのを買うか?でも悪目立ちしないか?」


「アタイが絡んでいれば大抵大丈夫だぞ?レオンが屋敷を買うならアタイも師匠の屋敷を出ないとだな」


「そういえば師匠が王都にいるんだよな?そちらに身を寄せるのでは駄目なのか?」


「もう手狭なんだよ。身寄りのない子を育てているからな。アタイはそんな師匠の為に金を稼ぐ事にしていて、部屋代として稼ぎの半分を渡しているんだ。屋敷の事は手狭になった師匠の別宅をと思って探していたんだ。師匠の方は・・・まあ良いや。師匠の方は師匠や他の者が何とかできるけどさ、あの奴隷の事はアタイがレオンと一緒に助けてやらなきゃだよな。それがお師匠様への恩返しなのだとアタイは確信したんだ。常日頃困っている人には手を差し伸べろって言われていたんだ」


 そんな話をしていると、町への滞在許可の手続きが終わり、取り敢えずラフト商会を訪れる事にしたのであった。

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