第3話 セスティーナとの邂逅
俺はわざとノロノロと動き出し、隣の部屋へは瑞希ちゃんと最後に入った。
王女の話だと流れ作業になるという。
まずはスキルを得る為に、信託の祠の前で跪き、祈るとスキルを得る。祈れば分かるのだそうだ。そして首輪を装着してから隣の部屋で検査と取得したスキルについての話をする。その後今日泊まる部屋に案内され、着替えてから夕食の時間まで風呂に入ったり、城の中を見たり自由行動だと。但し、城の中を見たりするのは誰かと一緒、つまりメイドか神官が同行するという。城は広く複雑なので、慣れないと迷子になると言われ、その為のガイドらしい。
もっともらしくはあるが・・・嘘くさい。
早速怖いもの知らずの1番手が俺が行く!と向かっていった。
祠の前で数間秒呆けていたかと思うと、急に叫んだ。
「聖騎士とテイムをゲッツだぜ!これで俺様最強だぜぇをするぜぇ!」
「聖騎士じゃなくて性騎士だろ!」
その後爆笑が起こり、うるせぇとか聞こえた。首輪を嵌めると嫌な【気】 がしたが、首輪が光った。
「間違いないな。俺に考えがある」
「私ゲームとかやった事がなくて、どうしたら良いか分からないの」
「聞いた話を総合すると、瑞希さんが俺の言う通りのスキルを取ってくれさえしたら、多分なんとかなると思う」
「是非指示して欲しいです!」
「・・・が俺の考えた作戦だ。俺に命を預ける事になるけど良いのかな?」
「私もあれがヤバいんだって分かりますよ。お、お願いします!」
「じゃあ瑞希さんは1つは自由に取って!但し後から身に付けられるはずだから、戦闘系や魔法系はいらないよ。自分で判断するしかない。1人1人選択できるのが違うようだ。
俺が何を取ったかによって違うから、今言った3つをなんとかしないとだよ。何も言わなかったら計画通りだったと判断してね!さっきも言ったけど、剣術とかは修行でなんとかなるから不要だからね。逃げるのに必要なのは今話した3つだ。だから残りの1つは先の事を見越して自由にね」
「うん。分かったわ。」
2人で作戦を練っていて、気が付くともう俺の前は残り2人を残すのみだ。
集中して観察さ。
そうそう、高校生達は誰1人として気が付いていないようだ。皆死なずに逃げて欲しいが、面倒は見られない!自分の事で手一杯だから。何とかチャンスをあげるが、それで捕まったり死んでしまっても、それは運がなかったって事になる。
そうしていると俺の番が来たので、言われたとおりに片膝を付いて手を合わせた。
すると一瞬目の前が真っ暗になったが、次の瞬間意識が別の所に飛んだ。
瞬きをすると、真っ白な空間にただいた。
「おやおや。ここに人が来るとは珍しいね。魂と体が合っていないね。これは興味深い」
そこには銀髪のいやみったらしい位のイケメンがいた。
「あんた何者だ?神とかか?」
「さあ?なんだろうね。少しおしゃべりに付き合ってくれないかな?本来は僕は人と話ができないんだよね。イレギュラーが発生するとこうやってここに来たりする者が現れるけど、人が現れたのは本当に久し振りなんだ」
「どれ位なんだ?」
「君は私が怖くないのかな?前回の訪問者はそうだねぇ・・・1000年程前かな。その時の者は怖がって泣いていたな。おしゃべりが出来るまでかなり時間が掛かったね」
「俺の今置かれている状況って知っているのか?怖いかって?今置かれている状況に比べたら大した問題じゃないな。というか、あんたが女だったら口説きたい位に神聖なオーラを感じるぞ」
「はて?違和感があるな。ふむふむ。少し覗かせてもらおうか。心配しなくても害はないし、痛くもないよ」
手が伸びて来て俺の頭に触れたかと思うと、スルスルと頭の中に入り込み、頭の中を直接グリグリしているようだ。
「中々面白そうな状況だね」
「助けてくれないか?俺自身はなんとかなると思うんだけど、他の子達が厳しいんだ。助けてくれるならどれだけでも話に付き合うよ」
「悪いけど、直接何かは出来ないね。ただ、うん。後日君が助けてあげれば良いのじゃないかな?」
「出来るのか?」
「そうだねぇ。君に対してこの邂逅のお土産と、私の話に付き合ってくれたお礼に少し助けてあげるから、君がやるんだ。スキルを2つあげよう。時折君の活躍を見させて貰うよ」
「まだあんたの話に付き合っていないぞ?」
「いやいや。もうしているのよ。君は私の質問にちゃんと答えているわよ」
??
