第4話 王様、犯人と出会う
「おい、でろ。」
むっつり変態(
「もう、写真はないぞ。あれは俺の秘蔵写真だったのだからな。」
「ちがうわっ!!」
昨日のを知っているだけに全く説得力がないなコイツ。
「……ものすごくタイプだっただけだ。」
ん?ボソッとなんか言ったか?小さくて聞こえん。
「ん?何だって?」
「と、とにかくでろ!お前の身元引き受け人が来てくれたらしい。釈放だ。」
「俺の知り合いか?」
「いいから出ろと言っている。」
「ふむ。」
俺はひとまず着いていく事にした。
***
「こっちに来て早々にこんなとこに居るなんてほんとバカね。」
「…。」
俺はむっつり変態と共にポカンとしてしまう。いや、コイツは目がハートになっているだけだ。…残念なイケメンとはコイツのことだな。
「なんでお前がいるんだよ。」
プレート越しに声をかける。
「あら?わからない?あれ、私よ。」
そう言われて思い付くのはあの魔法詠唱を唱えていた人物しか思い浮かばない。
「な、なんで?お前がアイツなのか?俺を…裏切ってたのか?」
あぁ、俺は自分が想像しているよりも深くコイツのことを信頼していたのだと今更気づく。ショックで次の言葉がでない。コイツの口から確信的な言葉を聞くのが…恐い。
空気が重くなる。
「え、違うけど?たまたまよ、たまたま。あんたがこっちに来ちゃったのは。」
はい?
「はい?いま、なんと?」
「後で詳しく説明するから今はいいじゃない。ちゃんと助けにきてあげたでしょ?こっちに来てからのやりとりが面白くて見てたんだけど放置しちゃって。気づいたら捕まってるんだもんあんた。」
「み、み、み、みてたのかぁぁぁぁ!!助けろよ!おい!助けろよ!」
「知り合いと思われたくなかったのよ。」
「ぐはぁっ!」
言葉の暴力だ。そんなやりとりを繰り広げていると、むっつり変態が口を開く。
「あなた、お名前は?」
「私?
「う、美しい。」
「「はい?」」
俺と唯は同時に声を上げる。違う意味でだが。
「お前はユイ・クラリスだろ?何だよ。クラシナユイって変な名前は。」
「うるさい、だまれ。」
「ぐはぁぁぁぁっ」
再びダメージを受ける。
「なるほど、唯さんはコイツに付きまとわれているんですね!!心優しいが故に助けにきてあげたのですね!その心までも何と美しい。」
「いや、えっと一応幼馴染なんでこの男。」
と唯は苦笑している。
「なるほど、なるほど。たった今、俺の中で1番嫌いな人類になりましたよコイツは。」
とても爽やかな笑顔だ。何が起きているのかはさっぱりわからないが、とりあえず俺は解放されるらしい。
しっかりと唯から説明を受ける必要があるな。
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