第2話ジェットバスじじい

2人は松の湯の暖簾のれんをくぐった。

そこは、中央に番台があり右が女湯、左が男湯であった。

西野が小銭を番台さんに渡すと、

「なんだ、西野君。今日は遅いじゃない」

「まぁ、残業しちゃった」

「ゴールデンウィークなのにね。つっちーもゆっくり疲れを取ってね」

「島田さんも、働き過ぎはダメだからね。歳なんだから」

番台は島田秀樹(70)である。この道50年のベテラン……レジェンドである。


2人は脱衣所で服を脱ぎ、銭湯道具を持ち風呂に向かった。10人程風呂場にはいた。殆んどはおじいちゃんだが……。

中には、若い者もいて身体を洗っていた。

西野と土田は並んで、シャワーの前に座り全身をお湯で流した。

「つっちー、ちんこ排水口に詰まらせないでよ」

土田はフッと笑い、

「西ちゃん、湯上がりの牛乳瓶にちんこ突っ込まないでよ!」

と、互いのちんこをいじる。中学生じゃないんだから~。


西野はタオルを頭に乗せて、風呂に浸かり

ううわいいっ~

と唸った。

足を伸ばせる風呂はやっぱりいい。

土田は電気風呂に浸かっていある。

10分程浸かり、身体を丁寧に洗った。同じく土田も身体を洗いに来た。

「ねえ、つっちー身体を洗ったら、ジェットバスに入ろうよ」

「うんうん」

西野は歯磨きを始め、土田は髭を当たった。

そして、屋外のジェットバスに向かうと、必ずこの銭湯にいるおじさんが先客だった。彼の名は溝口洋介(63)。


彼はジェットバスの泡を肛門に当てていた。

うぃ~と、唸っていた。

「西ちゃん、この風呂使えないね。きっと溝口おじさんのくそが混ざってるよ!」

「お、西野君じゃないか!もうちょい待ってね。今、いいとこなんだ」

「僕たちサウナに行きます」


「さ~て、ビール為に汗でも流して、サウナで」

身体の水気をタオルで拭き、2人はサウナに入った。誰もいなかった。

すると、カチャッと扉が開いた。

背中から胸まで刺青のある男が入ってきた。

彼の名は、西条宏一(53)だ。

昔は、スゴい人であったが今はとび職の親方である。見た目は怖い人だ。

西条は西野を見ると、

「あらっ?西ちゃん?久しぶり~。お隣はつっちー?」

「はい」

「そっちは景気はどうだい?」

「さっぱり。ゴールデンウィークも仕事だよ」


西条は肉体労働で鍛えられた、筋肉質な身体をしていた。

西野も土田もいい体つきをしているのだが。

「じゃ、西条さん。先に上がりますね」

「西野の旦那、また、いつか一杯やろうな」

「うん、楽しみにしてるよ」


風呂上がり、扇風機の前で西野はコーヒー牛乳、土田は牛乳を飲んだ。

そして、赤提灯に向かった。その日は翌日も仕事の為、22時に解散した。





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