第32話 風になれたら
いつ頃までだったかな
雲に乗れたらとか
星を掴めたらとか
月に行けたらとか
そんな可愛い事考えていたのは
空想するだけでワクワクしていた
懐かしい風景がぼんやり浮かび
懐かしい空気が薄ら香ってくるよ
そう言えば
風になれたら……
とは想わなかったな
何故だろう
雲に乗る私
星を摑む私
月に行く私
そこには私が見えている
意気揚々とした私の姿がある
きっと幼い私にも高揚感は判ったに違いない。
風に為った私は
姿形が見えない
そこに存在してない私
それが悲しかったのか
それが怖かったのか
失う事を何回も
経験していくうちに
実体が無くなるとは
この世から消えること
仕方のない
自然の摂理の……場合もあるし
そうではない……場合もある
出来るだけ前者でありたいと願う
今はまだ
先延ばし先延ばし
風にはならない私
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