俺は跪いてその手を取りキスをした。
そこには絶世の美女がいた。瞬きをした瞬間に姿が変わっていたのだが、魂は変わらない。
気が付けば俺は涙を流していた。いや、待て!いつの間に姿が変わった?
「その子達を助けたいの?」
「別に義理が有る訳じゃないが、理不尽だろ?助けられるなら助けたいと思うのが人ってもんだろ?」
「力を貸してあげても良いわよ?」
「何をすれば良いんだ?」
すっと足を俺の前に出した。
「話が早いわね。舐めなさい。つまり私の下僕になりなさいという事よ。死後貴方の魂が私の元に送られて来るの。そして妾の下僕になり悠久の時間、私に奉仕するとよいのじゃ」
俺はその足を手に取り、口の前に持ってきたが、決断出来なかった。
だが迷う必要はなかった。姿が変わると話し方も変わる。今度は生意気そうなお姫様だった。
「約束しろ!俺の魂はくれてやるが、彼奴等には幸せな一生を過ごさせてやると」
「何故?貴方に何のメリットがあって?」
「ねえよ!俺にもし子供がいたとしたら・・・あいつら位の歳なんだ。子を見捨てる親がいるかよ!約束しろ!あんたは嘘をつけないだろう?違うか!」
また先程の美女に戻った。
「どうやら本気のようですわね。益々君に興味が湧きましたわ。ふふふ。合格ですわ。試して悪かったわね。足は舐めても舐めなくても良くてよ。そういう性癖があるなら舐めても良いのよ。うふふ」
「そんな趣味はねえよ。でも直接の関与はできないんだろ?」
「そうですよ。だから貴方にその力をあげるわ。本当だと無限収納は無理なのよ。でもリストに入れてあげるわ。君には3つ目と4つ目のスキルをあげるわ。でもね、それは今使えば1ヶ月から1年半程使えないの。だから考えなさい。誤解されて恨まれるかもしれないわ」
「助ける道があるのか?」
「貴方が連れていけるのは1人のみよ。貴方がやろうとしているのは1人が限界なのよ。分かっているでしょ?子供達が逃げた先で生き残れるかは別問題よ。死んだら生きる力が無かった事になるわね。これは口が滑りそうだから結果を見ないようにするわ。私が出来るのは幸せに生きるチャンスをあげる為、貴方がやろうとしている事に対してワンチャンスをあげる事。そう、5分だけ貴方の幸運度を最大にするわ。そのワンチャンスのみ彼ら彼女らにもその恩恵が働くから、いきなり魔物のど真ん中や盗賊に襲われる事は無いでしょう。但し貴方と貴方の選んだあの子にはその幸運の恩恵は働かないわ」
「彼女を巻き込まないように出来ないか?」
「優しいのね。無理よ。あの子は貴方から離れたら直ぐに死ぬ運命。それともう時間が無いわね。あの子達を救う道を用意する対価は、今この邂逅の記憶よ。私はセスティーナ。さようなら、迷いし稀人よ」
その女は俺の額にキスをしてきた。まるで母親が子にするように。
すると目の前が霞んでいったのであった。
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