第21話 試行錯誤と落下
アイリーンこと瑞希ちゃんは半ば叫ぶように悲鳴をあげていた。
「きゃあああー!いやあああー!やめてえええー!私そんなつもりじゃなかったのおお!今直ぐにやめてえええ!お願いいい!」
「今更遅いよ!直ぐに止められる訳ないやん!」
「いやー!駄目よ!こんな筈じゃなかったのにぃぃぃ!絶対に離さないでぇぇぇぇ!」
今お兄さんはアイリーンこと瑞希ちゃんを後ろからおもいっきり抱きしめとるんさ。
えっ?嫌がっているだろ?って?うん。違うよ?高さ30m位に上がった所で駄目だと分かったから降下している最中だよ。
町を出てからは予定通りに少し進んでから飛んでいたのだけど、色々な飛び方を試そうとアイリーンが言ってきて、後ろからお兄さんが抱きしめて飛ぶのを試していたんだけど、背筋を伸ばすのは数秒しか持たなくて、この格好は無理だ!となったんだ。だけど、アイリーンが落ち掛けてしまい、落ちないようにお兄さんが必死に胸を掴んでいる無様な格好なんだよ。
最初はお腹だったけど、ずり落ちてきて腕が胸に引っ掛かっていて、もろに胸を掴んでいる。そこそこ大きさが有る胸のお陰で落下を免れた。
地上に降りるとゼエェ、ゼエェ、ハア、ハア、と息を切らせ、必死に服を整えていた。
折角女子高生の胸を掴んでいたのに、必死だったから感触を覚えていないんだよね。
一旦着地してから俺達の周りに岩を出し、俺だけ飛翔でその囲みから出て、アイリーンが服を整える迄の間待機中だ。
「そ、そのう、あのね、ブ、ブラのカップが胸から外れたから直したいの。だからいつものあれを出して欲しいの」
恥ずかしそうに言い、トイレの時にする囲いを頼まれたんだ。
瑞希ちゃんは服を整え終わると、終わった旨を知らせてきたので、岩を収納して俺も一息ついた。
「怖かったよー!落とさないでくれてありがとう!」
「いやー、まさかああなるなんて思わなかったね」
次に試したのは、お兄さんがうつ伏せになる様に飛んでみて、背中に瑞希ちゃんが抱きつく形で飛んでみた。しかし、程なくしてくるっとひっくり返ってしまい、瑞希ちゃんが必死にぶら下がる形になったんだよね。飛ぶ時の重心移動が出来ないな。
一番やばかったのは、瑞希ちゃんが俺の背中に抱きつき、首に腕を回す形で上昇したんだけど、行けるかな?と思い、目標の高度に達した頃にずり落ちてしまい、お兄さんのズボンにしがみつく感じになりました。更に態勢が変わってしまいましたが、よりによってアイリーンの顔はお兄さんの股間に・・・
必死にしがみついているから息が荒いんです。股間にそんな荒い息が掛かれば、お兄さんオッキしちゃいます。「バカー!」と叫ぶとお兄さんのズボンがずり落ち、瑞希ちゃんがお兄さんのズボンとパンツを掴んだ状態で落下しちゃいました。お兄さんはズボンとパンツを瑞希ちゃんに取られたから、御開帳ですわ・・・
「ぎぎゃあああああ」
瑞希ちゃんの絶叫が響き渡ります。お兄さん御開帳でしかも、オッキしちゃっていますが、そのまま急降下して瑞希ちゃんを抱きしめます。ちゃんとモザイク掛けて下さい。
そのごめんなさい。見苦しいものを御開帳しております。
お兄さんの頭が下を向いていて、顔が瑞希ちゃんのお腹からお胸に埋める形でキャッチして何とか飛んだんだけど、彼女の顔はお兄さんの股間にあったんさ。ごめんなさい。
地上に降りると瑞希ちゃんは怖かったと泣きじゃくっていたけど、手に掴んでいたお兄さんのトランクスで涙を拭っている・・・ど、どうしよう?それに膝が笑っていて立てないようなんだ。怖かったよーと言って目を開けると、その、如意棒が目の前に見えた訳でして・・・如意棒さんはグーパンチをくらいまして、お兄さん悶絶しております。
「頼むからパンツとズボン返して!」
そういうのが精一杯で、お兄さんに投げつけると林の方に走っていったよ。危ない!と叫んでも、いやー!と叫びながら全力ダッシュさ。
慌ててパンツとズボンを穿いて追い掛けようとしたら、嬉しい事にレオンさ~ん!と叫びながら駆け戻って来たよ!
ひょっとしたら告白されるの?されちゃう?されちゃったらどうしよう?等とアホな感じに勘違いをしていた時も有りました。
「レオンさん!レオンさん!」
連呼して全力疾走っす!そんなに熱烈に?お兄さんドキドキするよ!と思いながらも、瑞希ちゃんからジャンピングして抱きつかれる?衝撃に備えていたんだよ。
でもね、いやー!とか叫びながらお兄さんの脇を全力ですり抜けたよ。すると目の前には盛りの付いて、おっ立てているオーク?が10匹位瑞希ちゃんを追い掛けていたよ。
ドゴーン!
勿論ぺったんこの刑です。
「俺の大事な瑞希ちゃんに盛っているとは何事じゃあああ!」
中指をおっ立てて、ざまぁと息巻いたよ。
瑞希ちゃんは泣きじゃくっていたな。
「ありがとう!ありがとう!怖かったです!怖かったよー」
お兄さんちゃんと抱きしめて背中をさすり、ハンカチで涙を拭いてあげたさ。
「君には涙は似合わないよ。君の笑顔を見られるなら何でもするよ。だから泣かないで」
「ぷっ!ひょっとして私って口説かれています?。あっ!冗談ですから怒らないでください」
「びっくりしたよね!魔石を回収したら先を急ごうか!」
レオンは周りを警戒していた。その様子にアイリーンははっとなった。
「じゃあ私、見張っていますね!」
そうして魔石を回収し、結局お姫様抱っこにて再び進み出したのであった。
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