第22話 城が消えた時の事

 時は城が突如消え失せた時点に戻る。忽然と城が消え、多くの者はその時の姿勢のまま地下?に立っていたり、椅子に座っていた者は椅子がなくなり尻餅をついた。


 建物の中に居た筈なのに突如青空が見えており、更に日が差し込んでおり、太陽が眩しい。


 城の方は皆さん何が起こったか分からず茫然自失となっていた。


 突然城がなくなり、国王や側近は慌てた。一部倒れている者もいるが、みな口をポカーンと開けているが、勇者達はもうそこにはいない。


 そしてその様を見られてはいけない者達もいた。王妃だ。あられもない姿、つまり真っ裸で間男と繋がっていた状態で皆の前にその姿を晒したのだ。ベッドの上で愛し合っている最中で、間男は腰を振っており、王妃は嬌声をあげていた。


 パン、パン、パン、パン、パン、とまぐわる音、ああんああんとヨガっている声が木霊していた。


 ・・・


 皆さんお盛んなようで!と笑ってはいられない。勿論間男はその場で首を刎ねられた。腰を振りながらだ。王妃の顔に突然間男の首が転がってきて、血塗れになり、訳が分からず悲鳴を上げた。


「ぎゃああああああああ!ベイルモンンンン!」


 国王も王妃が世継ぎを産んでからは抱いていない。公然としないのならと愛人との密会は暗黙の了解で見て見ぬ振りをしていた。だが、こうなってしまえば隠せない。


 王妃は他国の姫で、勿論政略結婚だ。顔に泥を掛けられたどころか、肥溜に落とされた位に面目が潰れた。


 地下も含め城が忽然として消え失せ、城が消えた直後に光り輝く者達がどこかに弾け飛んでいった。そしてそのすぐ後に2人の男女が優雅に飛んでいった。


 地下から上に上がれない。代わりに各種の隠し通路が顕になっていた。


 異変を感じた騎士団により王達は救助されたが、何が起こったのかについては理解の範囲を超えており、茫然自失となっており、まともに指揮できる者がおらず、追撃をする事さえ考えつかなかった。


 取り敢えず国王派の公爵の屋敷に身を寄せる事になり、臨時の行政府が開かれた。そこで対策会議が開かれ、取り敢えず各町に調査団を派遣し、各町や国境警備隊に黒髪黒目の者を捕らえるようお触れを出すが、決まったのはその日の夜だった。


 あちこちに飛ばされた高校生は、基本的に数人が固まって飛ばされた。幸いなのは、1人で放り出された者がいなかった事だ。


 男子だけ、女子だけ、男女混合様々だ。振り分けられた人選は仲良し度だ。付き合っているカップルが2組有り、そこは4人で1組だった。


 何もない草原に立っている者、何処かの城の中に突然現れたり、町の中に現れたりと、一部の者を除き大混乱に陥るには十分な現れ方をした。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る