第34話 賊との戦い
町を出て少しすると気になる事があった。妙に後ろから歩いて来る者の視線が気になる。
「ニーナ!」
「分かっている。殺気を感じるからお前達も戦う準備をしておけ。戦えないだろ?基本的にアタイがやるから、お前達は自分の身を守る事だけを考えろ。レオンは厳しそうだな。アイリーン、後ろを向くな」
「いや、上から石を投げるとか位は出来ますよ」
ニーナは頷いた。
「では戦闘になったらアイリーンを抱えて飛び、上から援護を頼む」
そうこうしていると、馬に乗った奴が3騎通り過ぎていった。その後前方にて先程の騎馬の3人が道を塞ぎ、シミター、ショートソード、ナイフを手にしていた。
「来たな」
「よお兄ちゃん。昨日は仲間が世話になったようだな。兄ちゃんのお陰で町に入れなくなったじゃないか。落とし前をつけろや!」
俺はため息をつく。
「ほう、姉ちゃんが増えてるじゃねえか。荷物と女を置いていけば、命までは取らずに見逃してやる。ぐはははは」
そうしていると後ろから歩いていた奴等も追い付き、囲まれていった。
俺はため息をついた。賊は昨日絡んできた奴だった。
「昨日の怪我はこいつらの仕業だが、こいつらは殺しても良いのか?」
「構わんが、心が壊れ兼ねんぞ!?」
「こいつらをここで見逃せば、他の人達が被害に遭う。俺は人を殺した事が有るから大丈夫だ。馬側の3人を任せてもよいか?」
「承知した」
「おいこら!随分舐めた事を言ってんじゃねえか。気が変わった。男も殺さずに捕らえろ。こいつの目の前で女を犯してやる。おいグレン、お前は赤毛とやれ。俺は黒髪だ。女を皆で回した後、こいつはロンに掘らせ、その後は手足をもいでポイ捨てだ。いや、駄目だ。目は潰すな!こいつの目の前で女供を犯してやり、女供が見ている前で喉を掻っ切ってやる!」
「ぐへへへへ」と下卑た笑いを発しながら奴らが近付いて来る。
「クズが。私を相手にそんな事が出来ると思っているのか?」
「おい。仕方なく一緒にいる奴は逃げろ。一瞬でぺったんこだ。死にたくなければ武器を捨てて投降しろ」
「おい聞いたか!?投降しろだと!今日1番笑える話だぜ。ぐはははははは」
周りも一斉に笑い出す。
アイリーンは俺の後ろで震えている。
「大丈夫だ。君は何もしなくても良い。身を守るだけでよいから」
先ずは1人が斬り掛かってきたので剣で受け止めた。アイリーンが援護の為に足元にウインドカッターを放ち、地面を穿ってくれた。これで先制攻撃を受けた。
「く、黒髪の女が魔法を使いやがった」
怯んだのか奴らは1度下がったが、俺は念の為先手を打たせたのだ。
「終わりだ。死ね!」
俺は手を前方に翳して高さ3m程まで上がり、賊の上から大岩の1つを放り出した。
ドスン。
後方から来ていた者達の上に岩が発現すると、無慈悲に落下して賊達は岩の下敷きだ。アイリーンは口に手をやり「えっ!」と唸った。まさかレオンが人を相手にぺったんこさんをするとは思わなかったのだ。ニーナも唖然とした。聞いてはいたが、賊共が家よりでかい大岩の下敷きになったのだ。でかい岩が目の前に現れたのだ、釘付けになるなというのは無理な話だ。
残りは騎馬の3人だ。
尻餅をついて「ひぃー」と唸り、立ち上がると「うわあああああ」と叫びながらニーナに斬り掛かって行った。
ニーナは冷静に剣を3振りしたが、1振りする度に首が1つ飛んでいった。
呆気にとられる程の一方的な戦闘だった。無駄のない華麗な剣捌き。つい見惚れていた。喋らなければ武者振り尽くしたくなる程の美貌の持ち主だ。ただし、中身はおっさん臭いが・・・
そうして賊共との戦闘は一方的に、俺達の勝利で終わったのであった。
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